【上坂すみれ インタビュー】
サブカルネタも満載で
ちょっとリニューアルしたアルバム
“すみぺ”こと上坂すみれの1年半振りとなるアルバム『NEO PROPAGANDA』は、既存の2曲に加え新曲を10曲収録。そして、そのクリエイターには、志磨遼平(ドレスコーズ)、MOSAIC.WAV、group_inou、TECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUND、大槻ケンヂ、NARASAKIなどが参加! 偉人シリーズ、サブカルネタ、80’sテイスト、ユーロビート…と“すみぺイズム”が満載の濃厚な作品が完成した。
語感を楽しむためのL.A.メタル
みたいな感覚で聴いてほしい
タイトルの“NEO PROPAGANDA”は直訳すると“新しい民衆扇動”みたいな?
訳すと思いのほか強めの意味になってしまうのですが(笑)、リード曲の「ネオ東京唱歌」にある“ネオ”という言葉が使いたくて、そこに私が好きなソ連文化を象徴する“プロパガンダ”という言葉を合わせました。“ちょっとリニューアルしたよ”みたいな意味合いが込められた、収まりのいいタイトルになったと思います。
それで1曲目の「予感」がこれまでを踏襲して“予感(04)”となるのではなく、“予感(Extra stage)”なんですか?
これで「予感」シリーズは最終章を迎えるみたいな。よくゲームにある裏ボスステージというイメージです。ただ、声をサンプリングしたインスト曲が好きなので、こういう曲は今後も入れると思いますけど…もともとプロレスラーの出囃子(入場曲)のイメージですから、出囃子はもう十分かなって(笑)。
今作には上坂さんの作品ではお馴染みの偉人シリーズも収録されていますね。
「すーぱー呂布呂布ぱらだいす!」は、私の大好きな『三国志』を1曲がっつりやりたいとMOSAIC.WAVさんにお願いして作っていただきました。
『三国志』の武将では呂布がお好きなんですか?
呂布は『三国志』の序盤の大スターです。人間性に難があるものの、とても強いがゆえにみんなが付いて行くという。『三国志』で有名な劉備、曹操、孫権とは違った魅力があります。日本人はゲーム『三國無双』の影響もあって呂布好きが多いのですが、中国ではそんなに人気がないというところも面白くて、そこがこういうジャパニーズ萌えソングには合うんじゃないかと思いました。
最後に《あーん! 呂布様が死んだ!》という台詞が。
MOSAIC.WAVさんが付けてくれたんですけど、とある人気漫画作品のファンが発した文章が元ネタになっています。こういうネタを持ってくるあたり、さすがMOSAIC.WAVさんはオタク文化の金字塔です!
「快走!ラスプーチン」は?
ザ・リーサルウェポンズのアイキッドさんに曲をお願いしたら、これが届いて驚きました。私が好きなのはソ連なのですが、実はグリゴリー・ラスプーチンはソ連の人じゃないんです(笑)。ニコライ二世とか帝政ロシアが終わるころの謎多き人物で、しかもとても恐ろしい人なんです。でも、歌詞はラスプーチンが成し遂げたこととは関係ないので、“ラスプーチン”という語感を楽しむためのL.A.メタルみたいな感覚で聴いていただければと思います。
歴史の勉強にはならないと。
そもそもラスプーチンは試験にはあまり出ませんし(笑)。
「MESSAGE」は初となるgroup_inouさん作詞・作曲・編曲ですね。
group_inouさんの音楽はずっと好きだったんです。1度、イベントでお会いしたことがあって、その時にいつかご一緒したいとお話をさせていただき、それが今回叶いました。
歌詞には味噌田楽が出てきますが、上坂さんが好きなものがモチーフなんですか?
好きなものというわけではなくて。group_inouさん側から“歌詞に入れたいワードを2~3個教えてください”と言われたので、“強いて挙げるなら味噌田楽と西高島平でしょうか”とお答えしたら、それを歌詞の大事なところに入れて作ってくださったんです。味噌田楽の新しい概念と哲学が広がりますね。
そこで味噌田楽と答えたセンスもすごいですけど(笑)。ラップ調の歌はどうでしたか?
音程がなく置かれている単語をつなげていく感覚なので、ラップと言う感覚はあまりなく歌えました。
「ウエサカダイナミック」もすごい世界観ですね。この歌詞によれば2021年に上坂さんは魔王を倒すそうですが。
そういうスケジュールではなかったので大変です(笑)。
作詞・作曲のCOOL&CREATEのビートまりおさんとは?
東方Projectの作品をはじめとした同人サークルとしてもとても有名で、学生の頃から大好きで聴いていたんです。今回、掛け声もたくさん入ったテンション高めの楽曲を書いていただきました。
ライヴで盛り上がる様子が目に浮かびますね。
この曲は掛け声がなかったらすごく寂しいので、これだけは必ず予習してきてほしいです。
台詞があったり掛け声もあっていろいろ楽しめますね。
展開と緩急があって“ここは静かに歌って、ここは激しく歌って”といったレコーディングだったのですが、集中力でやり切りました!
最後には結婚式の誓いの言葉もあるという。
はい。そこはライヴでみんなが“捧げま〜す”と言ってくれないとつらいので、思っていなくても言ってほしいです(笑)。