【まだ見たことのないセカイ
インタビュー】
メタルを聴かない人にも
メタルを好きになってもらいたい
メタルとボカロを混ぜちゃえと思って
ボカロ曲をメタルアレンジしてみた
アルバム全体のテーマは何かありましたか?
美弦
特にテーマはないです。歌詞もその時に浮かんだ曲に合うものなので。1曲目「Break Away」は“負けずに頑張るぞー”みたいな感じだし、2曲目の「Ark」も“ふたりで未来を切り開いていこうね”っていう曲になっていて、3曲目の「escape feat.YUZUKINGDOM」は私の好きなアニメがモチーフになってます。ざっくり言うと、大人に騙されているというか嘘をつかれていて、ある日それを知ってしまってそこから逃げ出すっていう内容なんですけど、そういうのって現実世界でもよくあることじゃないですか。その現実と好きなアニメの世界を重ねて書いた歌詞になっています。で、4曲目の「極彩色のユートピア」はイジメられている人の気持ちを歌ってます。私もイジメられたことがあるので、そういう自分の経験を当てはめたりして。イジメられてる人って子供から大人までいっぱいいると思うんですよ。職場だったり、学校だったり。そういう人に共感してもらえたらなって。
そんな中、「命に嫌われている」は歌い手・松下さんをフィーチャーしたボカロ曲という。
美弦
もともとボカロが好きで、ボカロ曲もよく聴くんですけど、メタルを聴く人たちとボカロを聴く人たちって交わらないと思っていたので、そこを交わらせたくて。みんながやってないことをやりたいっていう気持ちと、もっとメタルを広げたいっていう想いもあって、メタルとボカロを混ぜちゃえと思って、ボカロ曲をメタルアレンジしてみました。「極彩色のユートピア」もちょっと早口でボカロっぽさを出した曲なんですけど、ボカロって心の闇を歌ってたりするので、それでイジメの歌詞が浮かんだんです。メタルしか聴かない人にもボカロを聴いてほしいし、ボカロしか聴かない世代にもこういうハードなものを聴いてほしいので、それを混ぜちゃったら聴いてもらえるかなっていう期待も込めてやってみました。
アルバムタイトルも個性的ですね。
美弦
ふたりでタイトル候補の言葉をいっぱい出し合って、その中から決めました。まこちゃんが出してくれたアイデアの中に“○○○○モノクローム”みたいのがあって、まずそれがすごく気に入ったんですよ。私たち自身のイメージカラーが白黒で、衣装もそれぞれ白と黒にしているので、すごくいいねってなって。そこに他のワードをくっ付ける時、私の作品作りに関しての想いは“幽玄”っていう言葉にすごく当てはまると思ったので、“幽玄モノクローム”にしました。
では、そんな今作についてリスナーや読者へのメッセージをいただけますか。
美弦
ハードロックとかメタルって壁を作らずに、まずは再生してほしいです。メタルの好きな人もメタルを楽しめる演奏になっていると思うし、そういうのを聴かない人でも聴きやすいものになってると思うので。1曲でもいいので再生してほしいですね。それでさらに歌詞にも共感してもらえたらすごく嬉しいです。
まこ
そこに関しては同じですね。私自身はもともとメタルを聴かない人間なんですけど、今回のミニアルバムはメタルの要素が組み込まれてすげぇカッケーものになったと思うし、とにかく聴いてみてほしいっていう想いがすごくあります。メタル好きな層とアニソン好きの層との壁をなくしたいっていうのは私も思うから。とにかく聴いてほしいです!
アニソン好きな人とメタラーが一緒になって楽しんでいるライヴの光景を観てみたいです。
まこ
オタクとメタルファンが入り混じる感じかもしれないですけどね(笑)。
美弦
アニソンの中にも“これってメタルじゃん!”みたいな曲が結構多いから、みんな聴かず嫌いな偏見を持っているだけで、絶対に聴いたら好きになると思うんですよ。
まこ
私が声優としてやってたユニットにもメタルチックな楽曲があって、ライヴではオタクが楽しそうにヘドバンしてましたからね。
そして、初ライヴが12月6日に予定されてますね。
美弦
私自身、最後にステージに立ったのが今年の2月なんですよ。そこからずっと制作をしてたので、とにかくみんなに早く会いたいです。音源を聴くのとライヴって全然違うじゃないですか。楽しみで仕方ないです!
まこ
私は1年半振りになるんで、ずいぶんライヴをやってないから、その間に離れていった人もいて…“YouTuberになっちゃったんだ。ライヴをやってる姿を観たかったのに”って離れていった人が実際にいるので、その人たちが戻ってくるきっかけにもなればいいなって。あとは、個人的な話なんですけど、ずっと活動を反対していた両親が観に来てくれるんですよ。父親はギター職人でギタリストなんですけど、だからこそ“そんな生半可な世界じゃない!”って反対していて。今までも何回かライヴに誘ったんですけど1回も来てくれなかったのに、今回初めて来るって言ってくれたので、“私が本当にいたい場所ってここなんだよ”っていうのを観せられたらいいなと思ってます。
取材:舟見佳子