作曲家・はるきねるが手がけた、ボイ
スミュージカルの制作発表が7/7にYo
uTubeで開催 田村芽実、新正俊がW主

株式会社OTO.LIKOが、2023年7月7日(金)21時からYouTubeのプレミア配信で『想稿・銀河鉄道の夜 Voice Musical vol. 1』のオンライン制作発表会を実施する。
制作発表に先立ち、W主演者の田村芽実、新正俊をはじめ、全キャストメンバーを発表。それに伴い、制作発表会の内容、および同時リリースのシングル「ケンタウルス露をふらせ(Duet Version)」、そして9月1日から実施予定のクラウドファンディングについて、本ボイスミュージカルを手掛けた、作曲家・はるきねるのオフィシャルインタビューとともに紹介する。
「私が救われたかった」はるきねる作曲のボイスミュージカル制作発表
株式会社OTO.LIKO(代表取締役CEO:新良俊輔)は、所属作曲家「はるきねる」が作曲・演出した『想稿・銀河鉄道の夜 Voice Musical vol. 1』の制作発表会を、OTO.LIKOのYouTubeチャンネルにて7月7日21時よりプレミア配信で開催します。発表会では、はるきねる、W主演者の田村芽実さんと新正俊さんからのメッセージのあと、録音風景の一部を公開し、さらに制作発表のために書き下ろした劇中歌のシングルバージョン『ケンタウルス露をふらせ(Duet Version)』を初披露します。劇中では、新正俊さん演じるジョバンニによってソロで歌われますが、先行シングルでは新正俊さんとカムパネルラ役の田村芽実さんのデュエットで歌われます。
ボイスミュージカルの名前のとおり、今作品は音声のみですべてを表現します。原作は宮沢賢治の未完の童話を自由な解釈で戯曲化した北村想さんの『想稿・銀河鉄道の夜』。今回のボイスミュージカル版では、北村想さんの許諾を得て、映像なしでも伝わるようにはるきねるが台本を一部アレンジをし、12曲の楽曲を書き下ろしました。
これまでの仕事で作曲してきた舞台音楽ではキャストがすでに決まった状態で仕事を始めるのが常でしたが、今作ではそれぞれの役を掘り下げ、イメージに合う役者さんに交渉するところから始めなければなりません。はるきねるの中にはそれぞれの役の声に対して明確なイメージがあり、理想のキャスティングに2ヶ月を費やしました。
はるきねるのイメージするカムパネルラは、知的で思慮深く、実際よりも精神年齢の高い人物で、曲作りにおいてもあえて難しいメロディを書いたため、とにかく歌のうまさと表現力のある田村芽実さんを起用。それに対してジョバンニは、少年らしい無邪気さや元気さ、そしてピュア感を出したくて、あえてシンプルなメロディを書きました。何人もの候補者の歌声を聴いた上で、まさに少年らしいフレッシュさに惚れ込んだ新正俊さんにお願いしました。
田村芽実
新正俊
ザネリは少しひねくれた、意地悪な性格の人物像で、一方青年はザネリと正反対の利他的な性格で、その二役を演じ分けられる演技力を持った役者さんとして中谷優心さんを選びました。
中谷優心
「有名な猫のアニメ版(1985年の杉井ギサブロー監督作品)よりもポップで明るい雰囲気を作りたかった」と話すはるきねる。同じく彼女が音楽を担当した舞台『Dr.STONE』にも出演していた石田隼さん(男教師・大学士役)やOTO.LIKO在籍の新良エツ子(女教師・尼僧役)は、それぞれ性格が真逆の二役を演じており、はっちゃけた演技とシリアスな演技のギャップが狙い通りはまりました。一番難航したのが少女役。マネージャーの続木がさまざまな候補者を提案しても、はるきねるは首を縦に振らないまま時間が経過していきました。粘り続けてようやく理想の少女役を江﨑葵さんの中に見つけたと話すはるきねる。「彼女はアイドルらしいキラキラとした美しさや朗らかさを持ちながらも、同時に『ナチュラルな女の子』を演じることができる、この良い意味で『ふつう』の演技ができるからこそ、死の非情さが引き立てられる。そして小十郎役には、ラサール石井さん。酸いも甘いも噛み分けた人生の深みを表現して欲しくてお願いした」と振り返ります。
