PassCode インタビュー 壁を壊し、越
えた先に伸びていた“光さす道”——
最新アルバムが示す現在地は

4月3日にリリースされたメジャー2ndアルバム『CLARITY』が日本はもちろん世界各地のチャートを賑わし、直後にスタートさせたZepp Tourでも初日からこれまで以上の熱狂的な光景を生み出し——と、その勢いが誰の目にも明らかになってきたPassCode。既存の枠組みを超越して歩み続ける彼女たちは、前作『ZENITH』以降、いかにしてここまで到達し、この先どこへ向かっていくのか。今回はメンバーから今田夢菜と大上陽奈子の2名を迎え、ゆるりと訊いていく。
——メジャー2ndアルバム『CLARITY』がリリースされました。
大上:PassCodeらしい攻めの曲もありますけど、初めてのバラードもあって。早くみんなに聴いてもらいたいなと思っていたので、やっとみんなに聴いてもらえることが嬉しいですね。
今田:1stアルバム『ZENITH』と比べると、いろんな人が聴きやすい曲がたくさん詰まってるかなと思うので、より多くの人に聴いてほしいなって思います。
——前作からは1年8ヶ月ぶりとなりますが、それぞれにとってはどんな期間でした?
今田:『ZENITH』からそんなに経ったんや。
大上:一番記憶に濃いのは、やっぱり『ZENITH TOUR 2017』ですかね。『ZENITH TOUR』は長かった(苦笑)。メンバーそれぞれがギリギリのところでやっていて、とにかく一本一本を終えることに必死でいて。そのツアーが終わって、今回のアルバムまでに『Taking you out TONIGHT! Tour 2018』があったんですけど、私はそこで少し取り戻した感がありましたね。
——何を取り戻しました?
大上:『ZENITH TOUR』の時は必死すぎて、ライブの楽しみ方とか、いろんなことを忘れちゃって。でも、『Taking you out TONIGHT! Tour』の初日に、「あ、この感覚や!」っていうのがあって。感覚なので、それが何かは明確に言葉にはできないんですけど、「今回のツアーは行けそう」って実感して。メンバーの顔も違うなと思ったんですよね。『ZENITH TOUR』の時はあんまり笑顔もなかったし、ライブ前から必死で、今日もいけるかな?っていう不安の顔が多かったんですけど、『Taking you out TONIGHT! Tour』の初日を終えたときは、スタッフさんを含め、みんなが安心した顔をしてましたね。
今田:今田は自分の中にずっと壁があって。それを壊すのに必死なので、楽しさというのは正直あまりないんですよね。ただ、『Taking you out TONIGHT! Tour』のファイナルで、お客さんの顔をちゃんと久々に見ることができたなって感じてて。
——今田さんはいつも自分のパフォーマンスに納得してないと言ってますよね。どんなに周りが「良かったよ」と声をかけたとしても。
今田:それは、やっぱり、休養する前の自分のパフォーマンスが、いつも、これがベストと思って、1本1本やってきてたから。復帰してから今まで、ほんまやったらもっとできるはずやのにっていう葛藤がずっとありました。でも、ここ最近、やっと少しずつ戻ってきたかなって感じているので、今はもっと素直にステージを楽しみたいなっていう気持ちがありますね。
PassCode・今田夢菜 撮影=大橋祐希
——では、改めてニューアルバムのお話をお伺いしたいと思います。最初にお二人からいろんな曲が入ってるとありましたが、それぞれのお気に入りの曲を1曲ずつあげていただけますか。
大上:私は「horoscope」です。今までの中で一番バラードっぽい曲なんじゃないかなと思うんですけど、歌詞、メロディ、サウンド、全てが好きですね(笑)。まず、初めて仮歌を聞いたときに、涙が出てきて。聴き馴染みのあるメロディだと思うんですけど、すごく心に響いたし、歌詞にメンバーの南が携わってて。レコーディングをした後に聞いたんですけど、やっぱりメンバーの気持ちを踏まえて書いてくれたそうなんですね。だから、知らずのうちに、心に沁みたのかなって。特に2番のBメロ<音楽は魔法かなんてわからないけど>っていうところが、ほんまにそうやなって思って。
——今田さんが歌ってるところですよね。どんな思いで歌いました?
