「臼井孝のヒット曲探検隊
~アーティスト別 ベストヒット20」
ネオ・フォーク系のパイオニア、
ゆずのヒットを探る

3部門のバランスの良さで
「栄光の架橋」がダントツの総合1位

国民的アーティストへと成長したゆずの総合ヒットは何となるだろうか? 誰もが思いつくだろう「あの曲」と「その曲」以外にも、ヒットを量産してきた彼らだからこそ、是非ともTOP10やTOP20などより幅広く注目していただきたい。
総合1位は2004年の通算21作目となるシングル「栄光の架橋」。配信では2011年の配信開始より、毎年レコチョクの年間TOP100入りしておりダントツの1位、カラオケでも元々人気は高かったが、2011年以降、年間TOP100入りを続けている。また、CDは累計31.3万枚で、売上では「飛べない鳥」(2000年、38.2万枚)、「嗚呼、青春の日々」(2000年、34.1万枚)、「いつか」(1999年、32.3万枚)に次いで4番手だが、TOP100内の登場週数は28週と自己最長のロングヒット。しかも、TOP200まで広げれば、2017年末にNHK紅白歌合戦の大トリにて歌唱した後に再浮上したことを含め76週もチャートインしている。とにかく、3部門のバランスの良さでダントツの総合1位となった。

聴いた人を前向きにさせる
エネルギッシュかつ感動的な楽曲

本作がこれほどまでに支持を広げたのは、多機能な人気曲だからだと考えられる。元々は2004年のNHK『アテネオリンピック』公式テーマソングだった。その年だけでも、当初はゆずファン中心だったのが、放送が進むにつれロングヒット化し、特に体操競技の中継中に「伸身の新月面が描く放物線は、栄光への架橋だ!」と評したあたりから、一気に一般層に広がりだした。ここから数年は、スポーツ系のエールソングとしてTV番組に使われていた。

さらに、その後は苦難を乗り越えて結婚にまでたどり着いた二人のテーマソングとして結婚式ソングとしても定着、2011年の秋ごろ、ゆずの二人が相次いで結婚した際も各番組で流れ、各チャートで再浮上するようになった。また、同じ2011年には東日本大震災が起こり、各チャリティー番組で歌われるようになったことも、2011年以降の同楽曲の再ヒットに拍車をかけたと言えるだろう。つまり、今では、エールソング、ラブソング、チャリティーソングとしても人気なのだ。

無論、これだけ多くの解釈ができるというのは、単なるタイアップ効果ではなく、聴いた人を前向きにさせるエネルギッシュな楽曲だからに他ならない。静かに始まりつつ、後半、感動的にフィナーレを迎えるという松任谷正隆によるドラマティックなアレンジの効果も、北川と岩沢がゴールに向かうべく歌い上げていく表現によるところも大きいだろう。

OKMusic編集部

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