「スーパー歌舞伎II ワンピース」が
スゴい。 必見は巳之助のボン・クレ
ーと隼人のサンジ
10月7日、ついに「スーパー歌舞伎II ワンピース」(以下、ワンピース歌舞伎)が始まったわね。2日目の8日に会社をサボって観てきたわよ。
一幕目はシャボンディ諸島から女ヶ島まで、二幕目がインペルダウン、三幕目がマリンフォードのいわゆる頂上戦争を題材に、実質約4時間(※2回の休憩を幕間に挟むので終演までは約5時間)という歌舞伎としては気持ち長めだけどまあ普通の時間内にギュッと納めた感じよね。歌舞伎観ない人には長いと思われるかもしれないけど、観てたらそんなに長く感じないと思うし、幕間もグッズ買ってたらあっという間!
そんな舞台を、『ワンピース』は単行本派でサンジ推し・歌舞伎はゴールド会員だけどただの素人のオカマがネタバレ全開で語るわよ。
■腕、伸びた
まず気になるのは「ルフィの腕、伸びるの?」ってことよね。今日「サボったの怒られるかしら…」って震えながら出社したら斜め前の席のおじさんに腕の事を聞かれたから、まずそこから話すけど……うん、間違いなく伸びてた!
一発目は映像。というか、今回はプロジェクションマッピング的な映像の演出がかーなーり多用されていて、オープニングからエンディングまでよく出来てるんだけど、その冒頭の登場シーンは映像で腕が伸びてたわね。
それで「あー、結局そういう感じ?拍子抜けかも」……と思ってたら、その次はリアルに伸びたの。
「
一幕目はシャボンディ諸島から女ヶ島まで、二幕目がインペルダウン、三幕目がマリンフォードのいわゆる頂上戦争を題材に、実質約4時間(※2回の休憩を幕間に挟むので終演までは約5時間)という歌舞伎としては気持ち長めだけどまあ普通の時間内にギュッと納めた感じよね。歌舞伎観ない人には長いと思われるかもしれないけど、観てたらそんなに長く感じないと思うし、幕間もグッズ買ってたらあっという間!
そんな舞台を、『ワンピース』は単行本派でサンジ推し・歌舞伎はゴールド会員だけどただの素人のオカマがネタバレ全開で語るわよ。
■腕、伸びた
まず気になるのは「ルフィの腕、伸びるの?」ってことよね。今日「サボったの怒られるかしら…」って震えながら出社したら斜め前の席のおじさんに腕の事を聞かれたから、まずそこから話すけど……うん、間違いなく伸びてた!
一発目は映像。というか、今回はプロジェクションマッピング的な映像の演出がかーなーり多用されていて、オープニングからエンディングまでよく出来てるんだけど、その冒頭の登場シーンは映像で腕が伸びてたわね。
それで「あー、結局そういう感じ?拍子抜けかも」……と思ってたら、その次はリアルに伸びたの。
「
」の記事に動画があるけど(※編注:動画は非公開になりましたが、腕の写真があるのでリンクはそのままにしておきます)、黒子が腕だけ出してうまくやってるわけ。ほぼ踊りだけどね。
うーん、実に興味深い方法よね。してやったり! ってあちらさんは思ってるんでしょうけど、こっちもしてやられたわよ! 参りました。
ちなみにこの記事、「『本気すぎる』と話題に」ってタイトルだけど、歌舞伎が本気じゃないことってあるのかしら。ちょっとそこだけ疑問だけど、ま、いいわ。
あともう一つは、大道具的仕掛けで一発殴ってたわね。
というわけで、文句なしにちゃんと伸びてた! 良かった!
