【アルカラ ライヴレポート】
『20周年記念2マンツアー“産声”』
2022年8月20日
at KT Zepp Yokohama
アルカラの20周年記念2マンツアー『産声』の関東公演が、8月14日にKT Zepp Yokohamaにて行なわれた。この日の対バンはアルカラとは16年来の仲であるというTHE ORAL CIGARETTES。神戸・奈良間で築かれた先輩後輩のアツい絆が、存分に発揮された一夜だった。
先攻・THE ORAL CIGARETTESは、お馴染みの4本打ちと“暴れていこうぜ! ここはライヴハウス。好きにしたらいいよ、かかってこい”という山中拓也(Vo&Gu)の挑発を合図に、躍動感あふれる攻撃的なロックチューン「mist...」を勢い良くプレイ。中西雅哉(Dr)とあきらかにあきら(Ba&Cho)が繰り出すヘヴィなビートの上で、鈴木重伸(Gu)も髪を振り乱しながら哀愁深いギターソロを披露し、オーディエンスを湧かしていく。さらに“アルカラと出会ったのは神戸。その街に想いを馳せて”とファンタジックでユーモラスな「出会い街」を披露。この時点で、彼らが完全に会場の空気を掌握しているのが肌感覚で伝わってきた。2階席からステージとフロアーを観ていたのだが、彼らが鳴らし歌う一音一音、一挙手一投足に、オーディエンスがビシっと反応している。バンドとオーディエンスが心身一体となってライヴを作り上げていくそんな様子を目の当たりにして、思わず“おお”と声が漏れた。そして、誘ってくれたアルカラへ感謝を告げつつ、ロックとヒップホップが融合したソリッドな「ENEMY feat.Kamui」を披露! 軽やかさも持ち合わせたクール&ホットなビートでオーディエンスのジャンプを誘引すると、続く最新曲「BUG」ではブレイクビーツとサイケデリックなサウンドが強烈なまでに刺さる。
目まぐるしく変わっていくカラフルな照明とストロボも後押しした強烈な2曲が続いたが、「Maze」では一変。シンプルな照明の下で、ストレートなロックサウンドと歌詞がグッと胸を打った。このあとのMCで、16年前に神戸のライヴハウス・ART HOUSEにアルカラのライヴを観に行った際、終演後の片づけをしていた稲村太佑(Vo&Gu)に音源を渡したことが始まりだと語った山中。その頃を振り返る中で“バンド結成当初はアルカラの真似事をしていた”とも話していたが、そこからTHE ORAL CIGARETTESのアイデンティティを築き、アップデートを繰り返し、こうして憧れのアルカラとツーマンライヴができている。“諦めなければ絶対に夢が叶うと、俺は今日このステージで証明したい。今日は背中を見るんじゃなくて、横に並んで正々堂々、勝負しにかかりたいと思います”と気合を込めて、渾身のラストスパート「カンタンナコト」「BLACK MEMORY」、さらに「狂乱 Hey Kids!!」を投下。「狂乱 Hey Kids!!」では鈴木とあきらがクロスジャンプで魅せる場面もあり、最後の最後までアクセルを緩めることなく、文句なしの全力のライヴでTHE ORAL CIGARETTESの存在を確固たるものとした。
目まぐるしく変わっていくカラフルな照明とストロボも後押しした強烈な2曲が続いたが、「Maze」では一変。シンプルな照明の下で、ストレートなロックサウンドと歌詞がグッと胸を打った。このあとのMCで、16年前に神戸のライヴハウス・ART HOUSEにアルカラのライヴを観に行った際、終演後の片づけをしていた稲村太佑(Vo&Gu)に音源を渡したことが始まりだと語った山中。その頃を振り返る中で“バンド結成当初はアルカラの真似事をしていた”とも話していたが、そこからTHE ORAL CIGARETTESのアイデンティティを築き、アップデートを繰り返し、こうして憧れのアルカラとツーマンライヴができている。“諦めなければ絶対に夢が叶うと、俺は今日このステージで証明したい。今日は背中を見るんじゃなくて、横に並んで正々堂々、勝負しにかかりたいと思います”と気合を込めて、渾身のラストスパート「カンタンナコト」「BLACK MEMORY」、さらに「狂乱 Hey Kids!!」を投下。「狂乱 Hey Kids!!」では鈴木とあきらがクロスジャンプで魅せる場面もあり、最後の最後までアクセルを緩めることなく、文句なしの全力のライヴでTHE ORAL CIGARETTESの存在を確固たるものとした。
