懐かしくて新しいSKE48とNMB48の大成
功 マーティ・フリードマン★鋼鉄推
薦盤

　今回はSKE48『未来とは?』とNMB48『らしくない』について言及しよう。実はこのふたつの曲には面白い相似性があるんだ。

　まずはNMB48から。彼女たちが11月頭にリリースした新曲が『らしくない』。実はこの曲のサウンド、メロディ、テンポってものすごく日本っぽいんだよ。

　何が日本っぽいかというと、８ビートのリズム、Ａメロのコード進行（D♭～A♯m～E♭m～A♭）という組み合わせ。これは90年代の日本のヒット曲に多用されていたフォーマットなんだ。ZIGGYの1989年のシングル『GLORIA』、浜田省吾さんの1992年のシングル『悲しみは雪のように』あたりが有名曲だね。

　つまり『らしくない』は90年代の日本のJ-POP（しかもロック寄り）の路線を現代によみがえらせた曲と言えそうだね。実際、日本の友人にこの曲を聞かせたら、「なんか懐かしい感じがする」って言っていたよ。


Marty Friedman
マーティ・フリードマン
ギタリスト、プロデューサー。全米で1000万枚以上のCDを売ったヘヴィメタルバンド「メガデス」に在籍。2004年から日本の音楽シーンでも活躍。ももいろクローバーZ『猛烈宇宙交響曲・第七楽章「無限の愛」』への全面参加。ニューアルバム『インフェルノ』（ユニバーサル）が発売中。

新番組『アイドルお宝くじ』にナレーション出演中
＜O.A.情報＞
テレビ朝日／毎週金曜日　26:50～
BS朝日／毎週土曜日　26:30～
CSテレ朝チャンネル１／11月7日スタート・毎週金曜日　24:00～

月刊エンタメにて誌面版「マーティ・フリードマンのヘドバン★鋼鉄推薦盤［メタルレコメンド］を連載中！

【公式HP】

＃22＿SKE48『未来とは？』


　そしてSKE48が今年の春に発表した『未来とは?』。この曲も耳に馴染みがあるような気がしない？

　そう、この曲のサビのコード進行（F～C～A7～C＃）も90年代のJ-POPの定番のコード進行なんです。代表的な曲は松田聖子さんが96年にリリースした『あなたに逢いたくて～Missing You～』ですね。

　こうして見ていくと、NMB48『らしくない』、SKE48『未来とは?』は90年代の日本のJ－POPの定番スタイルを現代によみがえらせたものなんじゃないか？ っていう気がしてくる。

　もちろん、僕はこれをパクリなんていうネガティブなイメージではとらえていないよ。20年前の良いスタイル、しかもみんなに熱狂的に受け入れられるスタイルを放っておくのはもったいないじゃん。

　しかも『らしくない』『未来とは?』を聴いて「懐かしい」とは思っても「ダサい」とは思わないよね。現代的にブラッシュアップされているから、むしろ超エキサイティングに聴こえてくる。聞いて数秒後に飽きちゃう、なんてことは絶対にないわけだからね。

　NMB48とSKE48の’90sレトロサウンド路線、大成功だって思う！


（構成・文／尾谷幸憲）