■歌舞伎的演出とスーパーな演出
腕以外に演出面できっとやってくれるだろうなーと思っていたら予想通り見せてくれたのが、序盤の見せ場、麦わら一味の名乗りの場面ね。
有名な『白波五人男』の名乗りは誰でも知ってると思うけど、確実にそれを踏まえた上で、麦わら一味がそれぞれ名乗りを上げるわけ。あっちは盗賊、こっちは海賊。これはシビれたわー。ゾロが「さてどんじりに控ぇしは」なんて言ったら、まんま南郷。ついでにチョッパーは名乗りながら『義経千本桜』の狐忠信ばりの仕掛けで変身して出てくるし(あっちは狐、こっちはトナカイ)、序盤からてんこもりで大サービスすぎるわー。
それから、猿之助の早替わり。ルフィ、ハンコック、シャンクスの三役を猿之助ひとりでやるわけで、シャンクスはともかくルフィとハンコックは直接絡むキャラなわけじゃん。会話なしとかありえないじゃん。「いやー、無理でしょう」と思ってたけど、全然無理じゃなかった! あれくらいの早替わりは、歌舞伎の中でも特に猿之助一座にはお手の物よね。
アクションも歌舞伎だらけ。
後で触れるけど本水の滝での立ち廻りがあるし、猿之助の宙乗り(しかも斜め)はあるし、大将・青雉(なんと市瀬秀和さんだったことにびっくり!)の必殺技ではブンブン飛び回る上に紙吹雪がハンパないし(ついでに気温も下がったと思うんだけど、意図的に空調を下げたのか風の影響かはわかんないわ。どちらにしてもうまい!)、当然火拳のエースは本火だからリアルに火拳で燃やすし、これは最近流行の4Dシアターどころの話じゃないわね。
それから、白ひげ(市川右近)は、立ち姿も死に様も、かーなーり碇知盛(『義経千本桜』の)を踏まえてたよね? だよね? 出番は少しだけど、白ひげの良さは知盛を想起させることで四皇の名に相応しいものだったと言わざるを得ないわよね。
「スーパー歌舞伎」って、その成り立ちからして普段の歌舞伎とは違う部分がすっごく多くて、今回もプロジェクションマッピングみたいに「まさにスーパー!」って演出もある一方で、あえての歌舞伎パロディを盛り込んできたのは、いやー、見事だわー。
今回、元からの歌舞伎ファン(非・ワンピースファンも当然いるよね)も、そうじゃないワンピースだけのファンもどちらも客席にいるわけなんだけど、前者が歌舞伎の名残りというか元ネタありきの場面を見て楽しめるのはもちろん、後者にも今回の「ワンピース歌舞伎」で歌舞伎の要素が伝わるのは間違いないし、今後弁天小僧や千本桜を観たときに「あれ、これ観たことある!?」ってなること請け合いだしね。
元々(江戸時代から)他の演目のパロディとか本歌取り的なことを繰り返して来たのが歌舞伎だし、これは大正解。だからこそ、ワンピースを歌舞伎にした意味もあるんだと思う。
それと、ここまでにちょこちょこ書いてきたけど、演舞場全体を使ったプロジェクションマッピング混じりの最新演出は、ほんとお見事。エンディングとか泣きそうになっちゃうから刮目して見なきゃよ!
■必見、サンジとボン・クレー
猿之助大活躍と、福士君のエースにグッとくることはみんな語ると思うんで、役者についてはあたし大注目の2人をピックアップ。
今、歌舞伎界随一のイケメンといえば中村隼人……なんだけど、今のところ当たり役ってないじゃない? というか、特に大きな役がつくこともなかったしね。悪いけどイケメン先行って感じがあったわけ。無駄にイケメンすぎるというか。イケメンの無駄遣い。
でも、今回のサンジとイナズマ(二役)はお見事。まずなんといってもサンジ激似! キセルをふかしながらのあの佇まいには、あたしオカマなのに子宮が疼いちゃった。歌舞伎なのにスーツだけど! そこもいい! 抱かれたい!
