今注目の「ざわめかせる」6組が競演
、reGretGirl、moon dropら出演『ざ
わめきプレイリスト #6』振り返りレ
ポート

『ざわめきプレイリスト #6-MINAMI WHEEL EDITION-』2023.12.2(SAT)大阪・心斎橋BIGCAT
12月2日(土)、大阪・心斎橋BIGCATにて『ざわめきプレイリスト #6 -MINAMI WHEEL EDITION-』が行われた。本イベントは「ざわめくアーティストを1つのプレイリストに」をコンセプトに、今注目の気鋭アーティストが出演するライブイベント。2021年は11月に行われた初回の『#0』以来2回、2022年は4回行われ、今回で7回目の開催となる。出演者はUNFAIR RULE、汐れいら、moon dropreGretGirlRe:nameyutori(50音順)の6組。MCはFM802 DJの田中乃絵とハタノユウスケが担当した。SPICEでは昨年12月に行われた『#4』ぶりにライブレポートで振り返る。

これまで大阪市内の様々なライブハウスで行われてきた『ざわめきプレイリスト』だが、『#6』は過去最大キャパの心斎橋BIGCATへ進出。今回も会場内BGMでは過去の「ざわめきプレイリスト」に登場したアーティストの楽曲が流れていた。今回も毎年秋に大阪・アメリカ村の一体で行われるミュージックサーキットイベント『MINAMI WHEEL(以下、ミナホ)』の『-MINAMI WHEEL EDITION-』として開催され、『ミナホ』のパスを提示すると500円のキャッシュバックするキャンペーンも行われていた。
定刻になると、MCの田中乃絵とハタノユウスケがステージに登場し、イベントの概要を説明する。今回のアーティストは『ミナホ』に出演したバンドばかり。『ミナホ』から2ヶ月経ち、再び大阪の地に戻ってきてくれたことになる。ハタノは「今日もざわめかしていきましょうよ! どのアーティストも圧巻のライブです!」とフロアに呼びかけ、田中がトップバッターのUNFAIR RULEへとバトンを渡した。
UNFAIR RULE
UNFAIR RULE
トップバッターを飾るのは、山本珠羽(Gt.Vo)、片山葉(Ba.)、杉田崇(Dr.) からなる岡山発の3ピースバンド・UNFAIR RULE。森の木児童合唱団&高瀬“making”麻里子の「にじ」をSEにステージに登場すると、杉田のもとへ3人集まって少し長めに気合いを入れる。そしてまずは挨拶がわりに「バーカ!」をパワフルにかっ飛ばす。3人とも頭を振りながらプレイする姿からは熱さと若さを感じるが、佇まいは堂々としており、ステージを楽しむ余裕もうかがえる。
UNFAIR RULE
「非行少女」、「かわいこちゃん」と一気にロックチューンを叩き込み、山本は「今日は呼んでもらってありがとうございます。今年7月のリリースの時に802のハタノさんの番組に出させてもらったりしたことが今回に繋がったと思う」と感謝を述べ、メロディアスな「大阪」を伸びやかに響かせる。前半がバラード、後半でロックサウンドに変貌する「if」ではバンドの表現力の幅広さを見せるとともに、曲中で叫ぶように歌う山本の存在感をより際立たせる。
UNFAIR RULE
UNFAIR RULE
その後も「気づいてほしい」から感情を露わにした弾き語りを経て、疾走感溢れる「わからないままで」、ライブ開始時よりも明らかに多くの人の手が挙がった「ラストソング」で内に秘めたる熱を放出して、ラストの「馬鹿みたい」へと繋ぎ、ライブを締め括った。ロックサウンドにアイデンティティを感じるような堂々たるステージで一気に駆け抜け、会場を魅了したUNFAIR RULEだった。
UNFAIR RULE
Re:name
Re:name
ハタノから「今年FM802でも1年間ずっとお世話になった、並走していたアーティスト」と紹介された、大阪北摂発のRe:name。SEが流れ、サポートベースを含むメンバーが青い光の中でスタンバイ。ゆったり高木一成(Vo)が現れ、「オーライ、『ざわめきプレイリスト』始めます!」の言葉を合図にSoma(Gt)のギターリフが印象的に鳴り響き、「What Do You Wanna Know?」からライブスタート。洋楽に裏打ちされた心地良いリズムに流暢な英語詞、伸びやかなボーカル。両手を広げたりモニターに足をかけて歌う高木の一挙一動には惹きつけられる魅力があり、ひとつまた色気も増したような気がする。
Re:name
