The Songbards、敬愛するThe Cheser
aseraを迎えた2マンから新たな旅路へ

ミックステープ vol.2 2019.8.21 新代田FEVER
The Songbardsが8月21日、自主企画ライブ『ミックステープ vol.2』を新代田FEVERで開催した。The Songbardsはメンバー全員1994年生まれであり、カセットテープに馴染みのない世代だが、“カセットテープに好きな曲を入れて友人と貸し借りをしあう”という文化に憧れ、このようなライブタイトルを付けたのだそう。ゲストのThe Cheseraseraはメンバーの中でも特に上野皓平(Vo/Gt)が好きだと公言しているバンド。また、2017年11月にThe Songbardsの地元・神戸で対バンをして以来、互いのライブを観に行くなど交流が続いているようだ。
The Cheseraseraは、途中で宍戸翼(Vo/Gt)が「今日の選曲は珍しく落ち着いた曲がメインです。まだ見ぬみなさんに届くよう選曲したつもりです」と言っていたように、歌をじっくり聴かせる曲が多め。輪郭のはっきりしたボーカルや、それをさらに遠くへ羽ばたかせるためのコーラス、メジャーキーなのにどこか物悲しくも聞こえるメロディラインなど、このバンドならではの歌心が存分に発揮されていた。そんななか、ミドル〜スローナンバーでも間延びしていなかったのは西田裕作(Ba)、美代一貴(Dr)がしっかりとビートを打ちだしていたからだろう。ラスト、「賛美歌」から「月と太陽の日々」へ畳みかけた場面はどんどん野性味が溢れていく様子が非常にドラマティック。その泥臭さに心を揺さぶられた人も少なくなかったのか、最終的にはライブが始まる頃よりもたくさんの拳がフロアから上がっていた。MCでは宍戸がThe Songbardsについて「美しいと思ってるんですよ、純粋に音楽をやってて。それがたくさんの人に伝わってるのは素晴らしく美しいことだと思います」と語ったほか、上野を遊びに誘っても断られることが多いと残念がる場面も。
The Songbards 撮影=カワベミサキ
そしてThe Songbardsのライブへ。岩田栄秀(Dr/Cho)がビートを鳴らすなか、他の楽器も徐々に合流。ジャーンと音を合わせ一旦締めたあと、上野が「太陽の憂鬱」を唄い始めるオープニングだ。その次は松原有志(Gt/Vo)ボーカルの「ハングオーバー」と、冒頭2曲は挨拶代わりの選曲といった印象。このバンドの最大の特徴のひとつ=ツインボーカルであることを前面に出しつつ、ゴツッとした感触をした岩肌剥き出しのアンサンブル、絹の層みたいに美しいハーモニーを早速届けていく。
The Songbards 撮影=カワベミサキ
彼らのライブを観るのは渋谷WWWでの東京初ワンマン以来、つまり約4ヶ月ぶりだったが、その時と比べて全体的に各曲の個性が際立つようになったように感じた。例えば「Time or Money?」は以前よりもサイケ感が増しているし、続く「Inner Lights」はまるで薫風みたいに爽やかである。バンドの音に身を委ねるオーディエンスのノリ方も曲ごとに大きく違っていた。最初のMCでは、The CheseraseraのMCを受けて上野が、宍戸から連絡が来る時はちょうどバイト中やスタジオに入っているときが多く、本当に都合が合わないのだ——と釈明。その後松原が「さっき宍戸さんがいた位置(ステージの上手側)に立ってるんですよ。嬉しいですよね」とファンの心を丸出しにしたような発言をして場を和ませる。
The Songbards 撮影=カワベミサキ
MC明けは新曲「ストリートアレイ」、そしてカバー曲「愛のしるし」を披露する自主企画ならではの特別さが感じられる展開。前者はツインボーカルによるアッパーチューンで、特にBメロのメロディラインが予測不能で面白い。後者は柴田淳史(Ba/Cho)のリフや間奏の転調回数などから鑑みるに、PUFFYというよりかはスピッツ版に近いアレンジだった。
The Songbards 撮影=カワベミサキ
「Time Capsule」のあとの2度目のMCでは、この日会場内で配布された手作りのフリーペーパー(The Cheseraseraのメンバー含む出演者全員が選曲した“夏の終わりに聴きたい曲”とコメントをまとめたもの)について説明。そこから上野が「夏の終わりは特別なものを失う感覚がある」「しかし手放すからこそ次の特別に出会えるものがあり、季節とはその象徴だ」という話をし、「そういうことを曲にしたいなと思って作ったのが『春の香りに包まれて』です」と次の演奏曲を紹介した。上野と松原の二声による<このまま僕らの声/風を揺らしてどこへゆく>というフレーズは、ライブハウスの壁をふわりと飛び越えて行ってしまいそうだ。
The Songbards 撮影=カワベミサキ
ギター2人が向き合いながら、掛け合いのようなフレーズを鳴らし「悪魔のささやき」(4月のワンマンでも披露していた未音源化曲)へ。そのあと「ローズ」、「雨に唄えば」を演奏し、本編は終了した。そしてアンコールでは、次の作品をビクターエンタテインメント内のレーベル・Getting Betterからリリースすることを報告。「俗に言うメジャーデビューという形にはなります」と改めて発表した。バンドのフロントマンである上野が「(解禁タイミングの都合上)言ってはいけないことだらけで困惑する」「分からんくなってきた……」とあたふたする一方、松原は「たくさんの人が応援してくれてることは実感してるし励みになってます。それを糧に頑張っていきたいと思いますので、今後もよろしくお願いします」と非常にしっかりしたコメントを出し、岩田はファンへ「自分たちのことを偏屈だと思うときもあるけど、新しくチームになる人たちもこういうところを応援してくれてるし、5年、10年一緒にやっていきたいということで今一緒に作品を作ってます。なので、今後とも末永くよろしくお願いします」と伝え、そんな3人の様子を柴田が静かに見守っている。
The Songbards 撮影=カワベミサキ
その後、この日最後の曲として演奏されたのは「青の旅」。<そんな大きなカバンいらないよ/歌を一つ覚えていけばいい>という唄い出しの一節は、音楽に対するピュアな気持ちや、(先ほどのMCにも表れていた)メンバー同士の関係性はそのままに、新たな旅に繰り出すバンドの“今”をこれ以上ないほどに言い当てていた。
The Songbards 撮影=カワベミサキ
メジャーデビュー作に関しては後日追ってお知らせがあるとのことなので、続報を楽しみにしていてほしい。The Songbardsは10月15日に心斎橋CONPASSで『ミックステープ vol.3』を開催(共演者はEasycome)。また、11月9日にはThe Cheseraseraの企画イベント『The Cheserasera presents “over the fence”』に出演するため、2組が再び共演することも決定している。

取材・文=蜂須賀ちなみ 撮影=カワベミサキ

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