「臼井孝のヒット曲探検隊
~アーティスト別 ベストヒット20」
ネオ・フォーク系のパイオニア、
ゆずのヒットを探る

総合2位は夏の定番曲、
1stシングル「夏色」!

総合2位は1998年の1stシングル「夏色」。こちらはCDは最高17位ながらTOP100内27週と「栄光の架橋」に次ぐロングヒットで、累計27万枚の8位、カラオケも毎年のように夏になると上位入りするほどの人気曲となり、ゆずの中でも2番手の人気で、総合でも2位となった。

ちなみに『ミュージックステーション』などで若い世代を中心に実施されるアンケートでも、毎年TOP5内の人気となっている。発売から約20年が経過しており、明らかに発売当時を知らないリスナーにも浸透していることが分かる。「駐車場の猫」や「長い長い下り坂」、「自転車」など、若い世代にも身近な夏景色が多数登場することや、高音ボーカルが駆け抜けていくような曲想も人気の要因だろう。

本作は、当時はノンタイアップ曲で、各FM局や音楽専門チャンネルでの熱い支持を経てじわじわと人気が広がっていたが、今ではTV番組内の尺の短いLIVEでも必ず歌われるほどの定番曲となっている。いったん演奏が終了してから、観客から「もう1回!」コールが起こり、その後、北川が観客を罵倒するという所までお約束になっている、なんてアーティストや楽曲はおそらく日本に100曲も存在しないのではないだろうか。それほどまでのド定番で、現在は京浜急行の上大岡駅の接近メロディーに使われたり、また2017年にはロッテの氷菓『爽』のCMソングに起用されたりと、今なお人気が引き継がれている。

蛇足だが「夏色」と言えば、早見優「夏色のナンシー」、堀ちえみ「夏色のダイアリー」、菊池桃子「夏色片想い」、小川範子「夏色の天使」など、80年代女性アイドルの楽曲タイトルにも多用されるほど、夏の陽射しを受ける爽やかな女子をイメージする言葉だったが、偶然とはいえ、彼らがこの言葉を使ったことも、同作の青春や胸キュン色を助長しているのではないだろうか。

総合3位は前向きなバラードとして
多くの共感を呼んだ「雨のち晴レルヤ」

総合3位は2013年の通算39作目となるシングル「雨のち晴レルヤ」。CDセールスは、累計7.4万枚だが、配信では25万件以上のダウンロードで2位、カラオケでも3位と安定して強い。

同作はNHK朝の連続テレビ小説「ごちそうさん」の主題歌で、時代の荒波にも負けず、前向きに生きる主人公・め以子の心情ともリンクした前向きなバラードとして多くの共感を呼んだ。なお、作曲は北川悠仁と篠笛奏者・佐藤和哉の連名となっており、これは同作が佐藤の「さくら色のワルツ」を原曲としているため。また、間奏にドヴォルザークの「新世界」が引用されているのも含め、近年のゆずの楽曲は、他のアーティストや楽曲の特性をしなやかに取り入れるのが実に上手い。こうした点も二人組ながら決して単調にはならない要因だろう。
このようにTOP3は、2000年代、1990年代、2010年代と3つの異なる年代でヒット曲が並んだ。これも、長年支持されている秘訣と言えよう。

OKMusic編集部

全ての音楽情報がここに、ファンから評論家まで、誰もが「アーティスト」、「音楽」がもつ可能性を最大限に発信できる音楽情報メディアです。

連載コラム

  • ランキングには出てこない、マジ聴き必至の5曲!
  • これだけはおさえたい邦楽名盤列伝!
  • これだけはおさえたい洋楽名盤列伝!
  • MUSIC SUPPORTERS
  • Key Person
  • Listener’s Voice 〜Power To The Music〜
  • Editor's Talk Session

ギャラリー

  • 〝美根〟 / 「映画の指輪のつくり方」
  • SUIREN / 『Sui彩の景色』
  • ももすももす / 『きゅうりか、猫か。』
  • Star T Rat RIKI / 「なんでもムキムキ化計画」
  • SUPER★DRAGON / 「Cooking★RAKU」
  • ゆいにしお / 「ゆいにしおのmid-20s的生活」

新着