八代亜紀「舟唄」歌詞の意味を考察!主人公が歌う舟唄に込められた想いとは?

八代亜紀「舟唄」歌詞の意味を考察!主人公が歌う舟唄に込められた想いとは?

八代亜紀「舟唄」歌詞の意味を考察!
主人公が歌う舟唄に込められた想いと
は?

“演歌の女王”八代亜紀の男歌を徹底解説!

2024年1月、確かな歌唱力と温かな人柄で長年愛されてきた演歌の女王・八代亜紀の訃報が告げられ、各地で悲しみが広がりました。
八代亜紀と言えば数々のヒット曲を歌い上げてきましたが、作詞を阿久悠、作曲を浜圭介が担当し1979年にリリースされた『舟唄』はその代表曲のひとつです。
▲八代亜紀-舟唄【日本コロムビア 公式YouTubeチャンネル】
自身初の男歌であり、発売年の第30回NHK紅白歌合戦で初めて大トリを務めることとなった思い入れの強い楽曲として大切にされてきました。
元々は阿久悠が「スポーツニッポン」連載の「阿久悠の実践的作詞講座」にて美空ひばり編の教材として書いた作品でしたが、八代亜紀が歌うからこそ多くの人の心を惹きつけるものとなったのでしょう。
どのような情景が描かれているのか、さっそく歌詞の意味を考察していきましょう。
舟唄 歌詞 「八代亜紀」
https://utaten.com/lyric/zh15102266
主人公は漁師の男性で、酒場で独り酒を飲んでいるところです。
好みの「ぬるめの燗」を傾けている姿は、どこかしんみりとした雰囲気を感じさせます。
酒の肴として出されたのは、漁師町らしく一夜干しのイカをあぶったもの。
安上りな肴で十分満足でき、特別なものはいらないという主人公の質素な生活と性格が窺えるでしょう。
店の女将は時折お酌をしてくれますが、余計なことは聞かず過度に世話をしてくることもありません。
そうした女将の態度が気に入り、「女は無口なひとがいい」と考えているようです。
ぼんやりと席を照らす灯りの雰囲気も良く、物思いにふけるにはぴったりの店です。
「ダンチョネ」の意味は?
舟唄 歌詞 「八代亜紀」
https://utaten.com/lyric/zh15102266
静かにしみじみと飲んでいれば、心の奥にあった「想い出だけが行き過ぎる」のを感じます。
そうすると思わず「涙がポロリ」とこぼれてしまいます。
彼にとってその思い出が、忘れたくても忘れられない大切で切ない思い出であることが分かりますね。
心に迫る思い出を振り返りながら、主人公は「舟唄」を静かに歌い始めます。
舟唄 歌詞 「八代亜紀」
https://utaten.com/lyric/zh15102266
音楽が転調すると、聞き慣れない「ダンチョネ」というフレーズが登場します。
「ダンチョネ」とは神奈川県民謡の『ダンチョネ節』のことを指しているようです。
『ダンチョネ節』は節回しの種類が多い俗謡ですが、この部分の歌詞は実際の『ダンチョネ節』とは異なる阿久悠のオリジナルであり、これが主人公が歌う『舟唄』です。
「沖のかもめ」を酔わせて漁をさぼり、愛する女性と朝遅くまで眠りたいという想いが歌われています。
「ダンチョネ」というフレーズは諸説あり、「断腸の思い」や「団長」が語源となったと考えられています。
主人公が別れた女性のことを思い出しているシーンで歌われていることから、断腸の思いを感じるほどの悲しみを覚える別れであったことが読み取れるでしょう。
夜が更ける海を見ながら男泣き
舟唄 歌詞 「八代亜紀」
https://utaten.com/lyric/zh15102266
飲み屋の装いは様々で、客引きのために飾り立てたり「はやりの歌」を流したりする店も多いものです。
一方で主人公が選んだ店は飾り気はないものの、その落ち着いた雰囲気がかえって魅力的です。
窓からは港が見え、濃霧の中で衝突や座礁を防ぐために灯台や船が位置を知らせる「霧笛」が時々聞こえてきます。
その風景に安心感を覚えている様子に、主人公が根っからの海の男であることを感じさせます。
このように危険な海の仕事から離れられないことが、彼女に別れを決意させたのかもしれません。
舟唄 歌詞 「八代亜紀」
https://utaten.com/lyric/zh15102266
酒に酔っているせいでさらに涙脆くなった主人公は、「ほろほろ」と涙をこぼしながら飲み続けているようです。
普段は強くあろうと気を張っていて、涙を流すことなどないのでしょう。
しかし、こうしてふと涙が流れるのはいつも「心がすすり泣いている」からです。
一緒に過ごした楽しかった時間や別れた時の彼女の表情を思い出すと、かつて彼女のために歌った「舟唄」を歌わずにはいられません。
未だに別れた女性のことを忘れられず、想い続けている姿が見て取れます。
舟唄 歌詞 「八代亜紀」
https://utaten.com/lyric/zh15102266
ゆっくりと一口、また一口と飲んでいると、未練の気持ちが心に「ぽつぽつと」染みを作るように舞い戻るのを感じます。
いつの間にか夜は更け、真夜中の静けさが主人公の寂しさを増長させていることが読み取れるでしょう。
自分の知らない場所で生きている女性のことを想いながら、彼はまた舟唄を歌います。
切ない愛を伝える歌声に魅了される!
八代亜紀の『舟唄』は、別れた女性への未練を断ち切れない船乗りの切ない想いが歌われた名曲です。
心に響く音楽と深みのある歌詞に彼女の哀愁漂う歌声が加わることにより、主人公の想いとその場の情景がありありと想像できる楽曲となっています。
生涯にわたって八代亜紀が大切にしてきた『舟唄』の魅力をじっくり味わってください。

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