【X Games】5分で分かるスケートボー
ド バートの魅力とは?

『X Games Chiba 2023』が5月12日(金)~14日(日)、ZOZOマリンスタジアム(千葉県)で開催される。
今大会ではスケートボードで6つの種目が行われるが、中でも特に迫力ある演技が見られるのがスケートボード バートだ。オリンピックには採用されていないものの、一度見たらその魅力に引き込まれることだろう。
今大会には“スケートボード界の神”と呼ばれたトニー・ホーク(54=米国)が、男子スケートボード バート ベストトリックに出場する。ホークは1999年に開催された『X Games』のサンフランシスコ大会で、同種目のエアートリック(空中技)史上初となる2回転半900°(ナインハンドレッド)を成功。伝説の存在となった。
今回は、そんな“スケートボード界の神”を生んだスケートボード バートについて、知っていると観戦がさらに楽しくなる知識と情報をチェックしておきたい。
スケートボード バートって、どんな競技?
Brett Wilhelm / ESPN Images
バート(Vert)とは、垂直を意味するバーチカル(Vertical)の略。ランプと呼ばれる最上部が垂直となるハーフパイプ状の巨大構造物を往復しながらトリック(技)を競う。
見所は空中に高く飛び出しての回転技。派手なトリックほど高得点だが、難易度は高く、ボードにうまくライディングして着地するには高いスキルが求められる。言わばエアートリックの極限を求める競技となっており、スノーボードのハーフパイプと共通する点が多いため、幾多のスノーボーダーが夏場の練習に採用している。
バートは米国カリフォルニア州のスイミングプールが発祥と言われる。1970年代中頃、深刻な水不足で干上がったプールで、地元のスケートボーダーたちがライディングを楽しんでいた。このことから、バートは当時“プールライディング” と呼ばれていた。海でなくてもサーフィンの感覚が得られるという理由から、サーファーたちがプールでスケートボードを楽しむようになったのが発端と言われている。この“プールライディング” がパークやバート会場のひな形となった……というわけだ。
スケートボード バートの競技ルールは?
スケートボード バートでは、制限時間内にトリックとルーティン(動作)の完成度を競うのが基本だ。
『X Games Chiba 2023』で実施される種目のひとつ、男子スケートボード バートでは30分間のコントロールジャムセッション形式で、ライダーが1人ずつ、スタート順にランを行う。1ランの制限時間は30秒間となっており、これを30分間により多く行うことになるので、1人あたり約4本の滑走が可能。評価は1ランごとに行われ、全てのランのうち最も評価が高いランがそのライダーの成績となり、順位を決定するという仕組みだ。
一方、もう一つの種目となるベストトリックでは、20分間で約10本のトライが行われる。
Brett Wilhelm / ESPN Images
今日競技の評価を左右するのは、何と言ってもエアーの高さとその回転。2回転半の900°だけでなく、3回転の1080°(テンエイティ)が飛び出すか? 高さと複雑さを兼ね備えたトリックからは目が離せない。
前回の千葉大会では芝田モトが銀メダル
昨年にZOZOマリンスタジアムで開催された『X Games Chiba 2022』では、初日の男子スケートボード バートで、当時28歳のジミー・ウィルキンス(米国)が金メダルを獲得。1本目から首位を守り、『X Games』の同種目4連覇を達成している。これは史上2人目の快挙となった。
Jason Halayko / ESPN Images
同26歳で日本の第一人者である芝田モトは、2位という結果に。3位のギー・クーリ(ブラジル)は当時13歳で、『X Games』の男子スケートボード バート史上最年少かつ自身初のメダル獲得となっている。
Yoshio Yoshida / ESPN Images
Jason Halayko / ESPN Images

【X Games Chiba 2022/男子スケートボード バート最終成績】
1.Jimmy Wilkins(USA)<金メダル>
2.Moto Shibata(JPN)<銀メダル>
3.Gui Khury(BRA)<銅メダル>
4.Elliot Sloan(USA)
5.Tate Carew(USA)
6.Clay Kreiner(USA)
7.Edouard Damestoy(FRA)
8.Mitchie Brusco(USA)
2日目の男子スケートボード バート ベストトリックでは、当時25歳のミッチー・ブルスコ(米国)が優勝。ブルスコは4本目にビッグフリップ マックツイストを決め、自身2度目となる1080°をメイクした2021年王者のギー・クーリを抑えての金メダルとなった。3位にはクレイ・クライナーが、6本目にノーグラブのビッグ・フリップを決めて入賞している。
【X Games Chiba 2022/男子スケートボード バート ベストトリック最終成績】
1. Mitchie Brusco(USA)<金メダル>
2. Gui Khury(BRA)<銀メダル>
3. Clay Kreiner(USA)<銅メダル>
4. Moto Shibata(JPN)
5. Jimmy Wilkins(USA)
6. Tate Carew(USA)
7. Edouard Damestoy(FRA)
8. Elliot Sloan(USA)
今年の注目選手は?
『X Games Chiba 2023』には国内外から多くのトップ選手が出場する。最大の注目は、男子スケートボード バート ベストトリックに出場する、“スケートボード界の神”ことトニー・ホークだ。
彼が1999年に成功した900°は、2012年に当時12歳のトム・シャール(米国)が1080°(3回転)を成し遂げるまで、13年間誰も破ることができない大記録だった。これまでに『X Games』で獲得したメダルは16個(金10個)。2003年のロサンゼルス大会以降、『X Games』には18年間も出場していなかったが、2021年に復帰。今回、千葉大会への参戦が決まった。
大会初日は“神”にとって55歳の誕生日。その衰えぬ技のキレを期待せずにはいられない。
さらに、日本の第一人者である芝田モトにも注目したい。1995年9月21日生まれ、大阪市出身の現在27歳は、13歳でプロになると、翌年から世界を転戦。2016年には米国で行われた『X Games』で2位となり、日本人初のメダルを獲得している。その翌年には『X Games』ミネアポリス大会(米国)で見事、金メダルに輝いた。
昨年の『X Games Chiba 2022』では銀メダルを獲得。憧れのトニー・ホークもいる今大会では、日本のバートをけん引してきた自信と誇りを胸に、先進的で優美なスタイルを見せつけたい。
今年の大会スケジュールは?
『X Games Chiba 2023』の男子スケートボード バートは5月13日(土)、男子スケートボード バート ベストトリックは14日(日)に行われる。現在の出場予定選手は、2種目とも10人。若手からレジェンドまで内外のトップ選手が顔をそろえ、昨年にも増した熱い戦いが期待される。
日本初開催の『X Games』となった昨年の千葉大会には、18カ国から90人の世界トップアスリートが出場。のべ4万人の観客を集めた。今大会には19カ国から100人を超える選手が参加を予定している。
男子スケートボード バート ベストトリックに出場するトニー・ホークは、ファンサービスなども予定しており、直接“スケートボード界の神”に接することもできる。この千載一遇の機会を逃してはならない。

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