【ジャンク フジヤマ インタビュー】
前向きなアルバムを
作っていきたいっていう
想いは常日頃からある
声の芯を保ちながら、
届く音でちゃんと歌えるのが理想
ヴォーカリストとしてのこだわりはいかがですか?
「SOUTHERN CROSS」は6/8拍子の王道バラードなんですけれども、ゴスペルチックなところもあったりして、この曲は力を入れております。
この曲はライヴで聴いたらドラマチックになりそうですね。
ただ、ライヴでやる時には少し熱量を抑え気味でやらないと、やりすぎる感が出るかもしれないと思ったりしますけどね。バラードって歌っている側は気持ち良いのですが、あまり押しつけがましくならないように、ある程度グッと堪えるところも必要だったりするので。行きすぎないように、今のところはイメージしています。
ジャンクさんはすごく声量があるし、声のハリや強さもある方なので、それをメロウに聴かせるのって、かなり自制しなきゃいけないんじゃないですか?
むしろ抑えるほうが体力を使いますからね。芯を保ちながら届く音でちゃんと歌うっていうのは、意外とそっちのほうが体力を使うので。自分を開放しちゃったままずっといくのは…長い期間それをやっていれば大変になるんでしょうけれども、一本一本のステージだけで考えたら、実は楽なんですよ。“ここで引っ込んでもう一回波を作って、そこで抑えて、今度はここでガーン!といく”っていうのを自分の中で計画して、それを実行していくのって体力を使う。“精神的な体力”って言ったほうが正しいのかな? それが年を追うごとにだんだんとできるようになってきたっていうか、我慢が効くようになったっていうかね。辛抱しつつやれるっていう。
もはや匠の域じゃないですか!?
いやいやいやいや、まだまだですよ。大先輩方から見ればね。普段お話しする方って、ほとんど大先輩ばっかりなので。
大先輩って世代的なことですか。
そうです。例えば、根本 要さんとか、佐藤竹善さんとか。普段お話しする機会が多いので、そういう方たちを見ているとまだまだだなと。要さんからは“声は10年ごとに変化するから、うまく自分の中で消化してとらえて、その時の歌を自分でやれるようにしなきゃダメ”みたいな話をうかがったり。確かに自分も30代から40代になった時、変化したと実感しましたしね。“キーが下がる”とか“声が出にくくなる”とかそういうことじゃないんですけどね。自分の中で歌として使える範囲が、僕の場合は広がったんですよ。わりと若い頃は高音…ハイトーンのところを活かせればいいと思ってずっとやっていましたけど、それだけじゃない低音の部分…それこそ普段話している声ぐらいのトーンでもちゃんと響くように歌えるのが理想なので。
レジェンドと言えば、今作では布施 明さんの「君は薔薇より美しい」のカバーもされていますね。
もともと歌謡曲が好きなんですよ。この曲は以前にライヴで歌ったことがあったんですけど、今回のレコーディングにあたってはリズムパターンだったり、アレンジに関して“こういう感じでいこう”というイメージが僕の中にあったので、アレンジ担当の神谷 樹くんにすぐ連絡して。軽快な感じで進んでいく…そんなアレンジにしたいと伝えましたね。
この曲はすごく難しいですよね。場面も複雑に展開するし、感情も変化していってテンポも変わったりするし。で、最後の《ああ 君は変った》は、まさにカタルシスだと思います。
あそこに行くためだけに、いろいろ込み入った何某があるわけですから(笑)。でも、これを歌える人ってそんなにいっぱいいるわけじゃないと思うんです。《ああ 君は変った》に辿り着くまでに、だいたい挫折するという(笑)。そこは自負していますね。これを聴いて“自分もこんなふうに歌ってみたい!”と思う人が出てくると面白いんですけどね。
アルバムのリリース後には、大阪、東京、岩手、宮城のライヴと四国ツアーが決まってますね。
アルバムの曲をバンドでしっかりやる感じになるのは大阪、東京、岩手、宮城公演ですね。普段はメンバーがわりと大先輩の方が多いんですけど、今回は若手で組んでいるのでフレッシュな感じ…“フレッシュ”という言い方がすでにフレッシュじゃないですけど(笑)、その辺を感じ取っていただければと。僕がメンバーの中で一番年上なんですよ。今回は若いメンバーで…だからってやることは変わらないですけど、いつも以上に引っ張っていきたいですね。四国は神谷 樹くん(Gu&Cho)とふたりで回るので、ニューアルバムからはアコースティックでさまになる曲をセレクトしようと考えています。
取材:舟見佳子
「あれはたしかSEPTEMBER 」MV
『DREAMIN'』全曲試聴動画
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