石田隼
新良エツ子
江﨑葵
ラサール石井
はるきねるは、現在妊娠約8ヶ月目。9月からは産休に入るため、その間に少しでも多くの人に作品のことを知ってもらい、応援してもらいたいと、「本当に私の知名度で支援が集まるのだろうか?」という不安をかかえながらも、クラウドファンディングをやることを決意。これまでにいただいたお仕事では、できるだけクライアントさんにご迷惑がかからないようにSNSなどで発信を控えていた彼女に、自分で企画からすべてをやってみたこの作品を通して、「作って終わりではダメで、自分の口でたくさんの人に聞いてくださいと届けていく義務があって、知ってもらう機会を作るためにどんなことでもやろう」という意識が芽生えたという。
はるきねる
この記事を書くために、ここまで約1時間、はるきねるをインタビューしてきた。彼女は、ほとんど感情を見せず、どの質問にも淡々と答えていく。「どんな人にこの作品を届けたいか?」と訊いても、「ミュージカルが好きな人」と答えは素っ気ない。「私がミュージカルファンなので、いつも観客として自分が見たい作品を作っているんだと思う」とやはり淡々と話していく。
はるきねるの表情が急変したのは、このプロジェクトのスタート時から二人三脚で一緒に走ってきたマネージャーの続木のひと言だった。「今だから言うけど、私は和田さんが、ボイスミュージカルの題材として『銀河鉄道の夜』を提案してきたとき、何バカなこと言ってるの、この人? って思ってたよ」。その瞬間に、はるきねるが必死でせき止めてきた感情が一気にあふれ出てきたのだ。
はるきねるは、コロナ禍で日本中の病院が混乱していた時期に、我が子を白血病で亡くしている。そんな彼女に、生と死を題材とした『銀河鉄道の夜』を提案するのは、酷なのではないかと続木は本気で心配したそうだ。はるきねるは、宮沢賢治の残した4つのバージョンを読み、昔見たアニメ映画を見直し、北村想さんの戯曲を読んだ。そして、北村想さんの戯曲だから、やりたいと心から思ったのだと、目に涙をいっぱい浮かべながら語り始めた。
「もちろん悲しいに決まっているし、それでも私は息子の死をきちんと受け入れたと思っていた。いや、受け入れたんだと自分に言い聞かせていたけど、やっぱり受け入れられていない現実に気づかされた。(息子が闘病していた)3年もの間、何度も入院と退院を繰り返した。退院はもちろん嬉しいけど、それで問題がすべて消えたわけではなくて、いつ再発するか分からない不安の中で居続けなくてはいけなくて、そしてまた再発して入院生活に戻される。白血病患者の親にとって、できることは何もない。かわってあげられるわけでもない。だから、もし亡くなるという未来があっても、後悔をしたくないという気持ちで1日1日を生きた3年だった。ある意味、私は3年の準備期間をもらっていた。」涙と同じように、彼女からあふれ出す言葉は止まらない。
「そりゃ、本当に悲しくてどうにかなりそうだよ。でも、苦しさから解放されて楽になって良かったねという気持ちもある。言葉では、言葉では伝えられないから、伝わらないから……」そこまで話して、しばらく考え込む。
「北村想さんの戯曲では、宮沢賢治の原作にはなかった『救い』が感じられた。宇宙にあるものはもともとは全部が1つだから、この宇宙のすべての物質にカムパネルラは存在しているよと、たとえ亡くなったかもしれないけど、どこにでも存在しているんだよ、と語りかけてくれるようで、それがその時の私が求めていた答えだったのだと思う。
子供の死に意味を持たせたいと言うよりは、結局のところ、私が救われたいんですよね。死んじゃったかもしれないけど、それは永遠の別れではないんだよ、と思えることで救われたい。自分のために書いているって感じです。」涙を拭きながら、その声には自信がみなぎっているように聞こえてきた。
