【ジャンク フジヤマ】一億人いれば
一億の優しさがそれぞれある
シティポップスの新星、ジャンク フジヤマが両A面となる2ndシングルをリリース。パワーあふれる歌声とグルービーなサウンドで描き出すのは、明日に向かって動き出すための確かなエネルギーだ。
取材:舟見佳子
「PROUD」はとても躍動感のある曲で、聴いていて心浮き立つような、音からも歌詞からも力をもらえる曲ですね。
この楽曲をもらってメロディーを聴いた時に、どういうアレンジでいくのかなって訊いたら、パワー感のあるサウンドにしたいってことをおっしゃってたんで、そのパワー感に負けない内容の歌詞がいいなっていうところで、歌詞を作り始めたんですね。歌詞の内容に関しては、パワー感はありつつも、変な啓蒙意識っていうのはなくしたくて。強いサウンドだとどうしてもそういう強いメッセージ性にいきたくなっちゃうので、そこを削ぎ落とし削ぎ落とし、使う言葉もなるべく一般的に分かりやすい表現で。で、核にあるのは、優しさだとかそういうものを取り戻していきたい、みたいな。それぞれに優しい心があれば、日本人一億人くらいいるわけだから、一億の優しい心になるっていう、そういうものを表現したかったんです。
普遍的な言葉を使って、みんなが共感できる気持ちを?
ええ。みんなそれぞれの感じ方があるという、そこを大切にしたかったですね。一億人いれば一億の優しさがそれぞれあると。まぁ、ちっちゃいことで言うと、おばあちゃんに席を譲るとか、道端にゴミを捨てないとか、そんな程度のことでも。そういうようなところから、心にひとつひとつ変化があればいいんじゃないのかって。
2曲目「EGAO」の歌詞とも、共通するものがありますね。
だからこそ、両A面シングルっていうことなんです。この2曲でひとつのメッセージになればいいなっていう。例えば、アンサーソングとかってやり方もありますけど、これはそういうんじゃなくて、ふたつでひとつの意味合いを成すということですね。『PROUD』は宇宙的な感覚で見た優しさっていうデッカい捉え方で、『EGAO』はもっと限定した“笑顔”っていう、人間の根源的な部分にある優しさっていうか。
「PROUD」はマクロ、「EGAO」はミクロでの優しさ?
そうです。だって、笑顔を見ると誰でも、どんな人の笑顔でも幸せになれるでしょ? 笑ってる顔がやっぱり一番いいんですよ。非常に簡単で、よく使う言葉なんですけど、笑顔には本当に人間の根源的なものがあるんじゃないかなっていう。笑えなくなった世界って、想像するだけで恐ろしいじゃないですか。
この2曲は、音のグルーブ的にも近いものがありますよね。
アレンジしてる人も一緒ですからね。音使いとか似るところはあるんでしょうけど、作曲した人間は違う(『EGAO』はジャンクと神谷洵平の共作曲)。でも、まったく違う人が違う空間で違う思想で作ってるのに似るんです。それは一緒にプロジェクトをやってるからだろうなって。じゃあ、これを両A面っていう扱いで、2曲でひとつのことを表現するやり方も面白いなと。
今作って、2曲とも未来に目を向けていて。ジャンクさんの考え方というか人と成りが伝わってくるような気がします。
言葉に関しても見てほしいですよね。サウンドだけの評価じゃなくて、どういうことが言いたいのかくらいなことは。
でも、こういう音楽性の方って、職人的にサウンドのほうばかりに偏りがちですけど、バランス良く発信してますよね。
両立させる難しさって当然あるんですけど、そこは大切にしていきたいなと思うんですよね。メッセージだけっていうんじゃなくて、ちゃんとメロディーやサウンドの良さもあって、そこに歌詞が相まっていい表現になっていくと。そういうのをちゃんと作っていきたいなとは思ってます。
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