L→R 青山友樹(Dr)、ササキジュン(Gu)、きみコ(Vo&Gu)、 アベノブユキ(Ba)

L→R  青山友樹(Dr)、ササキジュン(Gu)、きみコ(Vo&Gu)、 アベノブユキ(Ba)

【nano.RIPE】何の根拠もない自信で
思った方向に進めばいい!

自分の存在とかに不安があって それは
きっと死ぬまで付いて回る

曲順が戻りますが、1曲目の「ウェンディ」はピーターパンに出てくるウェンディのことですか?

そうです。インディーズ時代の「風の少女」という曲は、ピーターパンが“キミは飛べるよ”とウェンディに語りかけている歌でした。で、そのアンサーソングとして書いたのが「空の少年」で、まさにピーターパンのことを歌っていました。そして、今回はピーターパンシリーズ第三弾として、ウェンディのことをうらやましく見ている自分が主人公です。

明るい曲調と裏腹に歌詞はちょっと暗めですね。

自分はもともとアップダウンの激しい性格なのですが、落ちている時は自分のどこかが足りなくなっていたり、心のどこかをなくしてしまっている気がするんです。そうやって落ち込んだ1日のことを思い出して書いたんですけど、曲ができたことですごく気持ちが晴れたんですね。それでメンバーに病んだ甲斐があったよと話したら、勘弁してよって言われました。あたしが落ち込むと曲は生まれるけど、周りにはすごく迷惑がかかっているみたいです(笑)。

また、「痕形」という曲は歌声がすごく力強くて。他の曲とは声の質感がまったく違うと思いました。

これはライヴに近い歌い方を意識して録りました。アルバムの最後にできた曲で、あたしが言いたいことをただ歌うというものにしようと。あたしの意思表示というか気持ちを込めて、ちょっと荒っぽいぐらいのエモーショナルな感じで歌っていて。歌い方は曲によって変えていて、「なないろびより」の時はただ気持ち良く歌うことを意識していたりといろいろですが、「痕形」は特に違いが出ましたね。

歌詞は自分の中の不安を歌っていますね。こんなにライヴをやってファンもたくさんいるのに、それでもまだ自分の存在に不安があるんだな〜と心配になりました(笑)。

そうなんですよね。そこはなかなか成長しないところで。ツアーもやるたびに規模が大きくなって、本当に順調に伸びていると実感はしているのですが、それでもまだ自分がいる意味とか、自分の存在とかに不安があって。それはきっと死ぬまで付いて回るのだろうなと思います。

でも、そうやって常に悩んで葛藤しているきみコさんだからこそ、ファンは親近感を持つわけですよね。

ファンの方は、特にそういう部分に共感してくれていますね。不安を感じている自分に、ファンのみんながそんなことはないよと言ってくれる。だから、あたしもみんなが自分には必要なんだと歌える。そういうサイクルができている。

でも、多くのファンはnano.RIPEの歌を勇気に変えて、壁や問題を乗り越えて成長していくんですよね。

それはそれで我が子の独り立ちを見守る母親の気分だし、また新たなファンがきてくれたらその成長を見守ることになるし。でも、そう考えるとあたしだけが取り残されているみたいで少し寂しいですけどね(笑)。

多くの歌詞にも出てきますが、きみコさんがよく言う“ココにいる”というのは、そういうことなのかも。

そうだと思います。僕らはいつもココにいるし、どんなかたちでもみんなの生活の中に僕らをいさせてくれるのなら、そこも僕らの居場所になる。“ココ”は、みんなが決めてくれればいいんです。nano.RIPEを聴かなくなって何年かして、それでもみんなの心のどこかに置いといてくれたら、そんなに嬉しいことはないです。

ッケージについてですが、初回限定盤AはB-side collection『アマヤドリ』とAcoustic collectionの『ミズタマリ』を加えた3枚組。全45曲ですごくお得ですね。

『アマヤドリ』は、メジャー以降のシングルでアルバム未収録のカップリング曲を収録していて。『ミズタマリ』は購入特典として付いていたアコースティックバージョンで、ちゃんと音源化してリリースしてほしいという要望が多かったので付けてしまおうと。ただ、『ミズタマリ』に収録の「ティーポットのかけら(カモミール)」は新曲です。去年から鍵盤の練習をしていて、そのお稽古の成果として1コーラス入れてみました。これは初回限定盤Aにしか収録されていません!

では最後に、2013年の感想と2014年の展望を。

2013年は最後にこの大作の制作があったし、ツアーも3回やったし、すごく中身が濃い一年でした。今回で曲は全て出し尽くして貯金はゼロと言っていますが、実際はまだまだかたちになっていないストックがたくさんあるので、すぐ新たな制作が始まります。このアルバムで新たなことも見えるだろうし。2014年の活動も期待していてください。
『涙の落ちる速度』2014年01月08日発売Lantis
    • 【初回限定盤A(3CD)】
    • LACA-35369 3999円
    • ※epilogue disc – one『アマヤドリ』(B-side collection)、epilogue disc – two『ミズタマリ』(Acoustic collection)を加えた3枚組仕様
    • 【初回限定盤B(2CD)】
    • LACA-35370 3500円
    • ※epilogue disc – one『アマヤドリ』(B-side collection) を加えた2枚組仕様
    • 【通常盤】
    • LACA-15370 3000円
nano.RIPE プロフィール

ナノライプ:前身バンドを経て2004年にnano.RIPEとなり、地元である千葉・東京を中心に本格的な活動を開始。08年、インディーズレーベルよりミニアルバム『空飛ぶクツ』を発売。草野マサムネ(スピッツ)など多くのアーティストから推薦コメントが寄せられ、話題となる。10年、Lantisよりメジャーデビュー。その後、メンバーチェンジを経て、現在はきみコとササキジュンのふたりで活動を続けている。nano.RIPE オフィシャルHP

OKMusic編集部

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