あらなるめい(あらき・nqrse・めい
ちゃん)らしさが凝縮された、インタ
ーネットカラオケ大会&ウルトラカオ
スパーティー両公演をレポート

あらなるめいのインターネットカラオケ大会

あらなるめいのウルトラカオスパーティー
2023.10.21・22 幕張メッセ展示ホール9~11
10月21・22日の2日間、幕張メッセの最寄り駅である海浜幕張駅には、フェスを連想させるほど多くの人が大集結し、異様な盛り上がりを見せていた。実はこの両日の幕張メッセを満杯にしたのはあらきnqrseめいちゃんの歌い手3人によるユニット“あらなるめい”だったのである。彼らはそれぞれ、Z世代を中心に爆発的な支持を集めているのだ。その3人の合体ということで、その影響力は推して知るべし……というわけである。結成した2020年から、定期的にYouTubeで配信を行い、息の合ったところを見せてきた3人だが、コロナ禍の影響もあり、なかなか生ライブができない状況が続いてしまった。それが今回、ようやく有観客でのワンマンライブ(しかも2DAYS!)が実現。2020年1月には東名阪Zeppツアーを開催し、全公演SOLD OUTという実績を残した彼らだが、その規模をはるかに超えるキャパのライブを実現させるとは、すさまじい勢いだ。
ちなみに、初日の21日は“インターネットカラオケ大会”、2日目の22日は“ウルトラカオスパーティー”という異なる内容で行われている。ここではその2日間の盛り上がりぶりをお伝えしよう。
『あらなるめいのインターネットカラオケ大会』
まず初日の“インターネットカラオケ大会”は、人気の名曲を3人が歌唱するという、まさに“あらなるめい”の能力全開放とも言うべきセットリスト。開演時間を少々押したところで場内が暗転してライブがスタート。ステージ後方に作られた壇上に現れた3人はたちまち大声援に包まれる。客席は赤(あらき)、ピンク(nqrse)、オレンジ(めいちゃん)のイメージカラーがきらめくペンライトで埋め尽くされた。1曲目は「ヴァンパイア」。錚々たる歌い手達に愛されるダークでアッパーな人気曲。あらき、めいちゃんがハイパーな高音ボーカルで圧倒し、nqrseはクールなラップを披露。冒頭からアツいパフォーマンスで2万人のオーディエンスを引き込んでいく。カラオケ大会とは言いつつも、楽曲はバンド演奏なので、ブチ上がり度は満点。ネットでおなじみのアニメーション動画が同時にスクリーンに映されるのも“歌い手”のライブならではだ。続く「QUEEN」も目まぐるしく変わるボーカルパートにテンションは上がりっぱなし。やはりライブで聴く歌のパワーは別格だ。ネットでは聴きなれた歌も、目の前で放たれる歌声にはかなわない。3曲目の「アニマル」を歌い終えると、この日初のMCタイムに突入。
『あらなるめいのインターネットカラオケ大会』
『あらなるめいのインターネットカラオケ大会』
「幕張~~~!」と、元気にめいちゃんが観客に呼びかける。観客は声援とペンライトを振りかざして反応。広い会場を埋め尽くした光景に、あらきもnqrseもめいちゃんも嬉しそうだ。兄貴分のあらきはさらに盛り上げるべく、ソロ曲「ゴーストルール」を投入。イントロに嬌声が上がると、あらきは「後ろの方まで声を出していきましょう!」と煽り、アッパーなロックチューンで熱量を上げていく。観客がペンライトを赤に統一し、あらきのイメージカラーで盛り立てる。
その後、あらき✕めいちゃんのコラボ曲があったり、「パンダヒーロー」ではめいちゃんが単独で歌い上げたりと、個々の個性を活かしたボーカルを披露。「magnet」ではめいちゃんとnqrseがコラボし、異なる個性をぶつけながらも、息の合った歌声を響かせる。もちろん、アッパーな楽曲だけでなく、nqrseは自身の持ち曲でR&Bアレンジの「泡沫の夜」をクールに歌唱。キュートなイメージとは正反対の低音ラップでライブのムードを塗り替えた。しっとりタイムの後は、後半に向けて再びアグレッシブな展開に。イントロだけで観客がヒートアップしたのはあらき✕nqrseによる「インターネッツ・ディスコ」。“待ってました!”とばかりにフロアがうねり出す。あらきとnqrseの攻撃的な掛け合いも秀逸。客席からの掛け声部分もバッチリのタイミングで、一体感が増していく。続く「太陽系デスコ」ではスモークが噴出する演出もあり、楽曲のノリを倍増させた。
『あらなるめいのインターネットカラオケ大会』
『あらなるめいのインターネットカラオケ大会』
この後は3人の楽しいトークが展開するMCタイムをはさみ、ラストスパートへ。「声出していけますか~!」あらきが叫び、「ヒバナ」へ。nqrse、めいちゃんは広いステージを駆け回り、端の席のファンにもしっかりアピール。この勢いのまま本編は残すところあと2曲となった。ここで人気曲の「EYE」が投下される。観客は圧倒的な3人の歌のスキルを存分に堪能。残す本編ラストに用意されたのは「踊」。Adoの超高難度の曲だ。あらなるめいは個々のパートを難なくこなし、加えてお互いの掛け合いタイミングも完璧という神業をやってのける。彼らが歌い手としての実力をしっかり見せつけたところで本編は終了した。
『あらなるめいのインターネットカラオケ大会』
『あらなるめいのインターネットカラオケ大会』
続いて、観客が手拍子と「アンコール!」の声援であらなるめいの再登場を待っていると、会場後方から歓声とザワめきが……。何と、後方向かって右側の階段にはあらき、左側にはめいちゃんが登場! 後方の観客はまさかの至近距離に現れたふたりに大興奮。nqrseはメインステージに現れ、はたして真ん中の観客はどこを見ていいのが戸惑う中、「ワイニーガール」でポップにアンコールがスタート。その後、あらき&めいちゃんはプロレスの入場のように客席通路からステージへ移動。ファンの声援と熱視線を浴びながらnqrseと合流した。3人が揃ったところで客席を背景に記念撮影が行われ、アンコールは残り1曲に。この日を締めくくったのは「アスノヨゾラ哨戒班」。ポジティブな楽曲はラストナンバーにピッタリだ。曲が終わったあとも3人はステージを移動して「ありがとう~!」と、各エリアのファンに感謝の言葉を伝えていた。“ふわっとした感じで始まった”というあらなるめい。まさか幕張メッセという大舞台を埋めつくすことになろうとは……。驚くのは、これがまだ初日ということだ。翌日も同じ会場で、彼らは“ウルトラカオスパーティー”に挑む。初日とは内容がガラリと変わるということで、彼らのエンターテイナーぶりが問われるところだ。果たしてその中身とは――。
