ボブ・ディラン、米国最大の定期刊
行物『AARP(全米退職者協会)・ザ・マ
ガジン』の独占インタビュー

ボブ・ディランがインタビューに答えるのは約3年ぶりのこと。合計1万5000字にわたるインタビューの中では、新作のレコーディングの裏話、フランク・シナトラからアーヴィング・バーリンにまで多岐にわたるアーティストたちへの思い、そしてアメリカのバラードの名曲をレコーディング・アーティストとしての人生におけるこの時期に解釈しようと決めたかなどが語った。ジャック・フロスト(ボブ・ディラン)がプロデュースを手がけた『シャドウズ・イン・ザ・ナイト』は、2012年に世界的ヒットを博した『テンペスト』以来、ボブ・ディランが放つ初めての新しい音楽となる。

インタビューのハイライトは以下の通り。

<フランク・シナトラの影響やアーヴィング・バーリンについて>
・フランク・シナトラの偉大さについて:
「…彼がいなくなったことなんてなかった。わたしたちがここに残るはずだと思っていたものは、実際には消え去ってしまったけどね。でも彼がそうなったことはない」

・フランク・シナトラがもしこのアルバムを聴いたら:
「まず、これらの曲を我々が5人編成のバンドでやったってことに驚くと思うよ。ある意味誇りに思ってくれるんじゃないかな」

・アーヴィング・バーリンについて(アメリカを代表する偉大な音楽家。代表作は「ホワイト・クリスマス」「ゴッド・ブレス・アメリカ」など。今作では「ホワットル・アイ・ドゥ」が彼の作品)
「何から何までやった男というのを僕はひとりだけ知っている。それがアーヴィン・バーリンだった。彼はメロディも歌詞も書いたんだ。あの男は全くの天才だったね。というか、彼はとにかく留まるところなく才能を与えられ続けていたんだ。…」

<音楽とレコーディングについて>
・音楽を生演奏で録音することについて:
「これらの曲は僕にとってたったひとつの方法でしか録音できないものなんだ。それはごく少ない数のマイクを使って、フロアで生演奏することだった。ヘッドホンもオーバーダブもヴォーカル・ブースも、個別のトラッキングもない。昔ながらのやり方だっていうのは分かっているけど、わたしにとっては、こういう曲をやるのにうまくいく唯一の方法なんだ。ヴォーカル的には、マイクから6インチ(約15cm)くらいしか離れていないところで歌ったような気がする」

<カルチャーとミュージック・ビジネスについて>
・若者たちが’40年代や’50年代の曲を“corny”(陳腐)だと思うかどうかについて:
「これらの曲は受け入れるにしろ拒むにしろ、少なくとも素晴らしい美徳を持った曲なんだ。これらの曲はそういうものだ。それらが古臭く陳腐に聞こえるのであれば、それについてはそれだけだね。でも今日、人々の生活は、あらゆる悪徳やその罠に満ちている。野心、貪欲さ、身勝手さはみな悪徳と関係があることを、遅かれ早かれ見抜かなければならない。さもないと生き延びることはないからね。…悪徳が破滅させる人々のことは見えない。わたしたちはその華やかな部分を毎日見ているに過ぎないんだ。ビルボードの広告から映画、新聞、雑誌まで、わたしたちが見るところすべてにね。わたしたちはあちこちに人生の破滅とその嘲りを見ている。これらの曲はああいうものとは程遠い。ロマンスは永遠に廃れることがない、急進的なものなんだ。今のメディア・カルチャーからは外れているかも知れないけど…」

・アメリカにおける大企業の影響力について:
「この国は大企業に乗っ取られてしまった。レコーディング・スタジオの中でもね。大陸の端から端まで見ても、みんな同じ服を着て、同じことを考えて、同じものを食べている。何もかもが加工されてしまっているんだ」

<本人の人生と時代について>
・1966年の隠遁生活の時期が、子供たちを守るためだったかどうかについて:
「全くその通りだよ。芸術を諦めてそうしたんだ…」「確かにそうしたよ。そうしなければならなくなったのは辛かったね。でもそれ以外選択肢がなかったんだ」

・テレビなしで育ったことについて:
「わたしはテレビなしで育った最後か、それにかなり近い世代だったんじゃないかな。だからわたしたちはラジオをよく聴いていた。…わたしたちにとってはこれがテレビみたいなものだった。耳にしたものすべてを、どんな姿か想像することができたからね。ラジオで耳にするシンガーも、どんな姿か見ることができなかったから、どんな姿か想像したんだ。…そういうことのおかげで、今のリスナーとしてのわたしがある。ドアがバタンと閉まる音とか、車の鍵がジャラジャラ鳴る音とか、小さなものに耳を澄ますようになったんだ。木々の間を吹きぬける風、鳥たちの歌、足音、ハンマーが釘を打つ音とかね。そういうランダムな音さ。牛のモーと鳴く声もね。そういうのをみんなギターで爪弾いて、歌にすることができたんだ」

