おすすめ書籍:「サッチーの母親学 母稚園」/野村沙知代(ぴいぷる社)※入手困難

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サッチー逝去:ドラァグクイーン・エ
スムラルダ連載185

エスムラルダの「勝手にワイドショー!」
連載第185回 サッチー逝去 野際陽子さん、渡瀬恒彦さん、京唄子さん……。「ある程度年齢は重ねていても、まだまだお元気」なイメージがあった方々の訃報が多かった2017年だけど、「12月8日に、サッチーこと野村沙知代さんが亡くなった」というニュースも、アタシにとっては、やはり衝撃度が高かったわ。
 若い人たちはご存じないかもしれないけど、20年ほど前のサッチーの活躍っぷりは、本当にすごかった。衆院選に出馬し、バラエティやCMに出演しまくり、1998年のとしまえんのポスターでは、御年66歳にして水着姿を披露し大きな話題に。90年代後半に熟女ブーム(?)が起き、上沼恵美子、細木数子、橋田壽賀子、デヴィ夫人……といった面々が視聴者のお悩みにズバズバ物申す『快傑熟女! 心配ご無用』(TBS系)なんて番組ができたのも、おそらくサッチーありきだったはず。
 というか、サッチーの人生そのものがすさまじいのよね。「若い頃、ミス白河(福島県白河市)に選ばれたことがある」「終戦後、アメリカ兵相手の娼婦をやっていたらしい」「アメリカ軍将校と結婚し2人の息子をもうけながらも、プロ野球選手&監督の野村克也とダブル不倫し再婚」「舞台女優の故・浅香光代に『出馬の際、選挙公報に嘘の経歴を載せていた』と告発される」「2億1300万円の脱税で逮捕される(最初の夫との間に生まれた息子が、脱税の証拠を捜査当局などに提供したそう)」など、とても一人の人間の人生とは思えないほど波乱万丈。そりゃ、あのくらい気丈じゃないとやってられんわ。
 しかし、サッチーがもてはやされた頃って、世の中にまだ「いろいろなものを楽しむ」余裕があったんだな……とあらためて思うわ。今だったら、発言や行動の一つひとつが炎上しまくり、メディア側も起用に躊躇したはず。ショーンKもあの時代なら、多少学歴詐称していても許されたかも(ほんとかよ)。
 そして今年、熟女たち(豊田真由子、松居一代、泰葉ら)の「メンタルの不安定さからくる言動の危うさ」がやたらと話題になった点にも、時代の違いを感じるわ。もう、海千山千のパワフルな熟女が活躍(?)することはないのかしら……。
 ただ、かつてはあんなにエネルギッシュだったサッチーだけど、最近の写真を見るとずいぶん穏やかな表情をされていて、なんだかしみじみした気持ちに。あれだけ全力で生き、二度目の夫とは最後まで添い遂げ、傍目にはサッチーって、「人生の喜怒哀楽を味わいつくした人」に見えるのよね(周りの人は大変だったかもしれないけど)。とても真似はできないけど、ちょっとうらやましいわ……。
 心より、ご冥福をお祈りします。
<水曜連載>※都合により木曜公開
おすすめ書籍:「サッチーの母親学 母稚園」/野村沙知代(ぴいぷる社)※入手困難
https://books.rakuten.co.jp/rb/1333346/

【エスムラルダ:プロフィール】
えすむらるだ…1972年生まれ。94年よりドラァグクイーンとしての活動を開始し、各種イベント、メディア等に出演。2002年、東京都の『ヘブンアーティスト』ライセンスを取得。脚本家・ライターとしても活躍している。著書に「同性パートナーシップ証明、はじまりました。」(ポット出版、共著)
twitter:@esmralda001
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おすすめ書籍:「同性パートナーシップ証明、はじまりました。渋谷区・世田谷区の成立物語と手続きの方法」エスムラルダ、KIRA著(ポット出版)
http://books.rakuten.co.jp/rb/13507222/

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