L→R 蜷川べに(津軽三味線)、山葵(Dr)、神永大輔(尺八)、鈴華ゆう子(Vo)、町屋(Gu&Vo)、亜沙(Ba)、いぶくろ聖志(箏)、黒流(和太鼓)

L→R 蜷川べに(津軽三味線)、山葵(Dr)、神永大輔(尺八)、鈴華ゆう子(Vo)、町屋(Gu&Vo)、亜沙(Ba)、いぶくろ聖志(箏)、黒流(和太鼓)

【和楽器バンド インタビュー】
『I vs I』はいわゆる
“抜いている楽曲”というのがない

「生命のアリア」はギターと
尺八でフーガをやろうと思った

町屋さんはアコギを弾くことも苦にされないようですが、その辺りはいかがでしょう?

アコギは“これはエレキギターじゃなくてアコギだな”と思ったら弾く感じですね。以前にも「時の方舟」みたいに小編成でリズム隊が入っていない「独歩」(2018年4月発表のアルバム『オトノエ』収録曲)という曲があって、その時はクラシックギターを弾きました。アコギを弾く際は神経質にはなりますけど、今回はそれほど難しいものがなかったのでスムーズでした。

「時の方舟」ではアコギソロも弾かれていますね。

今回はアコギでソロを弾いている曲が他になかったので入れることにしました。ギターソロを弾かずにスッと終わっても良かったけど、やっぱりちょっと引っ張りたいと思って。

“ギターソロだぜ!”という感じではなくて、楽曲の世界をさらに深めて締め括るという在り方がすごくいいと思います。

そう感じてもらえたなら良かったです。“ギターソロ、キタァー!!”というのは「時の方舟」の前に入っている「そして、まほろば」でやっているので(笑)。

確かに「そして、まほろば」のギターソロはテクニカルという面では今作のハイライトと言えます。

この曲のソロはほとんどアドリブで、それをあとから整理してかたちにしました。なので、手癖フレーズが多いですね。

あの流麗なフレージングが手癖というのは驚きです。もうひとつ、「そして、まほろば」はハーモニーソロになっていますが、ハーモナイザーを使われたのでしょうか?

いえ、手弾きです。ハーモナイザーを使うと、ずっと同じ調のハーモニーになるじゃないですか。せっかくハモるならハーモニーにバリエーションがあったほうがフレーズに意味を持たせることができると思うんですよ。“ここは3度、ここは5度”というふうに使い分けたり、“ここのフレーズは説得力を出したいな”というところはオクターブにしたりとか。そういうアプローチをとりたいので、いつも手弾きでやっています。

あのフレージングを手弾きでハモれるというが、もうなんと言いますか…。ハーモニーと言えば、「生命のアリア」や「藍より青し」「Starlight (I vs I ver.)」などではエレキギターと尺八のハーモニーを用いていることも印象的です。

これは僕の中ではもう鉄板の手法で、エレキギターと一番ハモリやすいのが尺八なんですよね。やっぱり音が伸びるから。

とはいえ、ギターと尺八では音の立ち上がりの速さが大きく違いますので、難易度が高い気がします。

僕と尺八の神永のハモリは、だいたい勢いで押し倒せるというか。あまり細かいことを気にしなくても、いい感じになるんです。尺八は発音が速い楽器ではないのに、彼はちゃんとリズムを出すことができるから。「生命のアリア」のハーモニーに関しては、ギターと尺八でフーガをやろうと思ったんです。あのハーモニーは逆にギターの発音が速すぎると良くないので、厚めのピックを柔らかく持ってバチン!と弾かないようにしました。少しレイドバックしながら弾くと合うんですよね。

ここでも細かい技を活かされているんですね。今作は「そして、まほろば」を筆頭に、テクニカルなギターソロをたくさん聴けることもポイントです。

わりともう頭からトップスピードとかの曲も結構多かったですね。ただ、それもテクニックを見せつけたかったわけではなく、純粋に曲調に合わせた結果です。

フルピッキングの速弾きはもとより、タッピングやスウィープピッキングなども織り交ぜますし、特にダブルストップのスムーズさは注目です。

ダブルストップはもう手癖になっているくらい得意分野です。ダブルストップはフュージョンで覚えたんですよ。

ダブルストップはポジションチェンジする時に左手のかたちが変わるので、速く弾くのが難しいじゃないですか。

そうですね。僕はダブルストップを使う時の指板の絵がちゃんと見えているので苦にならないですけど。

ええっ、そうなんですか!? どうしたらそうなれるのでしょう?

