野村義男と巡る『QUEEN EXHIBITION
JAPAN』 日本屈指のギタリスト“よ
っちゃん”がクイーン展をロックに解
説!

イギリスの伝説的ロックバンド・クイーンの栄光と軌跡を辿る特別展『QUEEN EXHIBITION JAPAN ~Bohemian Rhapsody~ Supported by 集英社』が東京・日本橋の日本橋髙島屋S.C. 本館8階ホールで1月27日まで開催中だ。文字通りロック界に金字塔を打ち立てたクイーンの偉業を数々の秘蔵アイテムやステージ衣装、レコード会社等に眠る初公開映像やオフショット写真など計332点のアイテムとともに振り返る本展。今回は幼少期からクイーンの音楽に触れ、憧れてきたという日本屈指のギタープレイヤー、“よっちゃん”こと野村義男に貴重な展示の数々を鑑賞してもらった。同じ青春時代を生きたオールドファンも、映画『ボヘミアン・ラプソディ』でファンになったビギナーファンも必見な本展の見どころを、ロック愛あふれる野村さんのコメントと合わせて紹介していこう。
「最初に聴いたクイーンの印象は“最悪”だったよ」
「クイーンっていうとフレディのキャラが立っているけど、やっぱり僕はボーカル目線じゃなくてギター目線だから、ブライアンのギターなんかが出てきたら嬉しいね!」と期待に胸を膨らませながら会場に入った野村さん。
“よっちゃん”と一緒にクイーンの足跡を巡る旅へ!
本展は、クイーンが誕生した1970年からフレディ・マーキュリー・トリビュート・コンサートが行われた1992年までの歴史を中心に時系列に沿った6章立てで展開されている。多数の秘蔵写真が見られるほか、各所にライブステージを模した映像スペースが設けられ、その傍らにはフレディ・マーキュリーとブライアン・メイが来日公演やPV撮影で実際に着た衣装も展示されている。途中にはフレディ在籍時に6度に渡って来日したクイーンと日本との繋がりを表す品々の展示コーナーもあり、さらにはフレディの等身大フィギュアと記念撮影もできるというファンにはたまらない内容だ。1月27日まで本会場で開催された後は、1月30日から3月22日まで横浜の横浜アソビル、3月25日から4月6日まで大阪髙島屋、4月18日から5月10日まで松坂屋名古屋店でも巡回開催される。
好きなグループ、影響を受けた人など、4人のパーソナリティが伝わる直筆バイオグラフィー
まず初めに、大熱狂を巻き起こした1975年の初来日時に撮影された羽田空港の映像が見られるエントランスを過ぎると、クイーンのオリジナルメンバー4人のプロフィールが紹介されている。ボーカルのフレディ・マーキュリー、ギターのブライアン・メイ、ベースのジョン・ディーコン、ドラムスのロジャー・テイラー。大きなポートレートショットの近くには初来日の直前に4人それぞれが書き残した直筆バイオグラフィーがある。やはり野村さんの視線は自然とブライアンの直筆にフォーカスオン。「ブライアン、好きな食べ物が『車海老』だって。横に菜食主義者って書いてあるのにエビは食べるんだな。フレディなんて『てりやき』だもん(笑)」と来日前の彼らが日本に寄せた“リップサービス”が気になった模様。
来日時のオフショット含め、会場には140点以上の写真やパネルが
会場の壁を彩る写真は、主に音楽雑誌『ミュージックライフ』のためにカメラマン・長谷部宏氏が撮り下ろしたもの。1970年代はギター小僧だった野村さんも、東京タワーを背景に正座を試みる4人の写真を見て「この写真、ミュージックライフで見たなぁ」と懐かしみながら、その頃の記憶を語ってくれた。
「初来日の時はまだ小学生だったからよく覚えてないね。クイーンを知ったのは77年から78年ごろ。きっかけは中学の同級生の佐野くん。彼がクイーンが好きで『一緒に聴こうよ』ってなってね。でも、最初に聴かせてくれたのが「手をとりあって」だったから最初の最初の印象は最悪だった。え、日本語で歌ってる? 何だコレ?みたいな(笑)。ただ、同じアルバムに入ってた「懐かしのラヴァーボーイ」なんかを聴いて、そのトラウマはすぐに払拭されたけどね」
野村さんといえばKISSフリークとしても有名だが、KISSにハマり込むきっかけにも実はクイーンが絡んでいるそうで。
「ブライアンモデルのギターを買おうと思ったけど…」
「それからボヘミアンラプソディとかいろんな曲を聴いているうちに『クイーンやってみてぇ!』ってなって、中2の頃にグレコが出してたブライアンモデル『レッド・スペシャル』を買いに行ったんだよ。お年玉、おばあちゃんの援助、自分ちの野村モータースで店番したお駄賃、毎月のお小遣いからの貯金、そんなの全部貯めてね。でも、店に行ったら在庫がなかった……。その結果、エース・フレーリーモデルを買ったからKISSに移行しちゃった。あの時、あの楽器屋がブライアンモデルを置いといてくれたら、きっと今ごろ驚異のクイーンクレイジーになってたよ」