「私にとって作曲とは……自分の心の内を見せることかな。私は(大切なことは)言葉では伝わらないと思っていて、だから音楽を書く。(私も)いい大人だから、心配してくれる人の前で、わーっと泣くこともできない。でも、音楽だったら、悲しい音楽だって書いていいんですよ。しかも、そんなに圧が強すぎない。言葉は強すぎる。ダイレクトにこの3年間をすべて伝えるのは重すぎる。音楽の方が伝えやすいから音楽を選んだ。いつかは物語も書いてみたいけど、今の自分にはつらすぎる。だから、誰かのお話を借りて、自分の心を伝えたい、たぶんそれが私が舞台音楽に惹かれる一番の理由だと思う」
そんなはるきねるにとって、このボイスミュージカルの一番の聞かせどころは11曲目の『ほんとうのことII』だと言う。それこそが、全てのものの中にカムパネルラはいるよ、と気づかさせてくれる場面だからだ。そして、作品中もっとも難曲となったこの曲は田村芽実さんに当て書きしたものだ。全てのものの中にカムパネルラはいることを受け入れた上で、カムパネルラを送り出すエンドロールの曲『銀河鉄道の夜』のはるきねる歌唱バージョンを、7月14日以降にシングル第2弾として公開予定。
田村芽実さんは、本田美奈子.さんの意思を引き継ぎ、白血病・難病の方々、子供たちそしてそのご家族をサポートする「(認定)特定非営利活動法人リブ・フォー・ライフ美奈子基金」の活動に熱心に取り組まれていることを、レコーディングの場で知ることになったはるきねる。子どもの出産を控えた今のはるきねるでなければきっと書けなかったこの作品を通じて、つながりが生まれていく。まさに3年間かけて探し求めていた答え:元は全部1つだったことを意識せざるを得ない。
はるきねるは、「現実の世界にはつらいことが多すぎる。非情すぎる。だから、せめて物語の世界では希望のある話に音楽を書き続けたい」と語る。最後にもう一度「どんな人にこの作品を届けたいか?」と前半と同じ質問を繰り返してみる。今度は情熱的な答えが返ってきた。「大切な人を亡くした全ての人に届けたい。自分とおなじような境遇の人にこそ、聞いてもらいたい。そして、自分が救われたように、誰かが救われたらこんなに嬉しいことはない」と。30分の予定だったインタビューは、あっという間に2時間が過ぎていた。
クラウドファンディングの詳細は9月1日に発表する予定です。また、完成作品は、オーディオブックとして、来年初頭に配信する予定です。詳細情報は、公式Twitter(@VoiceMusical_ )および、本日公開の公式ウェブサイト(www.harukineru.com/voicemusical/)でアップデートしていきます。また、クラウドファンディングで目標額を達成した場合は、残りの全額を「(認定)特定非営利活動法人リブ・フォー・ライフ美奈子基金」および「日本赤十字社」に寄付します。
はるきねる<プロフィール>
幼少の頃よりピアノ・合唱・吹奏楽・オーケストラ・バンドと幅広く音楽活動を行う中で自由に音楽を作って表現する楽しさに目覚め、 シンガーソングライターとして活動しながら作編曲について独学で学ぶ。 2018年、綾野ましろ「衝動」にて作詞家デビュー。以後、自身の活動に加え、アーティストへの楽曲提供も積極的に行う中、 舞台『鬼滅の刃』などの人気舞台にBGM制作や歌唱曲アレンジャーとして携わり、高い評価を得る。 その才能を目の当たりにした舞台作曲家・和田俊輔が「次世代のミュージカルシーンを担う存在になれる」と惚れ込み、2021年、和田が株式会社OTO.LIKOに誘い専属作曲家・編曲家として入社。
2022年4月『王妃の帰還』にて舞台作曲家デビュー後、「『Dr.STONE』THE STAGE~SCIENCE WORLD~」やサンリオピューロランド『Sweets Puroland~フレフレ★ピューロ学園~』内で上演の『We Are ピューロ学園★応援Dan・ce部』のショー楽曲などを手掛ける。
インタビュアー・文責 「株式会社OTO.LIKO」 COO, CMO:梶純
はるきねるマネージャー:続木ひなこ

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