ダブルストップを弾き続けるしかないです(笑)。

…ですよねぇ(泣)。まさに『I vs I』は非常に密度の濃い、必聴のアルバムになりましたね。

新しいアルバムを作るにあたって、シングルを詰め込んだだけのアルバムにはしたくなくて。僕はもともとプログレが好きなだけあって、コンセプトアルバムが大好きなんですよ。なので、いかにコンセプトアルバムっぽく、それぞれの楽曲に意味を持たせるかということはすごく重要視しましたし、シングルカットした時のバージョンと今回のアルバムバージョンでは音の聴こえ方が全然違ってくるので、そこも楽しんでもらえると思います。『I vs I』は、いわゆる“抜いている楽曲”というのがないんですよ。昨今はよりインスタントに制作できる環境になっていて、プロの現場でもDTMである程度作り込んで持っていくことが結構多いと思うんですね。我々はそういうやり方はしていなくて、全曲とも同じ手間で作っているんです。そういう作品ではあるので、より多くの人に『I vs I』が届くといいなと思っています。

アルバムのリリースが待ち遠しいですし、今作を携えて7月からスタートさせる全国ツアーも楽しみです。

今度のツアーはアルバムの全曲をやります! たぶんめちゃくちゃカロリーの高いライヴになると思うんですよ。20代の頃とかなら全然いけると思うけど、我々ももうあまり若くはないので、これはエグいかなと(笑)。ただ、しんどいというのはこっちの都合じゃないですか。なので、そこはどうでも良くて。今回のアルバムを実際に現場で体感してもらうパッケージということを考えると、やはり全曲演奏するしかない。それをいいかたちで披露したいと思っていますし、楽しんでもらえる自信もあるので、ぜひ会場に足を運んでほしいです。

取材:村上孝之

アルバム『I vs I』2023年7月26日発売 UNIVERSAL SIGMA
    • 【初回限定“ボカロ三昧2 大演奏会”盤】(CD+Blu-ray)
    • UMCK-7217
    • ¥7,700(税込)
    • ※トレーディングカード(絵柄A) 全9種類の内1枚ランダム封入
    • 【初回限定“vs”盤】(CD+グッズ)
    • UMCK-7218
    • ¥6,050(税込)
    • ※トレーディングカード(絵柄B) 全9種類の内1枚ランダム封入
    • ※Goods内容:範馬刃牙コラボロゴ使用 ・ミニタオル ・アクリルキーホルダー ・ステッカー2種(範馬刃牙コラボロゴ1種、アルバムロゴ1種)
    • 【CD Only盤】(2CD)
    • UMCK-1752〜3
    • ¥3,850(税込)
    • ※トレーディングカード(絵柄C) 全9種類の内1枚ランダム封入
    • 【真・八重流(FC限定)盤】
    • (全3形態(初回限定「ボカロ三昧2 大演奏会」盤+初回限定「vs」盤+CD Only盤)+DVD)
    • PROS-1929
    • ¥18,150(税込)
    • ※受注生産による完全限定盤
    • ※トレーディングカード(絵柄A、B、Cのいずれか全9種入り)
    • ※スペシャルBOX仕様

ライヴ情報

『和楽器バンド Japan Tour 2023 I vs I』
7/29(土) 千葉・市川市文化会館
8/13(日) 埼玉・大宮ソニックシティ 大ホール
9/02(土) 愛知・日本特殊陶業市民会館 フォレストホール
9/07(木) 東京・ LINE CUBE SHIBUYA
9/18(月) 広島・上野学園ホール
10/01(日) 茨城・水戸市民会館 グロービスホール
10/07(土) 大阪・オリックス劇場
10/09(月) 宮城・仙台サンプラザホール
10/29(日) 福岡・福岡サンパレスホテル&ホール

和楽器バンド プロフィール

ワガッキバンド:詩吟、和楽器とロックバンドを融合させた新感覚ロックエンタテインメントバンド。2014年4月にアルバム『ボカロ三昧』でデビュー。15年に発売した2ndアルバム『八奏絵巻』はオリコン週間ランキング初登場1位を獲得し、翌16年にはデビュー1年9カ月にして初の日本武道館公演、北米単独ツアーを開催し、ワールドワイドに展開。さらに19年にはさいたまスーパーアリーナ2デイズ公演を成功させ、よりワールドワイドな活動を本格的に始動させ、世界最大のレコード会社ユニバーサルミュージックとグローバルパートナーシップ契約を締結。今、日本のみならず世界中から注目を集めるアーティストである。和楽器バンド オフィシャルHP

「The Beast」MV

「ボカロ三昧2 大演奏会」
@中野サンプラザ LIVEダイジェスト

OKMusic編集部

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