新国立劇場がおくる大規模プロジェク
ト『デカローグ 1~10』 上村聡
史とともに演出を担当する小川絵梨子
よりメッセージが到着

2024年4月より新国立劇場 小劇場にて上演される、『デカローグ 1~10』。この度、新国立劇場演劇芸術監督で本作の演出を上村聡史とともに務める、小川絵梨子よりメッセージが届いた。
「トリコロール」三部作、『ふたりのベロニカ』で知られる、ポーランドの名匠クシシュトフ・キェシロフスキが発表した『デカローグ』。旧約聖書の十戒をモチーフに1980年代のポーランド、ワルシャワのとある団地に住む人々を描いた十篇の連作集。十篇の物語は、オムニバス形式のそれぞれが独立した1時間前後の作品だ。
もともとテレビ放映用ミニ・シリーズとして1987-1988年にかけて撮影されたこの作品は、テレビ放映前に「デカローグ5」と「デカローグ6」を劇場公開バージョンに編集し『殺人に関する短いフィルム』『愛に関する短いフィルム』として1988年に発表、カンヌ国際映画祭審査員賞を受賞するなど国際的に高い評価を受けた。その後、テレビシリーズも1989年ヴェネツィア国際映画祭で上映、後に世界で劇場公開された
その十篇の物語を4月~7月に新国立劇場にて完全舞台化する。
上演台本を、ロイヤルコート劇場との共同プロジェクト、劇作家ワークショップ発の作品『私の一ケ月』(2022年)の作家、須貝 英が担当。演出には、新国立劇場演劇芸術監督の小川絵梨子、そして上演時間計7時間半の『エンジェルス・イン・アメリカ』二部作(2023年)の演出を手掛けたことも記憶に新しい、上村聡史の二人があたる。
そして、全篇に登場する、登場人物たちを見守る”天使“と呼ばれる存在。物語ごとに全く違う職業の人間になり、各エピソードの主人公の選択や岐路には関与せず、ただ見守る。その難役を、小川、上村両名が信頼を寄せる、亀田佳明が担う。
『デカローグ 1~4』
全10話を大きく3つのブロックに分け、4~5月は『デカローグ1~4』を、5~6月は『デカローグ5~6』を、そして6~7月は『デカローグ7~10』を上演。4~5月に上演する『デカローグ1~4』では、小川絵梨子が演出を担当する1話と3話を「プログラム A」、そして上村聡史が演出を担当する2話と4話を「プログラム B」とし、交互上演する。
プログラムA出演者(上段左から)ノゾエ征爾、高橋惠子(下段左から)千葉哲也、小島 聖
プログラムB出演者(上段左から)前田亜季、益岡 徹(下段左から)近藤芳正、夏子
各話、十戒の戒律に対応しており、1話は「わたしのほかに神があってはならない」、2話は「あなたの神、主の名をみだりに唱えてはならない」、3話は「主の日を心に留め、これを聖とせよ」、4話は「あなたの父母を敬え」を
モチーフとしている。
全話通して、総勢40名以上の出演者と共に、公演期間約4カ月という前例のない大規模プロジェクトとなる本作に、期待しよう。
小川絵梨子からのメッセージ
『デカローグ』は人生と愛についての連作集です。十篇がそれぞれ独立した作品でありつつ、登場人物はみな同じ団地の住人であることから互いに繋がってもおり、十篇が壮大な一つの物語ともなっています。 登場人物たちは皆、どこにでも存在し得る隣人として描かれており、日常を生きる中で一つひとつの選択に悩み、葛藤し、時には失敗をしたり後悔もします。また、どの選択が正しかったのか振り返った時にも分からず、曖昧で孤独な不安の中に取り残される事もあります。各エピソードは十戒をモチーフにしていますが、決して人間を裁き断罪する物語ではなく、寧ろ、人間を不完全な存在として認め、その迷いや弱さも含めて向き合うことを描いた物語となっています。そこには正解もハッピーエンドもないかもしれませんが、人間をそのままに見つめ寄り添う視点の奥底には、人への根源的な肯定と愛が流れているように感じます。世界各地で戦争は続き、日々の生きづらさや、人生を生きることへの不安が簡単に消えることはありませんが、人間という存在への深い愛情と希望、そしてたとえ到達出来なくとも、人がより良い世界に向けて葛藤し続けることの必然と大切さを、この十篇の物語を通して少しでも描く事が出来たら幸いです。

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