それから、ほぼオリジナルキャラ化してるイナズマ。原作のままのキャラクターもいれば、原作とは全然違う姿のキャラクターもいるのが今回のワンピース歌舞伎。非・原作キャラの代表のひとりが今回のイナズマで、まあ、ぶっちゃけ別人のイケメンサムライ。そしてこのイナズマが大活躍。二幕の後半は持ってったわね。あたし切られたいって思ったもん。
もう一人注目。ゾロとボン・クレー、スクアードの三役が坂東巳之助。最近亡くなった三津五郎さんの息子でこれまでにもちょいちょい活躍してるし、今回のゾロもスクアードも良かったけど、その二役もこれまでに演じた役も全てかすむくらい、ボン・クレーの存在感がハンパなかったわね。あたしがオカマだから言うんじゃないけど、あのボン・クレーはカンペキ。いえ、カンペキ以上の存在。主役はルフィじゃなくてボン・クレーでもいいくらいの偉大なボン・クレー。歌舞伎の歴史にボン・クレーの名を刻んだわ。
イワンコフ(浅野和之…センゴク、レイリーと3役)の再現度と存在感(サイズは人間サイズなのに!)もかなりのものだったけど、あたし的にはボン・クレーが神。MVP。日本にトニー賞があったら助演男優賞。むしろ主演でもよし。喉がちょっと心配。
そんなボン・クレーとイワンコフがオカマだらけの第二幕で咲き乱れるニューカマーランドは最高! ちょっと歌舞伎じゃなかったけどね。レヴューって感じだけどね。でもそこがいい♪ ほんと、オカマっていいよねー。盛り上がるよねー。花道どころか"オカマ道"が見えちゃった。
おっととっと、オカマの話になっちゃった。失礼☆
そんな隼人のイナズマと、巳之助のボン・クレーが二幕の終盤に大暴れするシーンで、本水……つまり、本当の水がザバーッドバーッって舞台上に出てくるわけ。たまんないわよね。いろんな意味で濡れちゃうわよね。
ということで、隼人と巳之助の意外な当たり役に大々々々注目。
他の役者さんについては、パッと思い出すのは猿弥さんのジンベエ(黒ひげと二役)の再現度がハンパなくて文字通り人類を超越してたし、ウソップ(井之上チャル)もお見事。
女性キャラについては、春猿はすっごく好きだし綺麗なんだけど、ナミが妙に歌舞伎歌舞伎しておばさんに見えたのが、ちょっとワンピース歌舞伎の限界かなー……だって男だもんなぁ……という部分はあったんだけど(でもロビン[笑也]は元がアレだから舞台でおばさんっぽくても違和感ないのよね)、それはそれで違う凄みがあって今思えばよかったかも。んで、二役で演じたハンコックの妹のサンダーソニア(春猿)とマリーゴールド(笑也)の再現度はこれまた恐ろしいほどよくできてたのよねー。というか物理的に恐ろしかったわ。
まあでも、ナミについては、あたしはオカマだから「艶っぽいわねぇ」ですませるけど、若い坊ちゃん嬢ちゃんが見たら「オバサン」「クソババァ」「オカマ」って言いそうで怖いわね。
逆に、おつるさん(門之助)は歌舞伎だからこその存在感で別格。
■というわけで、最高の出来
実は今までに観たことがあるスーパー歌舞伎って「ちょっと眠くなるなー」って思ってたの。スーパーなところはスーパーなんだけど、発端が梅原猛のせいか妙に観念的なところがあるというか。個人的に今回のスーパー歌舞伎化でこっそり危惧してたのは、正義とか悪について観念的に語りだして、うっかりルフィが「正義とは何だ」なんて悩み出したらマジどうしようって思ってた。『ワンピース』でそういう要素を探そうと思えばいくらでも出てくるしね。
でも、そういう中二要素は控え目で、全編通して眠くなるような小難しい話もなく、それでいてちゃんとワンピースしてて、おおむね満足よね!
