【清 竜人 インタビュー】
個人的なマインドとしては、
ここから第2章が始まるという感じ
自分に音楽を続けさせるためにも、
抜本的なマインドの変化が必要だった
2曲目の「フェアウェル・キス」における切なさと愛らしさが溶け合うようなメロディーも素晴らしいです。“大人になりきれない大人のラブソング”というイメージもありますが、「Knockdown」と同様、30代だからこそ歌える曲なのでは?
それもあるかも。自分としては年齢にかかわらず、いろんな年代の人に聴いてほしいという想いがあるんです。“子供すぎず、大人すぎず”ということも意識しているし、10代の人たちはちょっと背伸びして、大人のリスナーには過去を思い出せるような曲にしたいなと。
それも優れたポップスの条件ですよね。清さんの歌声がしっかり伝わるサウンドメイクもいいですね。
確かにヴォーカルを強く出すことは意識していました。ここ数年はシティポップと呼ばれるものが流行っていますが、歌がさりげなく聴こえてきたり、ヴォーカルを楽器のひとつとして扱っているものが多くて。それはそれでいいと思うんだけど、音楽好きに評価されても、メインストリームに出ていけない印象があるんですよね。数多くの人に届くJ-POPは、やっぱり真ん中にしっかりヴォーカルがあったほうがいいと思うんです。それはすごく痛感してますね。
この配信シングルから“アーティスト・清 竜人”の新たなタームが始まることになると思います。改めて意気込みを聞かせてもらえますか?
個人的なマインドとしては、ここから第2章が始まるという感じなんですよ。ミュージシャンとしての人格が全然違うというか…性格的に同じことを続けてることが苦手なんですけど。とはいえ、音楽を続けていきたいとは思っていて。デビューからの10年は音楽や芸術の枠組みの中でさまざまなアプローチを試してきましたけど、自分を飽きさせないためにも、このタイミングで抜本的にマインドを変えて取り組みたいと思ったんですよね。そうじゃないと転職しちゃいそうだし(笑)。自分に音楽を続けさせるためにもそれが必要だったんです。
それが“ヒットする曲を作る”というモチベーションにつながったと。
そうですね。あとは、ビジネスとしてのスケールを大きくしたいという気持ちもあります。これまでも楽しみながら活動させてもらってきたし、一定の評価もいただいていたんですが、同じような環境で続けていても、そこまで大きな変化は生まれない気がするんです。使えるバジェットが増えれば、それだけやれることも多くなる…まぁ、予算がなくてもセンスがあればいい曲は作れるだろうし、予算があってもダメな時はダメなんだけど(笑)。今は自分の活動をランクアップさせたいんですよね。ひとつの作品だけで変わるほど甘くないのも分かってるし、しばらくはこのモードを続けたいと思っています。
取材:森 朋之