後輩からの強烈なバトンを継いで登場したアルカラ。ギターのノイズの中、稲村、下上貴弘(Ba)、 疋田武史(Dr)、サポートギターの爲川裕也の4人がステージに登場すると、徐々にノイズが晴れていき、パワフルなドラムをきっかけに音景はパッとクリアーになる。黒と白を基調としたシンプルな照明の中で、荘厳さと温もりの双方を感じる「産声」を披露。稲村の伸びやかな歌声は、澄んだ響きを持ち、まるで天に昇っていくかのように会場に響いた。その後、“アルカラ、20周年! 『産声』ツアー、始めます”と宣言すると、叙情性と疾走感が融合した新曲「tonight」をプレイ。さらにそこから「デカダントタウン」「アブノーマルが足りない」と、2010年代前半にリリースされた楽曲を続けて投下! タイトな疋田のドラムと、地を這うような重厚かつアグレッシブな下上のベースが場内の熱気をグッと上げていき、《ほらまだ足りない/まだまだ足りない》(「アブノーマルが足りない」)の歌詞に呼応するように、フロア一面に拳の花が力強く咲き乱れる。
豪雨時の雨音のような強烈な音粒がセンチメンタルを刺激する「ゼロの雨に撃たれて」に続いて届けられたのは「秘密基地」。稲村が首に下げているタンバリンが微かに鳴った音すらも聴こえるほどの静寂の中で、稲村の伸びやかなボーカルが自由に広がり、雄大なランドスケープを描いていく。メロディーに込められるギミックやユーモア、歌詞の中で描かれる独特な世界観、それらを支える変幻自在かつ精巧なプレイ――アルカラは“ロック界の奇行師”という通り名がばっちりハマるバンドだ。けれど、そうしたトリッキーな一面だけでなく、この「秘密基地」における聴き手の心象風景に問いかけるようなノスタルジックでエモーショナルなバラードの良さもまた、アルカラらしさのひとつだ。未知の世界へトリップさせたかと思えば、いつもの帰り道の夕景や草木の香りまで思い出させてくれる。そうした楽曲毎に描かれる情景の違いが面白い。
また、アルカラらしさで言えば、THE ORAL CIGARETTESの地元・奈良にちなんだ名所を紹介しつつ、最後には“奈良県って鹿がいるよね。ジ・オーラル・“シカ”レッツ、どうもありがとう!”としっかり駄洒落を含ませたオチを用意しているMCも彼ららしい。そこから“アルカラの番狂わせロックンロール、届けていこうと思います!”と後半戦をスタートさせ、哀愁薫るユーモラスなナンバー「ダカラドオシタ」からリズミカルなダンスチューン「Dance Inspire」を畳みかける! さらにここで、「起死回生STORY」のカバー(サビ)を披露するという粋な演出で、オーディエンスのテンションは爆上がり。アルカラは今回のツーマンツアーに於いて、対バン相手の楽曲のカバーをSNSにアップしている。山中が、アルカラのことを“愛のある、大きな器を持ったバンド”だと話していたが、こうした心意気のあるアクションからもアルカラが多くのファン、アーティストから好かれる理由が分かる。その上で“俺が重たい荷物を運んでいるにもかかわらず、空気も読めず、音源を渡してくれたあの10何年前にこの歌を”と届けられた「ミ・ラ・イ・ノ・オ・ト」はグっとくるものがあった。
そして、「アルカラが初めてライヴをやった時のお客さんは6人でした。夢が大きくなっていくところでいろんな仲間と出会い、そこにオーラル・“シカ”レッツもいて。なんか、この生き方を選んでいるんだなと思いました。そうじゃない時もくるけど、大きくみたら愛があふれているんだと思います。また、そう遠くない未来でまた会いましょう”と伝え、ラストに《僕あなた/生きてく》という決意と願いがギュッと強く込められた「boys&girls」を渾身の想いで届けた。
