【足立佳奈 インタビュー】
“あなたがいて私がいる”という
視点で曲を作りたいと思った
このアルバムを通して
自分の変化に気づけた
アルバムからはさわやかな「This is a Love Story」が、リード曲として先行配信されましたね。
この曲はハッピーなラブソングを歌いたいと素直に思って書きました。プロデューサーのEIGOさんや編曲のSHU INUIさんとお話をして、バンジョーを入れてみたらより可愛いらしくも聴こえるし、ハッピーな要素が再現できるんじゃないかということになったので、メロディーやサウンドから作り始めて、最後に歌詞を書いたんです。普段、ひとりで作る時は歌詞も曲も同時に作るのですが、この曲は曲作りからスタートして。レコーディングでも“これは笑顔多めで”や“相手に語りかけるように笑っちゃっていいんじゃない?”と言われて、あまり考えすぎることなく、いつもの笑顔で歌いました(笑)。
そんな多彩な楽曲群をご自身で作詞作曲、さらに編曲までした「なんかさ」「雨の日は」を最初と最後に置いているのも印象的です。
「This is a Love Story」や共作曲はひとつの作品として、こういう理想があったらいいなとか、理想を叶えている身の回りの友達のこととかをもとに曲を書き始めたんですけど、「なんかさ」と「雨の日は」はもっと私自身を感じてもらえる言葉というか…“ねぇねぇ、みんな”って語りかけるように、聴く人の気持ちに寄り添うような温かさを表現したいと思って作りました。
ハーモニックな「なんかさ」はまさに足立さん自身を感じさせてくれる、短くもインパクトに残る幕開けに相応しい曲で、「雨の日は」は歌が際立ち、距離感も近く感じられる曲ですね。
「雨の日は」は虹がきっかけで歌詞ができました。歌詞を書いていた頃にすごくきれいな虹が出ていた日があって。その虹が恋する女の子が好きな人を想う気持ちや雰囲気に似ていると思って作った曲ですね。
今作はそんなふうに虹だったり、ふっと聞いたことだったり、ご自身の体験や聞いたことが歌として紡がれるスタイルはそのままに、持ち味が光るバラエティー豊かなアルバムに仕上がったと思います。そんなアルバムを完成させて見えてきた“現在地”、そして“これから”とは?
意外と私、落ち着いているのかなと思いましたね(笑)。自分ひとりで制作した2曲を1曲目とラストに持ってきたというのは、以前より少し自分に余裕がある…自分を客観的に見ているような落ち着き、穏やかさがあるからだと感じます。『I』を改めて聴いて、頑張ろうと生き急いでいる自分を感じた時があったんですね。でも、それは自分の中では悪いことではなくて、そういう時もあると思うんです。そして、今は緩やかに時間が流れている感じがします。まぁ、それはコロナ禍の影響もあったのかなとも思いますが。そうしたものの見方や感じ方の変化を、このアルバムを通して気づくことができましたね。今回は私ひとりで楽曲を作り上げたことも挑戦でしたが、歌詞は実話や実体験をもとにしたものが多いので、いろんな書き方やバリエーションを増やすことに挑戦したいです。それができたら視野も広がるし、さらに楽しいと思いますし。
今作がリスナーにとってどんな作品になればいいと思いますか?
今作は私が今までに出会った“あなた”を想像しながら楽曲たちを完成させました。みなさんが思う大切な“あなた”を想像しながら聴いてもらって、共感してもらえたり、クスっとしてもらえたり、日常の中で寄り添える場所になったらいいなと思っています。
取材:齊藤 恵