ボブ・ディランは、これまでにグラミー賞11度受賞、ロックの殿堂入り、ソングライターの殿堂入り、英セント・アンドルーズ大学と米プリンストン大学からは名誉博士号を授与された他、数々の栄誉を受賞。ここ10数年はノーベル文学賞候補として毎年取りざたされている。近年のボブ・ディランは“新たな全盛期”ともいえる大活躍ぶりで詳しくは下記を参照していただきたい。ボブ・ディランの全世界トータル・アルバム・セールスは1億2500万枚以上。2014年日本では今年3月から4月にかけて来日公演が行なわれ、それに伴うキャンペーン”ディラン祭り”を実施。全オリジナル作品、ライヴ、ベスト盤を含む43作品をすべて紙ジャケットで復刻、30周年記念コンサートの映像作品とCD、11月19日には歴史的作品『ベースメント・テープス・コンプリート:シリーズ第11集』を発表、12月24日には究極の神ジャケ・プロジェクト第4弾として1990年から2000年代までのオリジナル作10タイトルが再発され、43作品が遂に完結した。2015年2月4日早くも新作『シャドウズ・イン・ザ・ナイト』が発売となる。

【近年のボブ・ディランについて】
<ボブ・ディランの近年のスタジオ録音5作について>:
ここ15年の間に5作はリリース。いずれも最高峰の評価を得る
●1997年:『タイム・アウト・オブ・マインド』はプラチナ・ディスクを獲得、アルバム・オブ・ザ・イヤー他、複数のグラミー賞を受賞。
●2001年:『ラヴ・アンド・セフト』も引き続きディランにとってプラチナ・アルバムとなり、グラミー賞に数部門ノミネートされ、最優秀コンテンポラリー・フォーク・アルバムを受賞した。
●2006年:『モダン・タイムズ』は全世界で250万枚以上を売り上げるとともに、ディランにとってさらに2つのグラミー賞をもたらした。
●2009年:『トゥゲザー・スルー・ライフ』も売上が100万枚を超え、初めて全米と全英の両方および他5ヶ国で初登場1位となった。
●2012年:『テンペスト』はリリースと同時に、14ヶ国でトップ5に到達。ここ数年の間に全世界を回った。コンサートでは、このアルバムからの楽曲を中心にセットリストに加えている。

<近年の受賞歴他動き>
●2000年スウェーデンのポーラー音楽賞を受賞
●2001年映画『ワンダー・ボーイズ』の挿入歌「シングス・ハヴ・チェンジド」でアカデミー賞とゴールデン・グローブ賞を受賞。
●2004年に発売され世界中でベスト・セラーとなった『ボブ・ディラン自伝(Chronicles: Volume One)』はニューヨーク・タイムズ紙のベスト・セラー・リストに19週間ランク・イン。
●2005年マーティン・スコセッシ監督によるドキュメンタリー『ノー・ディレクション・ホーム』放映。
●2008年ピューリッツァー賞特別賞受賞。 「卓越した詩の力による叙情的な作品により、ポピュラー・ミュージックとアメリカ文化に与えた多大な影響」を称えられる
●2009年初のホリデイ・スタンダード集『クリスマス・イン・ザ・ハート』をリリース。同作からの印税はすべて世界中の飢餓対策チャリティに寄付されている。
●2012年アメリカ合衆国文民に贈られる最高位の勲章「大統領自由勲章」受章授賞式ではバラク・オバマ大統領は自身がディランのファンであることを明かしている。
「ボブが23歳になる頃には、その強く独特で、とてもパワフルな声の力で、単にその音楽だけでなく、音楽の伝えるメッセージ性や、どのように人々の心を捉えるかといったことまでを革新的に変えたのです。今日、ブルース・スプリングスティーン
からU2に至るまで、誰もがボブに感謝しています。アメリカの音楽の歴史で彼以上に偉大な人物はいないでしょう。正直、本当に大ファンなんです。大学時代にボブの曲を聴いて、彼がこの国の極めて重要な何かを捉えていたので、私の世界が広がっていったのを覚えてます」(バラク・オバマ大統領)
●2013年フランスのレジオンドヌール勲章受章
Bob Dylan - Stay With Me
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