ブライアンの写真にファンならではのウンチクが止まらない
「このピックアップはブライアンの命だよね。これなんてブライアンがバーンズのギターを持ってるなんて滅多にないことだから本当に珍しい写真」と、野村さんのブライアンへのリスペクトは止まらない。そんな野村さんが考えるブライアン・メイ、そしてクイーンというロックバンドの凄みとは?
「今と昔じゃ印象が全然違う。昔はブライアンというギタリストがインテリすぎてまったく理解できなかった。ノーシンセサイザーなんてシンセサイザーという言葉を出しているのにそれを使ってないこだわりとかもね。音作りと音の使い方が尋常じゃなくて、真似をしようと思ってもまったく真似できなかった。今聴いても、やっぱりクイーンって本当に凄いロックバンドなんだって気付かされることばかりですよ」
いくつものライブ映像で会場中に名曲たちが鳴り響く
2度の武道館公演を含む全国7都市を巡った75年の日本ツアーのうち、初の武道館公演で演奏された「キラー・クイーン」や「ナウ・アイム・ヒア」の映像。その公演時にも着用していた「白鳥ルック」と呼ばれるフレディのメイン衣装、ブライアンのメイン衣装。そして、アカデミー作品の映画のタイトルにもなった代表曲のひとつ「ボヘミアン・ラプソディ」誕生までのヒストリーを辿るインタビュー映像などを経て、会場の一角には、来日時にフレディを24時間警護したボディガード・伊丹久夫氏の秘蔵品が。
最後の来日時には何と日本刀を贈られたという、フレディから伊丹氏へのプレゼント(写真:オフィシャル提供)
「伊丹さんもファンの間では凄く有名な人だし、伊丹さんがフレディからカルティエの時計をもらった話もよく知られているよね。ボディガードにここまで高価なものを贈るっていうのはフレディ特有なところもあるけど、きっとクイーンは日本での人気をきっかけに世界的なスターダムに上り詰めたバンドだから、また日本に戻ってきたいって思いがこもっているのかもしれないね」
そういう意味でもクイーンにとって日本というのは特別な土地だったということ?
「いや、『日本』と言うより『武道館』でしょう。ビートルズ以来、『BUDOKAN』は世界的に伝説的な場所だから」
フレディのフィギュアと一緒にノリノリでピース! こちらは一般客も撮影OK。
「まさに唯一無二。クイーンほどのオリジナルを出せるバンドはいない」
トレードマークのスタンドバー付きマイクまでしっかり再現されたフレディの等身大フィギュアの前で自撮りして、この空間を満喫されている様子の野村さん。途中には、両袖がマントのようにヒラヒラとはためくブライアンの衣装、バレエダンサーにインスパイアされたというフレディのレオタード衣装など、日本初公開となる貴重な衣装の展示もある。そして、ポスターやパンフレットなど日本公演ゆかりの品々の先には、ブライアン・メイが10代のアマチュア時代に自作したギター「レッド・スペシャル」の設計図とレントゲン写真、そして日本のギター工房が製造したレプリカを発見!
ブライアンファンなら誰もが知る、あの「レッド・スペシャル」のレプリカが!
「『ボヘミアン・ラプソディ』ではスマイル(クイーン結成前にブライアンがロジャーたちと組んでいたバンド)の頃からこれを使ってて、あの当時に自分でギターを作っちゃってることに驚くよね。いろんな説があるけど、ポジションマークはお母さんのパールのネックレス、ピックアップはバーンズの安いギターから引っこ抜いたもの、ネックは100年以上の暖炉の木を使ってる。ピックガードなんて何で作ったんだろう……?」
お目当てのギターに続いて、クイーンが表紙を飾った雑誌の展示を見て、野村さんのテンションはさらにアップ。
「ミュージックライフ、懐かしいなぁ」と、少年時代を思い出す
MTVもインターネットもない時代、音楽小僧たちの貴重な情報源だった音楽雑誌
「懐かしい、どれかは確実に持ってたね。『ミュージックライフ』『プレイヤー』『ガッツ』……、当時は情報源といえば、こういう音楽雑誌だった。でも、子供だから毎月は買えなくて。「今月は俺、来月はお前、その次はお前な」って友達と買う月を決めて、みんなで回し読みしてた。最初の方は巻頭がバンドのグラビアで、後ろは記事が中心。その記事もウソ……いやいや“未確認記事”が多くてね(笑)。それを今見ると面白い。きっと当時は記者さんたちも手に入る情報が薄かったんだろうね」

