Nissy 5万人に魔法をかけた、4大ド
ームツアーセミファイナル・東京ドー
ム公演に見た集大成と新たな歴史

Nissy Entertainment "5th Anniversary” BEST DOME TOUR

2019.4.24 東京ドーム
Nissyのソロ活動5周年を記念した4大ドームツアー『Nissy Entertainment "5th Anniversary" BEST DOME TOUR』。このツアーでNissyは“日本人男性ソロアーティスト史上最年少での4大ドームツアーを開催”という記録を打ち立てた。以下では、ツアーのセミファイナル、4月24日・東京ドーム公演の模様をレポートしていきたい。
Nissy
定刻になると、ツアー直前に配信リリースされた新曲「Affinity」のジャケット写真の世界観を彷彿とさせるオープニングムービーがスタート。モニターにはNissyが大きく映っているが、ステージ上には本人不在、という状態のまま、1曲目の「Affinity」が始まった。すると曲中、巨大モニターが分割し、その向こう側でエレベーターが下降、そのなかからNissy本人が登場。先ほどのオープニング映像の内容とリンクした演出だ。流し目からの微笑み、をカメラがバッチリ捉えると客席から黄色い声が溢れだす。
「手ぇ上げな! 楽しんでくぞ!」と、ダンサーを引き連れながら花道へ繰り出すNissy。ステージセットはかなり大掛かり。まず、メインステージの正面に花道が伸びていて、その先端に1つ目のサブステージがある(以下、センターステージ)。このセンターステージは可動式で、観客の頭上を通りながらアリーナ後方まで移動することができる。さらに、そのセンターステージを起点にV字型に花道が伸びていて、それぞれの先端に2つ目、3つ目のサブステージがある(下手側を“レフトステージ”、上手側を“ライトステージ”とする)。なお、3つのサブステージは床がLEDになっている。
Nissy
セットリストは、2月にリリースされたベストアルバム『Nissy Entertainment 5th Anniversary BEST』の収録曲中心。センターステージ上で、ハンドマイクを手に唄いながら踊るスタイルで「LOVE GUN」をパフォーマンスしながらアリーナ後方へ移動すると、たっぷりためながら最初のサビを唄った「まだ君は知らない MY PRETTIEST GIRL」ではシュワ―ッと音を立てながら火花が盛大に上がった。ビッグバンドの音色が印象的な「SUGAR」で切れ味のあるダンス、透き通った歌声を披露すると、恋愛シミュレーションゲーム的なVTRへ。その後はレフトステージから突然登場し、ファンを驚かせながら「ワガママ」を歌唱。Nissyのアカペラを機に場内が暗転してから、ミラーボールが星のような光を散らし始めるクライマックスの場面では、客席から“わあ……!”と溜め息交じりの歓声が漏れていた。続く「愛tears」はライトステージからこちらも突然登場しファンを驚かせた。噴水に囲まれながら唄い踊るNissyの姿は妖艶ですらあり、この曲でもやはり溜め息交じりの歓声があちこちから聞こえてくる。
Nissy
メインステージに戻ってからの「Addicted」、ユニークなおじさんメイク&オネエ口調の三枚目キャラに転じたVTRのあとの「DANCE DANCE DANCE」では、宅配バイクに乗ってイノシシの着ぐるみ姿で登場。百数名はいるであろうチアダンサーの活き活きとしたダンス、生バンドによる躍動的なサウンドを従えながらどこかコミカルで、どこまでもハッピーな空間を創り上げた。「Playing With Fire」ではダンサーおよびバンドのメンバー紹介を兼ねたソロ回しがあり、そのラストにはNissyもソロダンスを披露。他のメンバーのプレイに感化されてか、曲が進むにつれて、ボーカルもどんどん力強くなっていった。ここでこの日初のMC。Nissyの息は上がっていて、「32歳だなって感じがします」と自虐しているが、唄って踊って、これだけ広大な会場を走り回っているのだからものすごい運動量なわけで、そうなるのは当然である。
Nissy TM & (c) 2019 Sesame Workshop (c) 2019 Peanuts Worldwide LLC TM & (c) Universal Studios. All rights reserved
