【IA × SUPER GT】
文:山村哲也
IA PROJECT(イア・プロジェクト)の名のもと、今まで数々のアーティストとの作品を発表してきたボーカロイド・ヴァーチャルアーティストIA。そのIAが、今年で20周年を迎える国内最大級の観客動員を誇るモータースポーツSUPER GTと、ガッチリと手を組みコンピレーションアルバムをリリース。じん(自然の敵P)、石風呂、baker、レフティモンスター他、有名ボカロPやTeddyLoid、中西亮輔等の有名作家アーティスト12名が参加した話題の今作品。しかし、なんと言っても最大の注目は9mm Parabellum Bulletの主要ソングライターであるギタリスト、滝善充の参加だろう。IAとの初コラボ曲「セツナドライブ」は、叙情的でエモーショナルな滝特有のメロディーに、9mmっぽいギターリフが印象的な秀作。IAの声とのマッチングも抜群で、パワーポップやヘヴィロック等のギター系サウンドが得意なボカロPが数多く参加している今作品を通して聴いた時に、既存のロックバンドサウンドとボカロサウンドとの親和性も感じられ、面白い仕上がりになっている。サーキットの疾走感や迫力が見事にパッケージされたアルバムは『SUPER GT 2013』オフィシャルテーマソングでもある、じんの「アメリカ~ We are all right ! ~」の爆音ギターからスタートし、ナナホシ管弦楽団の「RACER'SHIGH」でスピードアップ。中盤TeddyLoid のEDM チューン「Over Drive」、KNOXX による「DREAMER'S HIGH」の高速ビートでのトランスを経てORYOの「OVERTRUE」、ダルビッシュPの「God only knows」の超絶ギターでトップをキープ。その後uzの「軌跡に」、ゆよゆっぺの「Over the limit」のエモサウンドでチェッカーフラッグ。ラストは数々の有名アーティストに楽曲を提供する、小松一也のラテンフレイバー満載のハッピーチューン「Circuit DISCO」「Summer Songs」でウィニングランと、実際にレースを体感しているかのような構成で楽しめる。最後にSUPER GTのPRを担うイメージガールを中心としたIAGIRLSTARSの歌う「アメリカ~ We are all right ! ~」も収録されており、レースクイーンファンの心もくすぐる細かい配慮にも脱帽。
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