『あらなるめいのウルトラカオスパーティー』
22日、またしても幕張メッセ周辺は開演前から大混雑。どうやら2日間通しで観覧するファンも多いようだ。キャリーケースを転がす遠征組のファンも目立つ。開演時間となり、照明が暗転。昨日同様、ステージ後方の壇上に現れたあらなるめいのお三方。オープニングは「ヴァンパイア」で、2曲目が「アニマル」という前日に近い進行。とはいえ、アガる楽曲に場内はたちまちペンライトが揺れる熱いライブ空間に変貌していった……が、このあとからガラリと空気が変わる。生放送の企画で多くの人を楽しませている彼らが、何とステージ上で生のバトルを繰り広げる展開に挑戦! 2万人の大観衆をどこまで引き込むか、その実力が試されるところだ。
企画についてはnqrseが「(企画)を4つ用意しました。ポイント制で、ポイントが高い人が勝利です。勝った人には賞品があります」と説明。しかも賞品の中にはベンツ(!?)があるそうで……それが本当かどうかはともかく、ステージ上ではスタッフがもくもくと企画その1となる玉入れゲームの準備を進めている。使用する玉はハンドボールからバランスボール、玉ねぎの模型、バレーボールなど様々。なぜかバランスボールに1万ポイントという破格のポイントがつけられ、3人は開始の合図とともにガチで玉を投げ入れる。めいちゃんは一発で1万ポイントのバランスボールを玉入れカゴに乗せることができたのだが、これが後に明暗を分けることに……。他のふたりはまず入れやすいボールを入れたあとで、バランスボール乗せにも成功! そう、お気づきだろうか……最初にバランスボールでカゴの入口をふさいでしまっためいちゃんは追加のボールを入れられなかったのである(苦笑)。結果、小さいボールを何個も入れ、最後に大物のバランスボールを乗せたあらきが玉入れゲームを制した。
『あらなるめいのウルトラカオスパーティー』
『あらなるめいのウルトラカオスパーティー』
『あらなるめいのウルトラカオスパーティー』
企画その2は以心伝心ゲーム。これはお互いの声や動きが見えない状態で、上手くパートがかぶらないように歌いきるという、直感を要するゲーム。課題曲はYOASOBIの「アイドル」と絢香コブクロの「WINDING ROAD」。ステージに設置されたそれぞれのブースに入った3人には自分の声しか聞こえず、他のふたりの姿も見えない(ちなみに観客にはすべてが筒抜け)。時おり、見事に分かれたパートを歌っているかと思えば、かぶりまくる瞬間もあり、客席が湧いたり爆笑したり……あらき、nqrse、めいちゃんは、その反応も参考にしながら奮闘。その結果、アカペラで始まる「WINDING ROAD」で、かなり音程をはずしためいちゃんが、自信満々に歌ったあらきを破り、なんとあらきは一人で「おジャ魔女カーニバル!!」を全力歌唱することに。この罰ゲームを決めたのはあらき本人だったらしく、彼自身はめいちゃんが歌うことを想定していたようだ。自分のキャラに合わない歌を熱唱したあらきは、かなり体力を消耗した模様。想定外のことがおこるのもカオスパーティーならではだ。このあと、気を取り直して3人でクールな「EYE」を熱唱。合間にしっかり歌を聴かせてくる構成で、イベントに緩急をつける。
『あらなるめいのウルトラカオスパーティー』
続く企画その3は、なんとクッキング対決。ステージにはキッチン台がふたつ運び込まれ、かなり本格的。nqrseは料理に参加せず、あらき、めいちゃんの料理を実食して勝敗を決める係に。ふたりに突きつけられた料理はインド料理の“パニール・ティッカ”。会場に問いかけても、この料理を食べたことがあるのはごく少数。大多数が実態のわからない“パニール・ティッカ”を、あらきとめいちゃんは料理名の響きやイメージで用意された食材を使い、10分で完成させなければならない。ここでワザありだったのはあらき。正解かどうかはともかく、マイ包丁まで持参し、慣れた手つきで調理を進めていく。めいちゃんはフライパンでお湯をわかしているだけのように見えたが……。タイムアップ後に判明した本物の“パニール・ティッカ”とは、カッテージチーズを使い、野菜と串焼きにしたような料理だそうだ(かなりザックリな説明だが……)。あらきが作ったのは、インド風(?)の炒め物。ただ、nqrseは「いちばんウマい!」と絶賛。一方のめいちゃんは、ペヤングを作っただけ(?)という変化球を投げてきた。それもnqrseは「ウマい!」と評価したが、ここはあらきに軍配が上がる。
『あらなるめいのウルトラカオスパーティー』
『あらなるめいのウルトラカオスパーティー』
こうして企画はその4まで辿り着いた。その内容は歌い手王。あらなるめいが尊敬する先輩の歌い手さんに投げた質問にどう回答するか……これを予想するという信頼関係がモノを言うゲーム。センラ天月-あまつき-、Gero、そらるなど、そうそうたる歌い手が質問に応え、これまた想定外の回答を連発して場内を盛り上げた。ここでもあらき、nqrseが健闘したが、結果は後ほど……ということで、本編最後は「踊」の熱唱で締めくくられた。
『あらなるめいのウルトラカオスパーティー』
アンコールでは、あらき&めいちゃんが客席最後方に現れ(初日の階段とは違う場所)、あらなるめいのオリジナル曲「お前のことなんか 好きじゃないからなー!!!」で一気に場内をライブ空間へ。曲が終わると、ステージ上のnqrseから「実はステージに戻るまでに障害物競走があります!」と、告げられ、あとは結果発表だけと思っていたあらきとめいちゃんに衝撃が走る。しかも“おにぎり1個食べる”とか“反復横跳び10回”とか“バットを持って10周まわる”とか、かなり過酷なミッションが用意されていた。めいちゃんは奮闘したものの、時間内にはステージに到着できず、あらきに至っては遅れに遅れ……という残念な結末に。