今田:……そこはあんまり何も考えないで歌ったかな(笑)。今田は1番の<思い出のプラネタリウム 弾けて消えてく>の方が心にきました。ふわっと気持ちが広がった感じがします。
大上:え〜、いいやん、ここ。
今田:今田は振り付けが完成してから“この曲いいな”って感じるので、その部分はフリ渡しの時にいいなって感じました。文章では伝わらないんですけど、魔法をかけるみたいなフリで。
大上:今田に3人でふんわりタッチする、みたいな。
今田:その瞬間に、この歌詞いいなって思いました(笑)。
大上 :いやぁ、もう、私が歌いたかった感があります(笑)。だって音楽って、ほんまに魔法みたいに、落ち込んだときに聴くと元気が出るじゃないですか。でも、自分もそれを仕事にしてるけど、ほんまに魔法かどうかはわからなくて。
——音楽を通して、元気や勇気、パワーを与えてますよね。それは、魔法のようなものじゃないかと思いますが。
大上:お客さんに「辛い時に聴いてます」って言われたときに感じることもあります。そういう感想をもらうと、みんなの役に立てててるのかなって思いますし、この一文がそれを表してる感じがします。しかも、他の曲はわりとオートチューンがかかってるんですけど、この曲は少なくて。生の歌声が前面に出てるし、メンバーの声の違いもよくわかるので、声の個性が出るように歌うにはどうしたらいいのかなっていうのを考えながら歌ってました。
——オートチューンもないし、今田さんのシャウトもないですよね。
今田:今回、他の曲でもクリーンのパートも増えてるんですけど、歌に苦手意識があるので、ステージに立つとシャウトより緊張してます。「くる! くる! やばい!?」って思いながら歌ってて(笑)。でも、せっかくいい部分を歌わせてもらってるから堂々と歌いたいなと思います。
大上:メンバーの中で一番ふんわりしてて女の子らしい声っていう。そのすごいギャップも楽しんでほしいです。
PassCode・今田夢菜 / 大上陽奈子 撮影=大橋祐希
——そんな今田さんのお気に入りの曲は?
今田:「In the Rain」ですね。さっきも言ったんですけど、今田はフリがついてから、「この曲いいな」とか、「好きやな」って思ったりするんですね。この曲はサビの振りがめっちゃ好きで。“大上と今田”と“高嶋と南”っていう2:2になってて。二人が踊って、二人が歌ってっていう表現の仕方が好きで、フリから曲も好きになりました。フリがあって、初めて歌詞も伝わるんじゃないかなっていうくらい。サビの部分は日本語なんですけど、すごい切ないけど心が落ち着くっていうか。それがフリとも重なってて、すごいいいなって思います。
大上:私も振り付けが好きですね。
今田:今までの激しい踊りじゃないやんな。
大上:コンテンポラリーダンスっぽいんですかね。2:2で操ってるような踊りが多くて。個人で踊ってるんじゃなくて、二人で合わせて成り立つみたいな、組み合わせのフリみたいな感じで。多分、新しい感じだと思います。
——また、前回のツアーで披露した「Ray」と「It’ s you」も収録されてます。この2曲は幅広い世代に愛されるスタンダードナンバーになる可能性を秘めた名曲じゃないかと思います。
大上:嬉しい。「Ray」と「It’ s You」は、PassCodeのすごいファンだったわけじゃない知り合いの人からの評判がすごくいいです(笑)。
今田:『Taking you out TONIGHT! Tour』の……うどんのとこってどこ?
大上:あはははは。香川!
今田:そうや、香川のときに、「Ray」でめっちゃ号泣しちゃって。その日、急に歌詞とメロディが心にきて。すごい泣きながら叫んでたのを覚えてて。みんなにも、いろんな刺さり方をする曲なのかなって思います。
——「It’ s you」はシンガロングできる曲になってますね。
大上:前回のツアーのファイナル公演、Zepp Diver Cityでの大合唱はめちゃめちゃ感動しました。今まで見た中で一番素晴らしい光景やったなってめっちゃ感じて。アンコールの一番最後にやったんですけど、今までは「Seize the day!!」をライブの一番最後にやるのが定番だったんですよ。「It’ s you」と「Seize the day!!」は掛け合いの部分のメロデイがリンクしているので、2年前のライブの光景と重なりつつ、もっと多くの手が上がってて。ほんまに涙出そうになりました。
——Zepp Diver Cityは2016年8月の『VIRTUAL TOUR 2016』のファイナルではソールドできなかった因縁の場所なんですよね。それが、昨年末には満員になって。今田さんはどんな思いでその光景を見てましたか?
今田:「It’ s you」までは必死にライブをやってた感じやったんですけど、アンコールの最後に「It’ s you」が始まって、その景色を見たときに、心がちょっとスッとしました。あ、無事に終わったっていう気持ちと、やっとここまでこれたっていうホッとした気持ちもあったし、みんなが楽しそうに声や手をあげてくれていることに嬉しくなりました。やってきてよかったって思いましたね。
——「Ray」は“光線”や“一筋の光”という意味で、「It’ s you」では<未来を照らしていけ>と歌ってます。「DIVE INTO THE LIGHT」という曲もありますし、「Tonight」では<光が錯綜>していて、「PROJECTION」でも<翳りの無い世界>に歩き出してますし、何しろ、アルバムタイトルが“光さす道”という意味です。光や灯という言葉が多く使われていることはどう感じてますか?
