道重さゆみが4329日全てを捧げて横浜
アリーナに導いた、モーニング娘。'
14の集大成

 アイドルとは、美しく儚いものだ。数日前までキラキラと輝いていたはずが、何も言わずに我々の前から突然姿を消してしまうこともある。

 単独の卒業式をアリーナで行えるアイドルが、今まで何人いたことだろうか。12年間〝可愛い〟を貫き、ノースキャンダルで駆け抜けた道重さゆみが、この日を以てモーニング娘。'14を卒業する。

 実力・ビジュアル共にレベルは高いものの、露出やセールスという面では長く伸び悩んでいた娘。を引っ張り、オリコン連続首位奪取まで導いた救世主であり・最強のリーダー……そんな彼女のアイドルとしての最後の瞬間を目に焼き付けようと、平日にも関わらず横浜アリーナには精鋭が会場いっぱいに駆けつけた。11.26、道重さゆみの4329日間の集大成である本公演のライブレポート前編。 17時半を回ると、後輩グループJuice=Juiceがオープニングアクトとして登場し、『背伸び』を歌唱。その後にはスマイレージが3期メンバーを迎えて、なんと9人体制初パフォーマンスを披露した。モーニング娘。'14登場前から観客を興奮させ、後輩が会場をあたためる。

 そのまま定刻通りに客電が落ちると、『TIKI BUN』のイントロが鳴り響き、リーダー・道重さゆみが先陣を切ってメインステージに現れた。後輩を従え、凛々しく歩く。のっけからレーザービームをこれでもかと連打し、メンバーは花道を通りセンターステージに移動。ダンスも通常のフォーメーションから変更して360度満員のファンにアピールするダイナミックなパフォーマンスを披露した。

 続く『わがまま 気のまま 愛のジョーク』も豪快に飛ばし、会場にも〝愛されたい!〟コールが響き渡る。元々ダンスに定評があるサブリーダー・譜久村聖も気合いが入りまくりでその長い髪を振り乱し、この曲で好ポジションをゲットした最年少・工藤遥もキリリとしている。最後は全員で千手観音にも見えるような神々しいフォーメーション。娘。が、アリーナに帰ってきたのだ。

『What is LOVE?』でも細かな音ハメに軽快なステップを決めこみ、近年の定番となっていた〝踊れるモー娘。〟をここぞとばかりにアピール。メンバーコールの後、『時空を超え 宇宙を超え』では天女のような衣装で登場。小田さくらのフェイクが横浜アリーナの大舞台に響き渡る。道重体制の集大成ということで、比較的新しい楽曲が続くのかと思いきや、序盤で往年の名曲『Do it! Now』を盛り込んできたのも意外なファンサービスであった。 MCでは12期メンバー4人の紹介の後、新リーダーに譜久村、そしてサブリーダーに引き続き飯窪春菜、そして生田衣梨奈が就任することは発表された。譜久村は「高橋さん、新垣さん、光井さん、道重さんの教えを誰よりも分かっているつもりです。道重さんのように背中で教えることはできませんが、みんなで頑張っていくことはできます」とリーダー継承への意気込みを堂々と宣言した。

 一方、サブリーダー・生田の抜擢はまさにサプライズ人事。本人も「誰もが嘘!? って思ったかもしれませんが、これが現実です! 私にエールを下さい!」とコメント。〝頑張って生田—!!〟コールに会場が包まれ、和やかなムードに。

 ここからは3曲連続披露。『明日を作るのは君』は歌割りが細分化されているにも関わらず、個々メンバーの力強く伸びやかな歌声が活きる壮大なナンバーだ。『Fantasyが始まる』は演者・道重さゆみの代表的ナンバー。視覚と感情に訴えかける表情の作り込みに感動させられる。

 彼女は、いわゆる歌メンではなかった。しかし、苦手な歌以外を技巧でカバーし、パフォーマンスを完成させてくる。『I WISH (updated)』も新たな表情で魅せてくれた。

 道重カメラのコーナーでは本公演のリハーサル風景に潜入。リーダーの門出を祝おうと、ピンクのTシャツにツインテールの〝うさちゃんヘアー〟で最後のリハーサルに挑んだメンバーが『ミニモニ。ジャンケンぴょん!』を歌って戯れ合う様子も映し出された。ツインテールといえばミニモニ。……こういう細かいところでもハロー!文化は継承されている。

 ここで道重のソロナンバー、『シャバダバ ドゥ~』のイントロが鳴り響くと、会場は一面ピンクのサイリウムの海と化す。約4年前、同じく横浜アリーナに立った際には立ち位置も隅の方で歌割りも無かった彼女が、たった1人でこの大舞台を占領して歌うなんて、誰が想像しただろうか。娘。人生を振り返るような歌詞には、観客の心もグッとつかみ取られてしまう。

 続いてメンバーが登場し、『笑顔の君は太陽さ』『彼と一緒にお店がしたい!』を歌唱。『彼と~』の曲中ではなんと道重が兼ねてからの〝お気に入り〟メンバーだった鞘師の唇にキスをするという場面も。突然訪れた初のスキャンダルには、目の当たりにしたファンからは悲鳴と歓声があがる。困惑し腰が引けている鞘師に対して、道重はダブルピースを決めながら、いたずらに笑った。


後半
achico 寝ても覚めてもアイドルポップ!なOL / フリーライター。東京生まれH!P POP育ち。日々、アイドルに踊らされています。

連載コラム

  • ランキングには出てこない、マジ聴き必至の5曲!
  • これだけはおさえたい邦楽名盤列伝!
  • これだけはおさえたい洋楽名盤列伝!
  • MUSIC SUPPORTERS
  • Key Person
  • Listener’s Voice 〜Power To The Music〜
  • Editor's Talk Session

ギャラリー

  • 〝美根〟 / 「映画の指輪のつくり方」
  • SUIREN / 『Sui彩の景色』
  • ももすももす / 『きゅうりか、猫か。』
  • Star T Rat RIKI / 「なんでもムキムキ化計画」
  • SUPER★DRAGON / 「Cooking★RAKU」
  • ゆいにしお / 「ゆいにしおのmid-20s的生活」

新着