高橋 優
『世界で一番読まれたい手紙』
- 第25回 ライト兄弟のお二人へ -
拝啓 飛行機を発明してくれてどうもありがとう。 先日ニューヨークに渡航する機会がありました。僕にとって人生初めての海外だったので、旅先 での経験よりまず先に、片道12時間も飛行機に乗るという経験自体がとても新鮮でした。飛行機 に乗っている最中実は僕にはいつも思うことがあって、今回12時間の搭乗に際しては特にそれ を強く思ったので、この度あなた様方にお手紙を書こうと思いました。
僕は飛行機に乗る際いつも「よくもこんな乗り物を創ってくれたものだ」とあなた方ご兄弟に対 して思います。この言葉の半分はクレームです。だって、やっぱり怖いんだもの。乱気流か何かの 影響により高度何千メートルで機体が揺れる瞬間などは、僕は毎度のこと死を覚悟します。平然 とした表情で乗っている現代の人々の中で、僕自身はまだ心のどこかで「こんな鉄の塊が人を乗 せてよく飛べるものだ」と思っておるのです。
そして皮肉なことに、先に挙げた僕の飛行機に対する思いのもう半分は、まさしくそこに対するリ スペクトなのです。あなた方がそれを発明しなければ行くことの出来なかった場所、見ることの出 来なかった景色を、現代におけるほとんどの方は経験することが出来るようになりました。先日僕 がニューヨークで唄ってこられたこともそう。飛行機の窓から米粒ほどに小さくなった建物や木々 なんかを見下ろすとき、あなた方が発明したものの偉大さに僕はいつも感服してしまうのです。
いつかお会いできましたそのときには、あなた方ご兄弟が空に対して馳せる想いのお話を、是非 とも聞かせていただきたいのです。 敬具
あなたへの一文字・・・「飛」
僕は飛行機に乗る際いつも「よくもこんな乗り物を創ってくれたものだ」とあなた方ご兄弟に対 して思います。この言葉の半分はクレームです。だって、やっぱり怖いんだもの。乱気流か何かの 影響により高度何千メートルで機体が揺れる瞬間などは、僕は毎度のこと死を覚悟します。平然 とした表情で乗っている現代の人々の中で、僕自身はまだ心のどこかで「こんな鉄の塊が人を乗 せてよく飛べるものだ」と思っておるのです。
そして皮肉なことに、先に挙げた僕の飛行機に対する思いのもう半分は、まさしくそこに対するリ スペクトなのです。あなた方がそれを発明しなければ行くことの出来なかった場所、見ることの出 来なかった景色を、現代におけるほとんどの方は経験することが出来るようになりました。先日僕 がニューヨークで唄ってこられたこともそう。飛行機の窓から米粒ほどに小さくなった建物や木々 なんかを見下ろすとき、あなた方が発明したものの偉大さに僕はいつも感服してしまうのです。
いつかお会いできましたそのときには、あなた方ご兄弟が空に対して馳せる想いのお話を、是非 とも聞かせていただきたいのです。 敬具
あなたへの一文字・・・「飛」