愛の存在を追い求めるのではなく、語るのでもなく、“愛する気持ち”がそのまま歌となる。例えようのない表情、そして新たな表現スタイルーー二十歳を迎えた彼女は、ここにきてさらに深度を増したようだ。
取材:竹内美保
二十歳を迎えたことで、気持ちの変化はありましたか?
ありました、すごく。大きく何かが変わることはなかったですけど、自分自身を楽しめるようになりましたね。二十歳になる前後にいろんなことがあって、そこで見つめ直せたというか…本当に自分のやりたいことって、やっぱり音楽だったんだってすごくはっきりと分かった瞬間があったのと、今まで私は自尊心と葛藤してたんだなっていうことに気付いたんです。そこで“このままの私で、このままのかたちで”という感覚がひとつしっかりと掴めたのは、二十歳になってからの大きな収穫だと思います。
「純情」から「Silly」リリース時の精神的な振りの大きさは、ちょっと後戻りした感じもありましたしね。
はい。でも、そこで“進むことだけが人生じゃないんだ”ということを身を持って経験できました。「純情」から「Silly」の流れは、自分的には一番大きかったかもしれないですね。
それもまた必然だったのかもしれないですね。そして、二十歳を迎えての第一弾となる「miss you」ですが、何と言っても歌声が素晴らしい。切ないですけど、泣きすぎていない。そこにハッとさせられました。
実はこの曲、もうひとりの自分に宛てた曲でもあるんです。デビューして自分を縛りすぎて、無邪気に音楽が楽しめなくなっていた時の自分に宛てていて…でも、《僕はただ 君を ずっと 愛してたんだ》というフレーズには“これからも君を愛していきたいんだ”っていう気持ちが入っていますし、このフレーズが書けた時に“あぁ、私はやっぱり音楽をやりたいんだな”って改めて思えて安心しました。それと、誰かに感情を持てることは尊いことなんだ、大切な人たちと楽しいことだけじゃなく悲しい出来事も一緒に体験できるのは素敵な関係なんだ、ということを感じられたことも、この歌詞には込められているんです。だから、すごく切ない曲ではあるんですけど、その切なさを一緒に共有できることが嬉しいね、幸せだねっていう気持ちを今は持っているので、ヴォーカルもすごく新しい気持ち、新しい感情で歌えた気がします。
《笑ってもない 泣いてもない》というフレーズは、言葉の表現と歌声からはその表情が浮かばないというか。だから、“どんな表情をしてるのだろう?”って想像してしまいます。
そこがある意味、私の中では新しく。前は“家入は怒るー、泣くー、笑うー”っていう曲が多かったんですけど(笑)、これは表情をあまり出さないようにした曲なんです。それがすごく新しい1歩を踏み出せたなって。私の歌い方って感情勝負が多かったんですけど、感情に頼らなかった曲だから、そこはすごくいい経験になりましたし、自分の糧にもなりましたね。そして、節目のデビューから3年目で新しい自分に出会えて、この曲を書けたことによって、もっともっと違う新しさのある曲を作っていけるんじゃないかなって思ってます。
淡々としているけれど、温度感はちゃんとあるという。あと、この曲でのヴォーカルは“メロディーを越えた歌声”になっている気がしました。
サウンドの作り方も今までにない感じですよね。
編曲をしてくださった佐藤希久生さんは、最近になって一緒に制作をお願いするようになった方なんですけど、そういう新しい出会いというところでも、すごく刺激を受けていますね。次に向けての新しい架け橋ができたな、って思ってます。
で、通常盤2曲目なのですが、タイトルが“I am foolish”っていう…。
私はもともと感情の起伏が激しいんですけど、それが闇の底に着いたくらいの時期がありまして(苦笑)、その時にこの歌詞を書いたんですよ。もちろん、自分の信じている音楽っていうのはあって…自分がすごく苦しかった時に音楽のバトンを渡してくださったアーティストの方たちがいてくれた。だから、おこがましいですけど、自分もそのバトンを渡していけるようになりたいなと思っていて、心が折れそうになっても絶対に前を向いて自分の音楽を届けていくんだ!っていう想いでやってきてはいるんですけど、でもやっぱり不安になる瞬間があるんですよね。自分が信じている音楽をやっているけど、それはちゃんと届くのだろうか?って思う瞬間が。
でも、《愛のために歌え》から始まるサビは覚悟を感じさせますよ。いい意味での開き直りなのかもしれないですけど。
音楽で闘っていく決意、とでもいいますか。
もうヘタには折れませんよ、っていう。で、これを出すということは、これからの自分の作品により嘘が付けなくなったというか。自分らしい曲だと思いますし、二十歳の第一弾に入れられて良かったです。「miss you」を入口にして、「I am foolish」も好きって言ってもらえたら嬉しいです。
通常盤3曲目の「Driving day」は面白い曲ですね。
最初はまったく違うアレンジだったんですけど、1回聴けば自分もテンションが上がるようなアレンジに変えていただいたんです。これは気分転換にドライブをしている歌詞であり、実は“二十歳になって、これからもいきますよ!”っていう気持ちを表現した曲でもあります。
また、初回限定盤のカップリングには、昨年12月のバースデイ・ライヴ『LEO IEIRI LIVE 12/13 ~thanks 2014~』から3曲が収められていますね。
やっぱり私はライヴが一番好きなので。ライヴがあるから曲を作ろうと思えるし、歌おうと思うし。だから、ライヴテイクが収録できるっていうのは嬉しいですね。
そんなレオさんですが、現在はアルバムを絶賛制作中とのお話を耳に…。
楽しみにしていただいていいアルバムに近付いている、と思います(笑顔)。
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「miss you」2015年02月11日発売Colourful Records/ビクターエンタテインメント
- 【初回限定盤(DVD付)】
- VIZL-770 1944円
- ※『LEO IEIRI LIVE12/13~thanks 2014~』の模様を24Pフォトブック化
イエイリレオ:1994年12月13日生まれ、福岡県出身。13歳で音楽塾ヴォイスの門を叩き、15歳の時に完成させた「サブリナ」で12年2月にメジャーデビューを果たす。光と影、希望と不安や葛藤など、精神面での深淵を綴った歌詞と表情豊かなヴォーカルで幅広い支持層を獲得。17年2月にデビュー5周年記念で初のベストアルバム『5th Anniversary Best』を発売し、4月には初の日本武道館公演を大成功に収めた。19年2月にはデビュー7周年記念で“Premium Symphonic Night”と題した大阪城ホール公演を成功させた。家入レオ オフィシャルHP