アイドルネッサンス 初の昼夜2回公演
は新たな試みが盛りだくさん

 11月24日は彼女たちにとって初となるvol.3「太陽と心臓」公演とvol.4「初恋」公演の昼夜2回公演を開催。昼と夜で内容をガラリと変更した意匠ある試みで臨んだ。ここでは「太陽と心臓」公演をレポートしたい。


[初恋レポ]
 昼公演で目立ったのは、アイドルネッサンスと同年代と思わしき少女ファンたち。彼女たちのイノセントさに共感したのだろうか?

 導入の映像が流れ、ステージに表れる7人。スタートは『あの娘ぼくがロングシュート決めたらどんな顔するだろう』。バスケの動きを振りに取り入れ、百岡古宵が審判役をやるなど、コミカルさが前面に出ている。原曲が持っているナルシシズムと情けなさが合わさった世界観は、彼女たちが歌うだけで青春群像劇と変わる。まさしく名曲ルネッサンスたる所以だ。サビ終わり、石野理子が響かせるフェイク部分は感動的。

 続くは『PTA~光のネットワーク~』。南端まいなのあどけない容姿からは想像できない、少し意志強めのボーカルがカッコイイ。一方で新井乃亜は高音を駆使した繊細な声を響かせ、この対比が楽曲の持つ、強さと儚さを際立たせる。

 MCでタイの思い出をノンビリした空気で話し笑いを誘うも、歌が始まると顔つきが一変。『ミラクルをキミとおこしたいんです』、『手を打ち鳴らせ!!』、『ガリレオのショーケース』とアガる曲を連発。『ミラクル~』で魅せる宮本茉凜の笑顔は満点。『手を打ち鳴らせ!!』での橋本佳奈と石野理子のコーラスワークの愛称の良さに見事! と感動。『ガリレオ~』、3曲ともアッパーで激しいダンスを繰り広げる中、比嘉奈菜子のダンスは一切ブレない。 毎回思うことだが、グループアイドルにありがちな誰かが埋もれてしまう、ということが一切ない。一人一人がステージで最高に輝く瞬間がどの場面でも訪れるのが彼女たちの凄味だ。 お馴染みとなった挑戦企画「放課後も頑張るネッサンス!!」は特別仕様。この日発売となった2ndシングル『太陽と心臓』のMVを「全世界初公開(by.新井)」することに。ソロショットシーンでは「キャーッ!」とメンバーは照れと嬉しさが混ざったかのような奇声を上げ、橋本によるトランペットソロのシーンになると会場からも「オォーッ!」と歓声が上がる。橋本も思わずガッツポーズ。

 上映終了後「スゴイ……」と出来栄えにウットリの7人。その後は撮影裏話。普段涙を見せない宮本がこの撮影ではダンスが上手く表現できず2度も泣いてしまったことを明かす。そんな宮本に全員から「でも、スッゴク可愛かったから!」との美しいフォローが待っていた。

 その流れで『太陽と心臓』を披露。久々のトランペット生演奏を披露した橋本。研鑚を重ねた成果か、初披露の時より相当なレベルアップを果たしていた。これにはフロアはもちろん、ステージのメンバーもニッコリ。

 毎公演の度に披露される新曲。この日はスーパーカー『Lucky』。男女の心のすれ違いを描いた歌。新井、百岡、宮本が女性パートを、石野、南端、比嘉が男性パート、その二つを橋本は神様(!?)として見守る。 ダンスや仕草も男性、女性を意識した振りやポーズになっており、それこそまるで映画(イメージ的にはリンクレイターやヴェンダース)のような、今までにないほどシアトリカルで新しい世界観を創り出した。

 この日最後は『17才』。披露するたびに進化する。その進化は、声を張って力強く歌う!というレベルアップではなく、多感ゆえの心の揺れ動きを表現しきっているように聞こえるからの印象だ。始まった頃の溌剌とした元気さから少しずつ憂いを帯びた声へと変化していくのは、表現者としての一歩を着実に踏んでいる証拠だろう。

 アンコールは、『どか~ん』。刹那さとポジティヴさを合わせもった歌を爆発的な勢いで歌い、昼公演の盛り上がりを最高潮な形で終えた。

「太陽と心臓」公演は楽しさや明るさに絞った楽曲たち中心としたため、彼女たちの持つ、陽の部分や勢いを感じさせる内容となった。vol.4「初恋」では対照的な内容でライブを行い、両公演合わせて彼女たちの持ち曲を全曲披露した1日となった。初の単独2回公演をやり遂げた彼女たちの今後に期待がかかる。
田口 俊輔:アイドル、映画、音楽などについて書きたい系フリーライター/編集。アイドル関係では『Top Yell』『日経エンタテインメント』『アイドル最前線』『アイドル楽曲ディスクガイド』など


アイドルネッサンス第2弾シングル
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「太陽と心臓」






「初恋」

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