【FEATURE】Parcels『Live Vol.1』
Daft Punk、〈Kitsuné〉との関係性
を辿ることで見えてくる”デビュ
ー・アルバムの完璧な締めくくり”
の意味
ダンサブルかつエレクトロニックな風味を帯びたサウンド好きの間で人気を博すレーベル〈Kitsuné〉と契約後、Daft Punkが初めて他のアーティストをプロデュースした2017年のシングル「Over Night」で、一気にシーンの前線に躍り出た、オーストラリアのバイロンベイ出身で現在はベルリンを拠点に活動する5人組バンド、Parcels。
Parcelsの音楽性はしばしばThe BeatlesやThe Beach Boysのような1960~70年代のレジェンドと比較されることがあるが、音楽的な影響の面においてはSteely Dan、Marvin Gaye、Toto、The Whitest Boy Aliveからをこれまでに公言している。
ここで興味深いのは2000年代に勇名を馳せたベルリンのインディロックバンドであるThe Whitest Boy Aliveの名前が挙がっている点だ。The Whitest Boy Aliveは元々エレクトロユニットとしてスタートしたバンドだが、彼らは徐々にそのスタイルを排除しながらフィジカルなバンドスタイルに移行していったことでも知られている。先述のとおり、現在は故郷を離れ、ベルリンを拠点に活動するParcelsだが、その移住はThe Whitest Boy Aliveの映像を彼らが高校時代に観たことがきっかけになっており、The Whitest Boy Aliveは、彼らの人生に大きな影響を与えた存在だといえる。
その頃の〈Modular〉といえば、Cut Copy、The Presets、Van Sheといったバンドサウンドとエレクトロニック・ミュージックのスタイルを融合させたグループを輩出し、“踊れるインディ・ロック”であった“オージー・エレクトロ”は、世界的にも大きな注目を集め、当時の音楽シーンのトレンドを牽引する存在だった。
また〈Modular〉一派で“オーストラリアの2manydjs”と称されたDJクルーのBang Gang DeejaysのメンバーだったBeNiは単独でも〈Kitsuné〉と契約し、レーベルの中核を担うなどオージー・シーンと〈Kitsuné〉には高い親和性があったことが証明されている。
同作について「2年前の僕らにとって、このアイデアはデビュー・アルバムの完璧な締めくくりになるもの」と語るParcelsだが、”デビュー・アルバムの完璧な締めくくり”とは一体、何を指すのだろうか? その“締めくくり”には、もしかしたら”Daft Punkプロデュース”の肩書きで注目を集めた彼らにとってのキャリア初期を締めくくるという意味が含まれているのかもしれない。というのも実際にセルフ・プロデュースで完成させた2018年のデビュー・アルバム『Parcels』は、NMEなど音楽メディアから高評価を獲得しており、すでに”Daft Punk”という冠がなくとも、彼らは自らが優れたアーティストであることを証明しているからだ。
その意味で彼らがいう“デビュー・アルバムの完璧な締めくくり”とは、“Daft Punkがプロデュースしたバンド”期を締めくくることで名実ともにParcelsというアーティストとして1人立ちし、さらなる飛躍を目指すというメッセージにも思える。
『Live Vol.1』でキャリアの第1章を締めくくった後、Parcelsは今後、どのようなフェーズに向かうのだろうか? 本作はこれまでのParcelsを振り返るとともにそんなことにも想いを馳せつつ、聴き込みたい作品だ。
Parcels 『Live Vol.1』
Label:Caroline International / Kitsuné / Because
Tracklist:
01. Enter
02. Myenemy
03. Bemyself
04. Comedown
05. Lightenup
06. Gamesofluck
07. Intrude
08. Withorwithout
09. Returned
10. Everyroad
11. Overnight
12. Untried
13. YourFault
14. Clostowhy
15. Redline
16. IknowhowIfeel
17. Elude
18. Tieduprightnow
■ レコード購入はこちらから(https://tower.jp/item/5057040/Live-Vol-1)
■ Parcels 日本オフィシャル・サイト(https://carolineinternational.jp/parcels/)
アーティスト
Spincoaster
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