客層としては、当然ワンピースだけのファンも多くて、めっちゃ前のめりで観劇して係の人に注意されてる子もいたけど(※演舞場の上の方の席は、前のめりになると後ろの席の人が見えなくなることが多いから気をつけてね! マジで。あんまり前のめられると温厚なあたしもブチ切れるよ!)、たぶん『ワンピース』読んでないでしょうっていうおばさま・おばあさまもたくさんいらっしゃってたのよね。後ろの席のおばさまもエースのことを「お兄さんがどうのこうの」とか言ってらしたし、駅で見かけたワンピース歌舞伎の筋書きを持った夫婦も「意味がわからないから帰ってから相談しましょ」とか言ってたし(ただの夫婦喧嘩で旦那が意味不明なことを言っただけなのかもしれないけど)。
でも、どんな人が観てもかなり満足度の高い芝居だったんじゃないかしら。だいたい歌舞伎ファンって知らない話の知らない登場人物でも、筋書き読んだりして補完する能力は鍛えてるしね。
物足りない点を言えば、マリンフォード決戦はもうちょっと人数がいた方がよかったかなーって思ったけど、そこはきっといろいろな判断があるんでしょう。
あと、「オレたちの冒険はこれからだ!」とか2、3回言ってたんだけど……それは打ち切りフラグやで、って思っちゃうわよね。
そうそう、最後にひとつだけ。
「ゆず」の北川さんが作った歌をみんなで歌おうみたいなのは、ちょっと苦手でした。客席も舞台も盛り上がってたけど。
(と言いつつ、その曲が脳内ヘビロテ中なダメなあたし……)
(※文責・パイナップルパン☆聖子♂)
▼関連リンク
うーん、実に興味深い方法よね。してやったり! ってあちらさんは思ってるんでしょうけど、こっちもしてやられたわよ! 参りました。
ちなみにこの記事、「『本気すぎる』と話題に」ってタイトルだけど、歌舞伎が本気じゃないことってあるのかしら。ちょっとそこだけ疑問だけど、ま、いいわ。
あともう一つは、大道具的仕掛けで一発殴ってたわね。
というわけで、文句なしにちゃんと伸びてた! 良かった!
■歌舞伎的演出とスーパーな演出
腕以外に演出面できっとやってくれるだろうなーと思っていたら予想通り見せてくれたのが、序盤の見せ場、麦わら一味の名乗りの場面ね。
有名な『白波五人男』の名乗りは誰でも知ってると思うけど、確実にそれを踏まえた上で、麦わら一味がそれぞれ名乗りを上げるわけ。あっちは盗賊、こっちは海賊。これはシビれたわー。ゾロが「さてどんじりに控ぇしは」なんて言ったら、まんま南郷。ついでにチョッパーは名乗りながら『義経千本桜』の狐忠信ばりの仕掛けで変身して出てくるし(あっちは狐、こっちはトナカイ)、序盤からてんこもりで大サービスすぎるわー。
それから、猿之助の早替わり。ルフィ、ハンコック、シャンクスの三役を猿之助ひとりでやるわけで、シャンクスはともかくルフィとハンコックは直接絡むキャラなわけじゃん。会話なしとかありえないじゃん。「いやー、無理でしょう」と思ってたけど、全然無理じゃなかった! あれくらいの早替わりは、歌舞伎の中でも特に猿之助一座にはお手の物よね。
アクションも歌舞伎だらけ。
後で触れるけど本水の滝での立ち廻りがあるし、猿之助の宙乗り(しかも斜め)はあるし、大将・青雉(なんと市瀬秀和さんだったことにびっくり!)の必殺技ではブンブン飛び回る上に紙吹雪がハンパないし(ついでに気温も下がったと思うんだけど、意図的に空調を下げたのか風の影響かはわかんないわ。どちらにしてもうまい!)、当然火拳のエースは本火だからリアルに火拳で燃やすし、これは最近流行の4Dシアターどころの話じゃないわね。