豪雨時の雨音のような強烈な音粒がセンチメンタルを刺激する「ゼロの雨に撃たれて」に続いて届けられたのは「秘密基地」。稲村が首に下げているタンバリンが微かに鳴った音すらも聴こえるほどの静寂の中で、稲村の伸びやかなボーカルが自由に広がり、雄大なランドスケープを描いていく。メロディーに込められるギミックやユーモア、歌詞の中で描かれる独特な世界観、それらを支える変幻自在かつ精巧なプレイ――アルカラは“ロック界の奇行師”という通り名がばっちりハマるバンドだ。けれど、そうしたトリッキーな一面だけでなく、この「秘密基地」における聴き手の心象風景に問いかけるようなノスタルジックでエモーショナルなバラードの良さもまた、アルカラらしさのひとつだ。未知の世界へトリップさせたかと思えば、いつもの帰り道の夕景や草木の香りまで思い出させてくれる。そうした楽曲毎に描かれる情景の違いが面白い。
また、アルカラらしさで言えば、THE ORAL CIGARETTESの地元・奈良にちなんだ名所を紹介しつつ、最後には“奈良県って鹿がいるよね。ジ・オーラル・“シカ”レッツ、どうもありがとう!”としっかり駄洒落を含ませたオチを用意しているMCも彼ららしい。そこから“アルカラの番狂わせロックンロール、届けていこうと思います!”と後半戦をスタートさせ、哀愁薫るユーモラスなナンバー「ダカラドオシタ」からリズミカルなダンスチューン「Dance Inspire」を畳みかける! さらにここで、「起死回生STORY」のカバー(サビ)を披露するという粋な演出で、オーディエンスのテンションは爆上がり。アルカラは今回のツーマンツアーに於いて、対バン相手の楽曲のカバーをSNSにアップしている。山中が、アルカラのことを“愛のある、大きな器を持ったバンド”だと話していたが、こうした心意気のあるアクションからもアルカラが多くのファン、アーティストから好かれる理由が分かる。その上で“俺が重たい荷物を運んでいるにもかかわらず、空気も読めず、音源を渡してくれたあの10何年前にこの歌を”と届けられた「ミ・ラ・イ・ノ・オ・ト」はグっとくるものがあった。
そして、「アルカラが初めてライヴをやった時のお客さんは6人でした。夢が大きくなっていくところでいろんな仲間と出会い、そこにオーラル・“シカ”レッツもいて。なんか、この生き方を選んでいるんだなと思いました。そうじゃない時もくるけど、大きくみたら愛があふれているんだと思います。また、そう遠くない未来でまた会いましょう”と伝え、ラストに《僕あなた/生きてく》という決意と願いがギュッと強く込められた「boys&girls」を渾身の想いで届けた。
熱望されたアンコールに応えて、下上、疋田、爲川、そして女装した稲村が登場すると、ステージに山中を招集し、「交差点」を披露! 当初の予定では稲村がリードヴォーカルとして歌うはずだったとのことだが、ステージ上で急遽山中がリードすることに。稲村曰く、これは“16年前に、機材を運んでいる時に急に話しかけてきたことに対する仕返し”とのことで、会場も笑いと共に大盛り上がり! さらに演奏が終わると、THE ORAL CIGARETTESの定番とも言える4本打ちを、アルカラの20周年に合わせて20本打ちに変えて行ない、最後の最後まで楽しませてくれた。最後、山中がステージを去る際に“アルカラのファンのみなさん、大変ですね”とひと言零したのには笑った。アルカラはきっと10年後も30年後も変わらずに、ライヴにせよ楽曲にせよ、私たちに驚きを与え続けてくれるだろう。そう確信した夜だった。
撮影:Emi Niikura、Ryotaro Kawashima/取材:峯岸利恵
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