『あらなるめいのウルトラカオスパーティー』
『あらなるめいのウルトラカオスパーティー』

それでも、個々のポイントが集計され、いよいよ結果発表の時間を迎える。果たして勝者は……大方の予想通り(?)、最初の玉入れや、MVPなどでポイントを稼いだあらきが堂々の優勝! ルーレットでの賞品選びに挑戦することに。まわる円形ボードに矢を投げ、刺さったのがなんと“ハワイ旅行”。ベンツには届かなかったものの(笑)、たわしなどの残念な賞品を回避し、運の良さを見せつけた(ちなみに、運だめしでルーレットに挑戦しためいちゃんはたくあんをゲット(笑))。
『あらなるめいのウルトラカオスパーティー』
このあと、2日間をしめくくるべく、それぞれが今回の公演の感想を語った。
「楽しい2日間になりました! みなさんのおかげです!」(あらき)
「温かい空間でした! こういう感じで配信も聞いてくれてるんだな~って。これからもあらなるめいをよろしくお願いします!」(めいちゃん)
「イベントは久々。(イベントは)それぞれの個性が出るけど、2日目は特にそれが出たかな。これからも個人として、あらなるめいとしてもしっかりやっていきます!」(nqrse)
シメはやっぱり歌で!ということで、大ラス曲の「アスノヨゾラ哨戒班」を3人で熱唱。演出の銀テープ噴射は、まさに最後の打ち上げ花火のようだった。歌と完全なエンターテイメントを両立したパーティーを成功させたあらなるめいの3人。次は何をしでかすのだろうか。今後の活動に注目だ。

文=海江敦士
撮影=岡田裕介、松崎浩之、江隈麗志(C-LOVe CREATORS)、Yusuke Satou

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