それから、白ひげ(市川右近)は、立ち姿も死に様も、かーなーり碇知盛(『義経千本桜』の)を踏まえてたよね? だよね? 出番は少しだけど、白ひげの良さは知盛を想起させることで四皇の名に相応しいものだったと言わざるを得ないわよね。
「スーパー歌舞伎」って、その成り立ちからして普段の歌舞伎とは違う部分がすっごく多くて、今回もプロジェクションマッピングみたいに「まさにスーパー!」って演出もある一方で、あえての歌舞伎パロディを盛り込んできたのは、いやー、見事だわー。
今回、元からの歌舞伎ファン(非・ワンピースファンも当然いるよね)も、そうじゃないワンピースだけのファンもどちらも客席にいるわけなんだけど、前者が歌舞伎の名残りというか元ネタありきの場面を見て楽しめるのはもちろん、後者にも今回の「ワンピース歌舞伎」で歌舞伎の要素が伝わるのは間違いないし、今後弁天小僧や千本桜を観たときに「あれ、これ観たことある!?」ってなること請け合いだしね。
元々(江戸時代から)他の演目のパロディとか本歌取り的なことを繰り返して来たのが歌舞伎だし、これは大正解。だからこそ、ワンピースを歌舞伎にした意味もあるんだと思う。
それと、ここまでにちょこちょこ書いてきたけど、演舞場全体を使ったプロジェクションマッピング混じりの最新演出は、ほんとお見事。エンディングとか泣きそうになっちゃうから刮目して見なきゃよ!
■必見、サンジとボン・クレー
猿之助大活躍と、福士君のエースにグッとくることはみんな語ると思うんで、役者についてはあたし大注目の2人をピックアップ。
今、歌舞伎界随一のイケメンといえば中村隼人……なんだけど、今のところ当たり役ってないじゃない? というか、特に大きな役がつくこともなかったしね。悪いけどイケメン先行って感じがあったわけ。無駄にイケメンすぎるというか。イケメンの無駄遣い。
でも、今回のサンジとイナズマ(二役)はお見事。まずなんといってもサンジ激似! キセルをふかしながらのあの佇まいには、あたしオカマなのに子宮が疼いちゃった。歌舞伎なのにスーツだけど! そこもいい! 抱かれたい!
それから、ほぼオリジナルキャラ化してるイナズマ。原作のままのキャラクターもいれば、原作とは全然違う姿のキャラクターもいるのが今回のワンピース歌舞伎。非・原作キャラの代表のひとりが今回のイナズマで、まあ、ぶっちゃけ別人のイケメンサムライ。そしてこのイナズマが大活躍。二幕の後半は持ってったわね。あたし切られたいって思ったもん。
もう一人注目。ゾロとボン・クレー、スクアードの三役が坂東巳之助。最近亡くなった三津五郎さんの息子でこれまでにもちょいちょい活躍してるし、今回のゾロもスクアードも良かったけど、その二役もこれまでに演じた役も全てかすむくらい、ボン・クレーの存在感がハンパなかったわね。あたしがオカマだから言うんじゃないけど、あのボン・クレーはカンペキ。いえ、カンペキ以上の存在。主役はルフィじゃなくてボン・クレーでもいいくらいの偉大なボン・クレー。歌舞伎の歴史にボン・クレーの名を刻んだわ。
イワンコフ(浅野和之…センゴク、レイリーと3役)の再現度と存在感(サイズは人間サイズなのに!)もかなりのものだったけど、あたし的にはボン・クレーが神。MVP。日本にトニー賞があったら助演男優賞。むしろ主演でもよし。喉がちょっと心配。
そんなボン・クレーとイワンコフがオカマだらけの第二幕で咲き乱れるニューカマーランドは最高! ちょっと歌舞伎じゃなかったけどね。レヴューって感じだけどね。でもそこがいい♪ ほんと、オカマっていいよねー。盛り上がるよねー。花道どころか"オカマ道"が見えちゃった。
おっととっと、オカマの話になっちゃった。失礼☆