フレディが「マジック・ツアー」最終公演などで着用したバックル・ジャケット

本展の目玉展示でもあるフレディ最後のツアーでのステージ衣装を前に改めて野村さんに聞く、クイーンというロックバンドの時代を超えた魅力とは?
「まさに唯一無二。クイーンの後にクイーンぽい人はたくさん出てきたけど、みんなクイーン“ぽい”で止まってる。クイーンほどのオリジナルを出せるバンドは半世紀近く経った今も出てきていない。というより、きっともう出てこないんじゃないかな」
終盤、日本で発売されたシングルレコードのジャケットや4人の手書き歌詞などを経て一連の展示は終了。最後には、大スクリーンによる「ボヘミアン・ラプソディ」「ウィ・ウィル・ロック・ユー」「ウィー・アー・ザ・チャンピオン」という代表曲3連発のライブ映像を見て、テンション最高潮のままグッズ売り場まで楽しんだ野村さんに本展全体を経ての感想を聞いた。
手書き筆跡の歌詞。「やっぱブライアンは字が丁寧。性格が出てるね!」と野村
「すごく楽しんじゃった。1時間くらいで回ったけど、2倍、3倍の時間をかけて、もう一度じっくり回りたいと思うほど面白かったよ。昔からのファンには当時の思い出が蘇る展示だと思うし、『ボヘミアン・ラプソディ』の映画から入った人にはクイーンっていうのがどんなバンドだったか時系列で確認できると思う。あとは、映画はクイーンの物語というより“フレディ・マーキュリーの物語”だと思うんだよね。ここでは4人のメンバーがしっかりクローズアップされているから、よりしっかりクイーンに近付ける機会になるんじゃないかな」
日本を代表するギタープレーヤーも太鼓判を押す本展。会場中に響く名曲の数々とともに、ぜひ皆さんもクイーンの世界に引き込まれてみては。
『QUEEN EXHIBITION JAPAN ~Bohemian Rhapsody~ Supported by 集英社』は東京・日本橋の日本橋髙島屋S.C. 本館8階ホールで1月27日まで開催。その後、1月30日から3月22日まで横浜の横浜アソビル、3月25日から4月6日まで大阪髙島屋、4月18日から5月10日までは松坂屋名古屋店でも巡回開催。

取材・文=Sho Suzuki 撮影=大橋祐希、オフィシャル提供(一部)

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