大上:いままでは社会に抗うみたいな歌詞がめちゃくちゃ多くて。ライブでもその曲の世界観を出すために必死な顔でやってるんですけど、その中に“光”っていう言葉があるだけで、ただガムシャラにやってるだけじゃなくて、ちゃんと希望もあるんだよって感じてもらえるというか。なんやろ、暗いだけじゃないんだよみたいな感じが表せるんじゃないかなと思って。「Ray」の最後のサビの<光放て>はめっちゃ好きです。
今田:前向きっぽい。背中を押してくれるなぁって思います。
PassCode・大上陽奈子 撮影=大橋祐希
——アルバムのラストナンバー「WILL」で<宛てない闇を照らす声を集めて合わせて>と歌ってますよね。聴き手にとっては、4人の声=光になってるんだと思います。
大上:嬉しいです。本当に前向きな感じの曲が多くなってて。「やっとやな」っていう気持ちが正直あって。社会に抗う強さみたいなエネルギーがPassCodeの良さではあったんですけど、ライブで全曲がそういう曲だと、聴いててもしんどくなっちゃう可能性もあるじゃないですか。個人的にみんなを励ますような曲も歌いたいなとずっと思っていたので、「WILL」の歌詞も好きですね。
今田:「WILL」はまだ振り付いてないんですよね(笑)。……でも、英語よりも日本語の方がストレートに伝わるなって思うので、いろんな人に届きやすい曲やなって思います。
大上:私は、「WILL」は初めて自分自身の経験を交えて歌えたのかなと思ってて。これまではプロデューサーさんからもらった曲の解説を見て、自分の中で噛み砕いて歌うことが多かったんですけど、「WILL」は仲間との別れと新しいスタートなので、自分が経験したことと重なってて。だから、ずっと昔から仲良かった同級生のことを思い浮かべながら歌ったんですね。「あ、こういうのって、思い返してみれば初めてかも」って思いました。
——「WILL」という単語には「意思」と「未来」という意味がありますよね。まず、「意思」をお伺いしたいんですが、お二人は、PassCodeをどんな思いでやってますか?
大上:PassCodeが好きだなって思います。前回のツアーで、やってて良かったなって思うことも増えて。『ZENITH TOUR 2017』の時は壁にぶつかってる瞬間で、しかも、ちょうど高校を卒業したくらいの時期だったんですよ。友達と遊んだときに、「大学楽しい」とか、「自由になった」とか、「サークルめちゃ楽しいで」って言う話をよく聞いてて。みんなは楽しんでるのに、自分はすごい苦しんでるな、普通に学生生活をしてたらどんなんだったんだろうなって考えてたんですけど、『Taking you out TONIGHT! Tour』のときは、その子達が経験してないことを経験できてるなって思えたし、すごく自信も出てきて。こっちの道を選んだ方が絶対に良かったなって思ったし、今は楽しいことしてるなって感じれているので、その気持ちがずっと続けばいいなって思いますね。
今田:『ZENITH TOUR』あたりから、逃げたい、逃げ出したいっていう気持ちが常に大きくて。嫌と思ったら逃げ出しちゃうタイプで、ずっとそういう感じで生きてきたんですけど、どんだけ逃げ出したいと思っても、PassCodeは、自分の中で大切なものやなって思ってるので、やっぱり自分の納得いくまでずっとやってきたいなって思います。
——「未来」はどう考えてます。『CLARITY』=「光さす道」の行く先は?
大上:最近、4人で「そろそろ具体的な目標を作ってもいいのかな」っていう話をしてて。今までは「ここを目指してます」とか、「この会場が目標です」っていうのをあえて言ってなかったんですね。目の前にあるものをまずは一生懸命にやっていこうっていうスタンスだったんですけど、なんか1つ、具体的な目標をあげるのも大切なんじゃないかなって思い始めてきて。でも、まだ明確にはないので、そこを見つけていけたらなって思いますね。自分たちがやっていかなきゃいけないことがはっきりするような気がして。ふわふわしたものが、もうちょっと固まるんじゃないかなって。どこでやるのが目標ですって公言してるアーティストさんを見ると、すごいことだなって感じるし、できるようになりたいなって思います。
今田:PassCodeの目標は、今田自身は考えたことはないんですけど、よく考えたら、「Zepp Tour」ってめっちゃすごいことやし、挑戦でもあると思うので、そういう挑戦を常にしていけたらいいなと思います。(と、ここで今田のお腹がぐ〜っとなる)あははは、恥ずかしい(笑)。
——(笑)。では、インタビューを終わりにしますね。せっかくなので、最後に好きな食べ物を教えてください。
今田:好きなのはお肉です。特に鶏肉が好きです。
大上:二人でご飯行くときは、絶対に焼き鳥やんな。
今田:昨日も焼き鳥食べました。魚が食べられないんです。
大上:私は一番好きなのはコロッケです。
今田:初めて聞いた!
大上:ポテトコロッケか、かぼちゃコロッケ。クリームコロッケも好きだし、コロッケならなんでも好きですね。

取材・文=永堀アツオ 撮影=大橋祐希
PassCode・今田夢菜 / 大上陽奈子 撮影=大橋祐希

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