【高橋玄 インタビュー】
音楽によって変われたから、
僕の音楽も何かのきっかけになれたら
バンド音源は初めてなので
どんな反応が来るかドキドキする
4曲目の「なんだかな」は、そのタイトルが目を引きました。
何とも言えない気持ちというか、何か言葉にならない、本当によく分からない感情をあえて濁した言い方として“なんだかな”と。自分自身の“なんだかな”という気持ちにあてはめて聴いてほしいです。
どんな時にできた曲なのですか?
昨年はコロナのこともあって、世の中が暗い雰囲気になっていましたよね。そのどうしようもない、どこかにぶつけたい気持ちを曲にできたらいいなと思って書きました。僕自身は通信の学校なのであまり影響はなかったのですが、周りの人を見てると、学校に通えなかったり、卒業式が行なえなかったりした人たちが多かったので。
歌詞にはもやもやした思いが綴られていますが、その中でも《ちゃんと片付いていない 心の中には何にも届かない》というフレーズが印象的でした。
いろいろな感情を持っていると何も響かないというか、その人に何を言っても届かないと思うんです。でも、《明日の今頃は気分もきっと晴れて》と、変化することも書きたくて。
《明日の今頃は気分もきっと晴れて》とあるから前向きな曲にも取れますけど、最後が《なんだかな》で終わってるので、どこか諦めの境地の部分もあって不思議な曲ですよね。だから、少し皮肉というか、毒的な要素も含まれているのかなと感じました。
はい。そういう毒要素も結構ありますね。
やはりひと筋縄ではいかないですね(笑)。一方、次の「生きていれば」はアップテンポでストレートな曲で、自然と高揚感が生まれますね。
ドラマ『半沢直樹』を観ていて、上戸 彩さんの“生きていればなんとかなる”という台詞がすごく心に響いたんです。“確かに。死んでしまったら何もできないけど、生きていれば何か変わるかもしれないな”って。それを曲にしたいと思って書いていきました。“生きていれば”は重い言葉だし、暗い歌詞にも見えるけど、あえてアップテンポで伝えたいと考えて。“前に進もう!”みたいな。今までとは違う、新しい感じだと自分でも思いますね。この曲は自分に言い聞かせているような歌詞で、“このままじゃダメだ”みたいな感じで書いていきました。
そんな楽曲たちを収録した『あるばむ おさるのうた』が完成した、今のお気持ちは?
「生きていれば」や「なんだかな」もそうなんですけど、初めてバンド音源の曲が入っているので、自分的にもすごくメジャーデビューした感があって、今までとは違った作品になりました。この7曲を聴いて、これからがすごく楽しみです。まだバンド音源は公開されてないので、どういう反応がくるのかドキドキもあります(笑)。あと、僕はバンドを組んだ経験がないんですよ。バンドが入ることによって別の曲のように聴こえて、他の楽器の力はすごいということが改めて分かりました。
メジャーデビューアルバムを制作することで、初めて経験されたことがたくさんあったと思いますが、その点に関してはいかがでしたか?
どちらかと言うと、自分は初めてのことをやるのは苦手なタイプだったんです。でも、音楽に関しては“やってみよう!”という気持ちになることが多くて。“あぁ、やっぱり音楽が好きなんだな”って思いますね。
今の段階で高橋さんが目指すアーティスト像はどういったものか教えていただけますか。
曲を聴いて“頑張れる”とか“前に進める”と思ってもらえるようなアーティストになりたいです。僕も坂口有望さんの曲を聴いて人生が変わったので、自分の曲を通していろいろな人に何かを変えられるようなきっかけが作っていけたらいいなって。そういう想いが強いですね。
ちなみに坂口有望さんとはお会いになったことは?
お会いしたことはないんですけど、僕の曲が届いたみたいで、カバーをしてくださったんです!
それはすごいですね!
ずっと憧れていたアーティストさんだったので、まさか自分の曲を歌ってくださると思ってもみなくて。本当にその時は飛び跳ねるくらい嬉しかったです。
今後挑戦してみたいこともお聞きしたいです。
まだライヴをやったことがないんですけど、ライヴでしかできない…例えば、みんなで一緒に歌えるような曲を作ってみたいです。あと、今、個人的にすごいと思う人がいて。シンガーソングライターのsuiさんなのですが、いろんな楽器を弾きこなすマルチプレイヤーだし、ひとりで全部やっていらして…自分も一応、そういうのができる環境はあるのですが、まったくできないので本当にすごいと思うし、自分もこれから目指していきたいですね。
可能性に満ちあふれていますよね。これからの高橋さんの活躍が楽しみです。
ありがとうございます。これまで僕の曲を聴いてくださっていた方たちには、これからの活動にも、ぜひついてきていただきたいです! 『あるばむ おさるのうた』もたくさんの人に聴いていただけたら嬉しいです!
取材:キャベトンコ