L→R 田中そら(Ba)、安藤太一(Gu&Cho)、佐藤 赳(Gu&Vo)、伊藤克起(Dr)

L→R 田中そら(Ba)、安藤太一(Gu&Cho)、佐藤 赳(Gu&Vo)、伊藤克起(Dr)

【kobore インタビュー】
自分たちの曲がその人たちの
風景になってくれたらいい

メジャーデビュー作『風景になって』は怒濤の2ビートから雄大なスケールを備えたミディアム曲まで、現時点でバンドが出せる力量をフルに発揮したアルバムに仕上がった。曲作りやプレイスタイルも含め、新たなチャレンジを盛り込んだ今作の中身について、佐藤 赳(Vo&Gu)と田中そら(Ba)が語ってくれる。

余計なものを極力削って、
伝えたい核心のみを詰め込む

今年はどんなふうに過ごしてました?

佐藤
ずっと曲を作ってました。スタジオにも入れないから、メンバーと会わずにどう曲を作ればいいのかなと。今作の大体は仕上がっていたんですけど、普段なら曲の中身をスタジオでみんなと詰めていたものを、今回はリモートでやりましたからね。

まさに今作の制作はコロナの影響を受けましたね。

佐藤
多少は受けてますね。月に10本以上のライヴをやっていたバンドだったので、何もやることがなくなり、曲作りばかりしてました。

気持ちはすぐに切り替えられました?

佐藤
いや、全然ダメでした。堕落して、毎日“今日はライヴの日だったのにな”って考えてました。
田中
このバンドは基本の軸がライヴなのに、急に家にいなといけない流れになりましたからね。ただ、気持ち的には前向きでした。今作の曲を作らなきゃいけなかったから。そんな中、これまでみんなで避けていたパソコンやケータイで楽器を録ることになり、その逆境から学べたことはありましたね。今作は今までの中で一番時間をかけられたし…皮肉ですけど、いい作品ができたのは自粛期間があったからじゃないかと。
佐藤
バンドに向き合う時間も増えましたからね。ケータイで曲を作ったり、新しいものも導入したり。

なるほど。今作は2ビートからミドルテンポまで従来の振り幅を魅せながら、一曲一曲がより研ぎ澄まされた印象を受けました。

佐藤
余計なものを極力削って、自分たちが伝えたい核心のみを詰め込もうと。今回は曲の短さも意識しました。3分間の中でどれだけ歌えるか、どれだけ感情を詰め込めるかって。

そういう考えに至った理由は?

佐藤
歌う時にストレートじゃなきゃ嫌だなって。ライヴでグッと引き寄せたいと思うと、短くてもいいのかなと思ったんです。
田中
楽器隊もLINEで連絡を取って、基本的に自分のフレーズは自分で考えるんですけど、今回は“ここどうしたらいいかな?”って相談するようになったんですよ。自粛の影響で時間が増えたこともあり、それで曲の展開やコード進行が変わったところもありますね。なので、前作よりも話し合いの時間が増えました。お互いのフレーズに意見を言い合うのは今回が初めだし、そこで新しい発見もありましたね。暗黙の了解じゃなく、ちゃんと口に出して言い合ったほうがいいんじゃないかと。結果的にいいアルバムになったので、次にも活かせたらいいなと思ってます。

新たな発見というのは?

田中
自分で言えば、ベースのフレーズはドラムが“このほうがいい”とか、ギターが“音色はこっちのほうがいい”とかアドバイスをくれたりして…例えば「なんにもないの」は、こういう雰囲気の曲調をやりたいと僕が言ったんです。ベースのフレーズもサビ以外は赳が持って来たものを弾いてますからね。「夜に捕まえて」もレコーディング直前まで自分のフレーズが決まらなくてメンバーに投げたんですよ。

「なんにもないの」はベースが引っ張るような曲調ですよね。

田中
エンジニアさんにもこんな曲は担当したことがないと言われました。
佐藤
ドラムもひと回り小さいものを使って、さらに自分たちのやりたいことを詰め込みました。グランジ風の汚い歪みのギターを入れたり、いろいろやりすぎてライヴで再現できるのか不安なんですけど(笑)。音にも奥行きを出したかったから、ヘッドホンで聴いてほしいですね。

佐藤さんの囁くような歌い方も新しいですよね?

佐藤
はい。フワッと歌いました。ハモリも囁くような感じで歌いたくて。僕が曲を持って行って、楽器隊の3人でそれを消化するスタイルなんですけど、前よりもいろんなエッセンスを詰め込めたんじゃないかと思います。
田中
作曲以外で言えば、僕は基本的に指弾きなんですけど、「FULLTEN」と「HEBEREKE」はどちらも2ビートなので、ピック弾きに挑戦したんですよ。どうでもいいことかもしれないけど。

いやいや、そんなことないですよ!

田中
時間があったのでチャレンジしたんですけど、ピック弾きの難しさを痛感しましたね。まだライヴで披露してないので、たくさん練習しなきゃいけないなと。

今作の1曲目「FULLTEN」は2ビートのショートチューンで、前作と同じ流れを踏襲してますね。

佐藤
そうですね、1曲目は変わらずに疾走感のあるナンバーでいこうと。ただ、今までにない2ビートに挑戦したくて。アウトロで使うことはあったけど、がっつりした2ビートの曲はなかったから。

疾走感はありつつも歌心やメロディーがしっかり息づいているところに、最新のkoboreが刻まれていると思いました。

佐藤
リスナーを退屈させたくなかったので、全編サビぐらいの勢いで作りたかったんですよ。だから、そういうふうに聴いてもらえると嬉しいですね。
田中
個人的には2ビートに嫌悪感があるんです。そういう曲に触れてこなかったから。「HEBEREKE」もそうだけど、この曲も不安はありましたね。さっきも言ったようにピック弾きに挑戦して…でも、特にこの2曲は向き合ったからこそ好きになったんですよ。結果的に自分が成長できた曲ですね。
L→R 田中そら(Ba)、安藤太一(Gu&Cho)、佐藤 赳(Gu&Vo)、伊藤克起(Dr)
アルバム『風景になって』

OKMusic編集部

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