【高橋玄 インタビュー】
音楽によって変われたから、
僕の音楽も何かのきっかけになれたら
TikTokでアップした弾き語り曲「セイカツ」がバズり、配信チャート上位にランクインした高校生シンガーソングライターの高橋玄。もともと“おさるのうた”名義で楽曲を発表していたが、メジャーデビューにあたって本名で活動することに。ホッとする穏やかな声で日常を歌う彼はどんな人物なのか? 音楽との出会いから語ってもらった。
“身近な人にも届いているんだ!?”と
びっくりしました
YouTubeでシンガーソングライターの坂口有望さんの曲を聴いたことがきっかけでギターを始めたそうですね。
はい。最初は独学でやろうと思っていたんですけど、集中力とメンタルが足りなくてレッスンに通いました(笑)。まずは好きな曲をカバーすることから始めて、クリープハイプの「二十九、三十」を練習していました。クリープハイプも坂口有望さんがカバーしていて、それから好きになっていったんです。
その後、オリジナルをやりたいと思われたと。
TikTokを始めたのが2019年12月頃で、始めた当初からカバーよりは自分の曲を聴いてもらいたい気持ちがあったので、その時期からオリジナル曲を作り始めました。TikTokを始めた当初はどんな動画だったら再生数が上がるのかとか何も分からなくて。やっていくにつれてTikTokはなるべく短くてメロディーはキャッチーなのがいいことに気づき、そういうものを意識して作るようにしていました。
そもそもTikTokに投稿しようと思ったのはなぜでしょうか?
アーティストを目指すためにはいろいろな方法があるし、路上ライヴから始める人もいますよね。SNSはもっと手軽に始められるし、特に身近なのはTikTokだと思って、まずはそこから始めました。
そして、2019年末に投稿した「セイカツ」が1,700万回再生と大きな反響を得たんですよね。この曲は初投稿からどのくらい経っての曲だったのでしょうか?
いくつかオリジナルを投稿したあとにできた曲になります。最初は7,000回再生くらいでずっと止まっていたんですけど、2カ月後にオススメに出るようになってドン!と跳ねて。おそらくどなたかが作ってくれた歌詞動画がきっかけなのかなと思います。その時は不思議な気持ちでしたね。曲を作ってTikTokに投稿したり、音楽制作をやっていることは、本当に身近な友達にしか言ったことがなかったんですよ。でも、「セイカツ」がバズった影響で“あれって高橋じゃないの?”と訊かれるようになって、“こんな身近な人にも届いているんだ!?”とびっくりしました。
高橋さんが曲を作る時の流れを教えていただけますか。
基本的に歌詞とメロディーは同時進行で作っていますね。でも、どちらかと言うとメロディーのほうが先かもしれません。歌詞については、特に勉強してきたわけではないんです。思ったことをバーッと素直に書いているだけだから、“この歌詞で合っているんだろうか? ちゃんと伝わっているんだろうか?”という気持ちがあります。わりと日常的なことを書いているだけなので。
ちなみに当時の活動名は“おさるのうた”でしたが、なぜこの名前で活動しようと思われたのでしょうか?
最初は知名度がまったくないし、恥ずかしいという気持ちが少しあって、『おさるのジョージ』が好きだったから、活動名は“おさるのうた”にしようと思ったんです。
頭に残る名前ですよね。このまま“おさるのうた”で続けようという気持ちはなかったのですか?
その気持ちもあったんですけど、もともといつか自分の名前でやりたいという想いも強くて。「セイカツ」をきっかけに自分の曲がいろいろな人に届いたということもあり、自信を持って活動できると思って、本名でいくことにしたんです。
なるほど。デビューアルバムのタイトルにもなりましたので、“おさるのうた”がずっと残るというのはいいですよね。ちなみにジャケットの可愛いらしいイラストはどなたの作品なのでしょう?
自分で描きました。そんなに上手ではないですけど、昔から何かを作ることが好きで、絵を描くのも趣味のひとつでした。
多才ですね! さらに今日初めてお会いしたんですけど、高橋さんは目がキラキラしていてイケメンで、背も高いし、とてもカッコ良い方で驚きましたよ。
曲を作り始めて3年でデビューするというのもすごいと思うのですが、ご自身ではメジャーという環境に移っていかがですか?
メジャーデビューというお話をいただいた時、“果たして自分の曲はたくさんの人に届くだろうか?”といったような不安な気持ちはありました。でも、大人の方に協力していただくと、今までとは違っていろいろなことができるようになったし、活動の幅が広がっているので、すごくありがたいと思ってます。