ファンから募った“Nissyに歌って欲しい曲”の1位に輝いた「糸」(中島みゆき)、そして「Don't let me go」をしっとり唄い終えると、いよいよラストスパートへ。VTRを挟み「Double Trouble」「恋す肌」「Relax & Chill」を連続で届けたあとの「The Days」では、MVに出演しているピーナッツ&セサミストリートのユニバーサル・スタジオ・ジャパンの人気キャラクターも登場。フロート車に乗ってパフォーマンスしたり、V字型花道付近で火花や噴水が上がる様子はさながらテーマパークのパレードのようだった。Nissyからファンへの5つのメッセージがスクリーンに映し出されるなか、スヌーピーやエルモたちと踊る“トリコダンス”もキュートな「トリコ」で本編終了。
Nissy (c) 2019 Peanuts Worldwide LLC TM & (c) Universal Studios. All rights reserved
――と、ここまで一気に書いてしまったが、5万人規模の広大な会場にもかかわらず、そういえば一度も“ステージが遠い”と感じなかった。それはなぜかというと、Nissy側の“観客に少しでも近づこうとする姿勢”を感じたからだと思う。この“近づく”とは、物理的な面においても、精神的な面においても、である。
Nissy
例えば「まだ君は知らない MY PRETTIEST GIRL」の曲中など、センターステージに乗って移動している間は、右側・左側・後ろ側がそれぞれ正面になるよう、ダンスのフォーメーションをこまめに切り替えながらパフォーマンスすることも多かった。どの角度からもよく見えるよう配慮してのことだろう。また、各ステージは床一面がLEDになっていた。そこに映る光の演出とNissyのダンスによるシンクロを楽しむことができるのは、スタンドエリア上階席にいる観客の特権だ。
ファン心理からすると、ステージから近ければ近いほど“良席”だと感じるのが一般的だが、Nissyのライブでは、ステージからの距離は関係なしにみんなが楽しめるような工夫が為されている。MC中、喋りすぎによるタイムオーバーを防止するための鳩時計の音が鳴ったあとでも、彼は全ての花道をダッシュしながら全方位にいる観客へ手を振って近づいていく。
Nissy
アンコールでは気球に乗り、スタンド席にいる観客の方へできる限り近づく。その際披露する曲として、計4曲のメドレーを選択し、じっくりと時間をかけて周回していたのも彼なりの誠意の表れだろう。また、「糸」を唄う前には、リクエスト曲2~5位をただ紹介するだけでなく、それぞれの曲のさわりを歌唱(西野カナ安室奈美恵を原曲キーのまま唄っていたのもすごかった)。そんな些細な場面にも観客へのサービス精神が表れていた。
鳴り止まない拍手喝采に対し、「みんなのスマイルを見られてよかったです。こちらこそありがとう!」とNissy。「今日を終えたらみなさんそれぞれの時間があります」と告げると、世の中には他にも素晴らしいエンターテインメントがあるのだと前置きし、興味があればそれらにもぜひ触れてみてほしいのだということ、Nissy自身も自分の表現を磨いている最中であることを満場の観客へ伝えていった。「音楽っていう娯楽、エンターテインメントを楽しみながら、同じ時代を精一杯一緒に生きていきましょう!」。そう投げかけた彼は、奇しくも、東京ドームでライブを行う平成最後のアーティストであった。
Nissy
「これからの僕たちのためにこの曲を届けたいと思います」という言葉とともに、アンコール2曲目として届けられたのは「My Luv」だった。曲の雰囲気に合わせて七変化――いや、それ以上の頻度で衣装を変え、演じるが如く声色やダンスのテイストまで染めてみせるNissy自身のパフォーマンス。全編にわたって行われた、2次元(映像)と3次元(ライブ)をリンクさせるような演出。無線によってコントロールされたペンライトによる、幻想的な光景。――それらによる夢のような空間はいつか終わりゆくものだが、楽しかった思い出を糧にこれからの日々を頑張ることができたならば、会場の外に出ても、僕たちはずっと一緒にいられるはずだ。Nissyが5万人に、最後の魔法をかけた。
エンドロール風のVTRが流れ、ここでライブが終了――かと思いきや、「ベストなんだからこいつも唄わせてください!」とラストにはソロプロジェクト第一弾楽曲「どうしようか?」が披露された。巨大スクリーンが4分割になり、そこに2013年、2016年、2018年に同曲をパフォーマンスした時のNissyの姿、そして今現在のNissyの姿が映し出される。昨年の東京ドームライブで似たような演出があったことも記憶に新しい。今回のライブは現時点での集大成というべき内容だったが、Nissyというアーティストの歴史はまだまだ続いていくはずだ。そんなことを示唆させるラストシーンだった。
取材・文=蜂須賀ちなみ
撮影=田中聖太郎、山内洋枝、青木早霞、立脇卓
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