安彦良和、シャア少年期の声
優は“ある直感”で決めた「池田秀一
は幼いころ田中真弓だったんだ」

 「機動戦士ガンダム」でキャラクターデザイン、アニメーションディレクターを務めた安彦総監督が自ら手がけた人気コミック「機動戦士ガンダム THE ORIGIN」をアニメーション化。コミック9、10巻の「シャア・セイラ編」を全4話でつづるシリーズの第1話だ。

 安彦総監督と主人公キャスバル・レム・ダイクン(後のシャア・アズナブル)の声を務めた田中は、テレビアニメ「白い牙 ホワイトファング物語」(1982年放送)、「巨神ゴーグ」(84年放送)、劇場用アニメ「アリオン」(86年公開)の3作品で仕事をしている。安彦総監督は「僕は田中さんの一方的ファンです」と明かし、キャスティングに関しては「キャスバルだけは田中さんでとキャスティング担当の藤野監督に伝えた」とラブコールしたことを告白。だが、田中は人気アニメ「ONE PIECE」の主人公モンキー・D・ルフィの声を務めていることもあり、「藤野さんは『田中さんはイメージができているからな』と嫌な顔をしていた」と現場は難色を示していたことを明かすと、田中は「嫌だったんだ!」と落胆。だが肩を落とす田中が、「皆さんは嫌じゃないですよね?」とこわごわ呼びかけると、客席は盛大な拍手でこれに応えていた。

 さらに安彦総監督は、キャスバルは田中しかいないと思った最初の瞬間は「『巨神ゴーグ』のムック本が出たとき、シャア役の池田秀一さんと田中さんの対談の記事を見たことがきっかけ」と告白。「それを見た時、『シャアって田中さんだよな』と思った。『池田さんは幼いころ田中真弓だったんだ』って(笑)」と振り返ると、会場はどよめきと笑いに包まれていた。

 富野由悠季監督、メカニックデザイナーの大河原邦男とともにガンダム黄金期を作り上げた“三巨頭”と謳われる安彦総監督。だが本人は、自らを「僕はアニメをやめた人間。今もアニメ関係者じゃないと思っている」という。さらに、アニメーション製作の最前線にいた当時のことを「僕のなかでは、手薄な状態でものを作っていたという感覚がある。さらに自分の才能がないことも合わせて、アニメ時代にはいい思い出がないと思っている」と述懐し、そのうえで「今ようやくアニメの仕事をしているなと実感するくらい充実しております。素晴らしいスタッフ、キャストのおかげで、本作、次作ともに満足しております」と感慨深げに語ると、会場からは温かい拍手が注がれていた。

 本作に続く、「機動戦士ガンダム THE ORIGIN II 哀しみのアルテイシア」は、10月31日から全国15館で2週間限定イベント上映。第28回東京国際映画祭は、31日まで開催。

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