英国の伝統をどう変化させるのか。テ
ーラリングの新提案【ロンドンコレク
ション:メン2日目--1/2】

「J.W.アンダーソン(J.W.Anderson)」は今シーズン、ピンストライプやストライプのネクタイ地といったメンズテーラードの基本となるトラッドな素材を使って、エプロン付きで裾にはアシメトリーなドレープが入るシャツや、衿がそのまま幅広のタイのように伸びるシャツ、その襟ぐりを大きく広げて90度回したようなアシメトリーな肩出しトップなど、ある種フェミニンでそこはかとないセクシーさを漂わせるアイテムを作り出した。その多くが同色同柄のテーラードパンツとコーディネートされ、全身が同じ柄で覆われている。ケーブルニットはYバックのタンクトップや、襟ぐりを大きく開いたジップアップのクロップトップとなり、正面から見るとかっちりしたやや短めのテーラードに見えるジャケットは、後ろで横にぱっくりと割れている。ブルジョワ女性の浮世離れした暮らしが作ったパーソナリティをインスピレーションに、メンズウエアのトラディショナルなシェープを変形させたコレクションだ。



同じくトラッドなテーラリングを基礎としつつ、足首が見える丈のパンツに長めのジャケット、クラシックにクラバットと呼びたくなる幅広のタイを合わせたりと、リゾートからオフィスカジュアルまで幅広く通用する、真面目風なアイテムを見せたのは「マーガレット・ハウエル(MARGARET HOWELL)」。濃淡のバリエーションを持たせたグレー、ベージュ、白、ネービー、黒など、色使いも落ち着いたトーン。



「アレキサンダー・マックイーン(Alexander McQueen)」の、胸のあたりをベルトで締めたダブルブレストジャケットには、へびや鳥にも見えるオーガニックな曲線で描かれたパターンで構成。ポケットに沿ったスラッシュによって、裏地の深紅が覗く。メンズの定番、グレーのプリンス・オブ・ウェールズ・チェックは、小さなドットなどトラッドな柄へと、コートの上でグラデーションを描いて変化していく。ベストは、ヒップまで覆うほど長く引き伸ばされている。春夏コレクションにも関わらず、厚手ウールのワーカー風コートやレザージャケットが多数登場したのも、トラッドの常識への挑戦か。



2000年代のアートインターベンション運動をインスピレーションとし、『モダンさと人の手が作り出すぬくもりは矛盾しない』ことを語るコレクションを目指した「ケイスリー・ヘイフォード(Casely-Hayford)」。シティビジネスマンの定番スタイルを、ポケット中心や胸元などランダムに入れた短いファスナーと、シャツの下にジャケットを着ているような、一見レイヤード、実は1アイテムのアイデアを駆使してアレンジした。ユーティリティジャケットがピンストライプで作られ、ナイロンのブルゾンは長く裾を伸ばしてくるぶしまで達する。ジャケットの右前だけが透ける素材で作られていたりもする。このレイヤード風なアイテムは前シーズンにも多数見られたが、アイテムそれぞれでもコレクション全体でも、前シーズンより無駄がなく、すっきりと整理されている。

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