足立佳奈、6周年公演は誰一人置いて
行かない愛に溢れた素敵な世界に「私
はどんな時もあなたを守れる光であり
たいと思っています」

足立佳奈『6th Anniversary Live-I got your six-』2023.08.30(wed)渋谷WWW X
シンガーソングライター・足立佳奈のデビュー6周年をみんなで祝おう。デビュー記念日にあたる8月30日、渋谷WWW Xで開かれた『6th Anniversary Live-I got your six-』に、満員の観客が彼女の記念日を祝うために集結した。大歓声と拍手が主役を迎え入れる。頼れるバンドメンバーがしっかり後ろを固める。鮮やかなイエローの服、シルバーのチェーンベルトで決めた彼女がセンターに立つ。さぁ始まる。
1曲目は「DRIVE」。いきなり圧巻のアカペラを繰り出して観客を圧倒すると、一転して拳を振り上げ笑顔をはじけさせる。「行くよ!」「もっと!」。力強いバンドサウンドに全員が乗り込み、2曲目「Seeker」ではタオル回しで一体になる。腕を振り回し、身を乗り出し、一人一人の目を見て、最後方まで目配りを欠かさない足立佳奈。音源でしか知らない人はきっと驚くだろう、なんてアクティブなパフォーマンス。
「みんなー、この日を待ってたよ。ヤバいね。6周年ライブ、来てくれてありがとう。思い切り楽しもうね」
足立佳奈
おめでとうー。ありがとうー。ステージとフロアで幸せな言葉が往復する中、曲は「You Your Yours」から「タラレバ」へ。5年前のちょっぴりあどけないラブソングと、2年前のちょっぴり切ない自分応援ソング。今日は6周年のアニバーサリー、セットリストもすべての時代を網羅して、6年間の成長を見せるベスト選曲だ。最新アルバム『Seeker』からの「WALK」では、“千鳥足で歩くくらいがいい”と歌い、「カンパイ」では“まだまだ終わらない僕らの青春”と歌う。17歳のデビューから23歳の今へ、すべての歌の中に彼女のポートレートが残されている。アコースティックギターを弾きながら歌う、堂々とした立ち姿がとても凛々しい。
MCでは、なぜか今日の昼間にスシローに並んだ話をしてる。プリクラを撮った話をしてる。友達に話すみたいな、くだけた口調に笑い声が絶えない。どこから来てくれたの?という問いかけに、北海道から九州までの声が上がった。ファンもしっかり声援を飛ばしてる。みんなが彼女をお祝いしてる、とても親密な空気感。
ここからはライブならではの別アレンジで、「フレーフレーわたし」は、キーボードと歌だけのゴスペルライクなバラードへ変身。“I can do it”の掛け声もばっちり決まった。「ゆらりふたり」は、ヒップホップ風のループするビートでクールにかっこよく。「ひとりよがり」はピアノとバンドで思いきり切なくドラマチックに。曲がいいからどんな衣装も着こなせる。歌に気持ちがこもっているからどんな衣装もよく似合う。
足立佳奈/竹内唯人
「スペシャルゲスト、呼んでもいいですか?」
ここで予期せぬサプライズ、竹内唯人の登場だ。曲は9月22日放送開始、WOWOW連続ドラマW-30『アオハライド Season1』主題歌「この雨がやんだら」。ライブ初披露の緊張感を漂わせつつ、溢れ出す恋心、雨に託した願いを、息の合ったデュエットで表現する。メロディアスなミドルバラードの曲調と、どちらも中低音の豊かな響きに特徴を持つ、二人の歌声がぴったり重なる。「自分で言うのも何ですけど、声の相性がめちゃくちゃいい」と、竹内の自画自賛も頷ける。リリースは9月23日に決定した。新たな代表曲の誕生だ。
足立佳奈/竹内唯人
もう一つ、私にとって大事な曲を。そう言って歌った「面影」は、セカンドアルバム『I』に収められたミドルバラード。出会いの奇跡、別れの悲しみが交錯するドラマチックなストーリーを、激情がほとばしる一歩手前で、かみしめるように表現する歌がいい。テクニックというよりはハート。たぶん年を重ねるごとに、意味を深めていくタイプの歌。
「I got your sixというタイトルには、あなたを守るよという意味があります。私はどんな時もあなたを守れる光でありたいと思っています」
「ふたり」は、隠れた名バラード。君と出会えてから丸3年、という歌詞を「丸6年」に変えた、今日だけのスペシャルバージョン。一途なラブソングをファンとの絆と重ね合わせた、大切な記念日の歌。間奏で思わず“みんな大好きだよ”と口に出したのは、たぶんとっさに出た本音の言葉だろう。拍手が自然に湧き起こる。ステージ上から吊るされたシンプルな電球の柔らかい光が、特別な日の親近感をさらに高める。
「楽しい時間はあっという間だよ。まだまだ行けますか? ラストスパート、盛り上がる準備できてますか?」
足立佳奈
伝えたい思いを歌で伝えきったら、あとはラストまで突っ走ろう。『Seeker』収録のハッピーなポップチューン「Me」から、手振りと掛け声で思い切り盛り上がる「4321」へ。強烈なストロボライトが点滅する中、アッパーなダンスチューン「Just Do It」へ。飛び跳ねながら、手を振り上げながら、フロアを煽り続ける足立佳奈。安心して身を任せられる、なんて頼もしい統率力とリーダーシップ。
「みんなの明日が、私たちのこれからがもっといい日になりますように」
ラストチューン、力強い人生応援歌「Good day」の、全員乗せても余裕たっぷりの大らかな一体感。リフレインの大合唱、ハッピーな空気感、「ありがとう」の言い合いとあたたかい拍手。足立佳奈が作り出すライブ空間は、誰一人置いて行かない、愛に溢れた素敵な世界だ。
キーボードは森谷優里、ベースは前田恭介、ドラムは裕木レオン、ギターは清水"カルロス"宥人。頼れるメンバーと頼れるツアーグッズを紹介したあと、1曲のみのアンコールはありったけの情熱と真心を込めて。「Life Goes On」のゆったり大きなリズム、人生を共に生き抜こうという力強いメッセージが、笑顔と共に心に沁み入る。「楽しい空間をありがとう」。笑顔で手を振りステージを下りる足立佳奈とメンバーに向け、こちらこそありがとうと、音が止まっても拍手と歓声がなかなか止まらない。
足立佳奈
新曲「この雨がやんだら」リリース。オフィシャルファンコミュニティ「かなまみれ」オープン。10月には全国4カ所のアコースティックツアー開催と、嬉しいお知らせもたっぷり聞けた。10月14日、足立佳奈は24歳になる。一つ年を重ね、きっと見える世界が変わり、魅せる世界が変わる。次に会う時はどんな表情で、どんな歌を歌ってくれるだろう。足立佳奈の見ごろはいつも未来の中にある。

取材・文=宮本英夫 撮影=Shinsuke Irihi

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