そんな隼人のイナズマと、巳之助のボン・クレーが二幕の終盤に大暴れするシーンで、本水……つまり、本当の水がザバーッドバーッって舞台上に出てくるわけ。たまんないわよね。いろんな意味で濡れちゃうわよね。
ということで、隼人と巳之助の意外な当たり役に大々々々注目。
他の役者さんについては、パッと思い出すのは猿弥さんのジンベエ(黒ひげと二役)の再現度がハンパなくて文字通り人類を超越してたし、ウソップ(井之上チャル)もお見事。
女性キャラについては、春猿はすっごく好きだし綺麗なんだけど、ナミが妙に歌舞伎歌舞伎しておばさんに見えたのが、ちょっとワンピース歌舞伎の限界かなー……だって男だもんなぁ……という部分はあったんだけど(でもロビン[笑也]は元がアレだから舞台でおばさんっぽくても違和感ないのよね)、それはそれで違う凄みがあって今思えばよかったかも。んで、二役で演じたハンコックの妹のサンダーソニア(春猿)とマリーゴールド(笑也)の再現度はこれまた恐ろしいほどよくできてたのよねー。というか物理的に恐ろしかったわ。
まあでも、ナミについては、あたしはオカマだから「艶っぽいわねぇ」ですませるけど、若い坊ちゃん嬢ちゃんが見たら「オバサン」「クソババァ」「オカマ」って言いそうで怖いわね。
逆に、おつるさん(門之助)は歌舞伎だからこその存在感で別格。
■というわけで、最高の出来
実は今までに観たことがあるスーパー歌舞伎って「ちょっと眠くなるなー」って思ってたの。スーパーなところはスーパーなんだけど、発端が梅原猛のせいか妙に観念的なところがあるというか。個人的に今回のスーパー歌舞伎化でこっそり危惧してたのは、正義とか悪について観念的に語りだして、うっかりルフィが「正義とは何だ」なんて悩み出したらマジどうしようって思ってた。『ワンピース』でそういう要素を探そうと思えばいくらでも出てくるしね。
でも、そういう中二要素は控え目で、全編通して眠くなるような小難しい話もなく、それでいてちゃんとワンピースしてて、おおむね満足よね!
客層としては、当然ワンピースだけのファンも多くて、めっちゃ前のめりで観劇して係の人に注意されてる子もいたけど(※演舞場の上の方の席は、前のめりになると後ろの席の人が見えなくなることが多いから気をつけてね! マジで。あんまり前のめられると温厚なあたしもブチ切れるよ!)、たぶん『ワンピース』読んでないでしょうっていうおばさま・おばあさまもたくさんいらっしゃってたのよね。後ろの席のおばさまもエースのことを「お兄さんがどうのこうの」とか言ってらしたし、駅で見かけたワンピース歌舞伎の筋書きを持った夫婦も「意味がわからないから帰ってから相談しましょ」とか言ってたし(ただの夫婦喧嘩で旦那が意味不明なことを言っただけなのかもしれないけど)。
でも、どんな人が観てもかなり満足度の高い芝居だったんじゃないかしら。だいたい歌舞伎ファンって知らない話の知らない登場人物でも、筋書き読んだりして補完する能力は鍛えてるしね。
物足りない点を言えば、マリンフォード決戦はもうちょっと人数がいた方がよかったかなーって思ったけど、そこはきっといろいろな判断があるんでしょう。
あと、「オレたちの冒険はこれからだ!」とか2、3回言ってたんだけど……それは打ち切りフラグやで、って思っちゃうわよね。
そうそう、最後にひとつだけ。
「ゆず」の北川さんが作った歌をみんなで歌おうみたいなのは、ちょっと苦手でした。客席も舞台も盛り上がってたけど。
(と言いつつ、その曲が脳内ヘビロテ中なダメなあたし……)
(※文責・パイナップルパン☆聖子♂)
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