「初めましてでも乗れる曲たくさん持ってきました!」と言って、日本語詞の「Swingboat」から続け様に<オッオッオオッオッ>とシンガロングした「Let Me」でグルーヴを加速。ヤマケン(Dr)スマイルも炸裂し、フロアをどんどん牽引していく。年末のロック大忘年会『RADIO CRAZY 2023』に出演した彼ら。高木は「僕ら2023年、ここ(『RADIO CRAZY』)に向かって走ってきました。その夢がって、来年2月には新しいアルバム『Give Me All Of Your Life』が出ます。本当に止まりたくなくて、今年ずっと走ってきました。年末に答え合わせがあって、皆と現場で顔を見て確かめることができて、今日もこのステージに立てて誇りに思います」と今年を総括しつつも、来年を見据えたビジョンを力強く口にした。
Re:name
Re:name
疾走感たっぷりの「AM」に続き、どこまでも伸びやかな「SEE THRU」、最後はFM802 2023年3月度邦楽ヘビーローテーションになった「prettyfine :)」でポップに盛り上げ、「2024年もついてきてください! 僕たちが大阪Re:nameでした!」と爽やかにライブを終えた。
Re:name
yutori
yutori
サウンドチェックから既にクラップ&ハンズアップで盛り上がっていたyutoriは、年内最後の大阪ライブ。SEが流れ、佐藤古都子(Vo.Gt)、内田郁也(Gt)、豊田太一(Ba)、浦山蓮(Dr)が順に登場し、浦山の元へ集まり気合いを入れる。待ってましたとばかりにフロアからは拍手が起こる。1曲目は「会いたくなって、飛んだバイト」。佐藤のクリアで切ないボーカルが会場を満たす。突き抜ける歌声と安定感のあるバンドサウンドはさすがの一言。浦山のビートに合わせ、豊田が「BIGCATの皆さん、ざわめいてますかー!?」と呼びかけると、フロアはクラップと歓声で応える。続く「煩イ」ではすっかり拳が上がり、より熱量高く会場を巻き込んだ。
yutori
佐藤が「今日は年内ラストの大阪ということで悔いのないように楽しんでいきましょう」と挨拶し、「満たされない」、「センチメンタル」と疾走感たっぷりの楽曲を連投。yutoriはそれぞれの楽器の音が立っていると感じる。全員でのキメやソロプレイなど、演奏力に裏打ちされたプレイは見ていて気持ち良い。そこから雰囲気が一転、「君がいなくなってから、1人がすごく嫌いになった」と佐藤が声を震わせて語り、導入部を作り上げた「安眠剤」、佐藤が作詞作曲を手掛けた「ワンルーム」、ソリッドでダークな「ヒメイドディストーション」でヒリヒリした影の部分を表現した。
yutori
yutori
『ざわめき』に出るのは2022年3月に行われた『#2』以来、2回目のyutori。浦山は「その時は初大阪で初イベント。また誘ってもらえて、BIGCATという大きいハコで戻ってこれて嬉しいです」と感謝を述べる。ラストパートは「君と癖」、「煙より」と、佐藤の歌声が鋭くも切なく突き抜けるロックチューンで、繊細かつ迫力たっぷりに演奏した。佐藤はニコリと笑って「良いお年を」と残し、年内ラストの大阪ライブを終えた。
yutori
汐れいら
汐れいら
「彼女の儚くも柔らかい声が好き」と話すハタノに呼び込まれた、2002年東京出身、「“この世界のどこかにいるかもしれない誰か”のことを曲にする」シンガーソングライター・汐れいらは『ざわめき』初登場。砂塚恵(Key)、曽根巧(Gt)、中村昌史(Ba)、Yoco(Dr)をサポートに迎えたバンドセットで、魅力的なライブを届けてくれた。
汐れいら
笑顔でマイクスタンドの前に立った汐は、パンツのポッケに親指を引っ掛けて「ビーボーイ」を楽しそうに歌いだす。豊かなバンドサウンドとグッドメロディ、みずみずしい歌声が真っ直ぐに飛び込んでくる。そしてハタノ推し曲の「味噌汁とバター」を元気に響かせ、クラップで会場をひとつに満たす。
汐れいら
MCでは「『ざわめきプレイリスト』ということで、皆のハートをざわざわさせに来ました! うふふ(笑)」と明るいキャラを覗かせて、「初めての人でも聞いたことあるなって曲をやりたいと思います」と、ABEMAの恋愛番組『彼とオオカミちゃんには騙されない』のBGMに起用された「センチメンタル・キス」をしっとり聴かせる。さらにバラード曲「Darling you」を切なげに披露。カジュアルなファッションに少女のようなあどけなさを纏いつつ、楽曲で見せる表情は大人っぽかったりロックだったりと実に多彩だ。
汐れいら
「今までのライブハウスの中で1番大きいステージに大阪で立てて嬉しいです」と笑顔で感謝を述べ、ギターを持って「笑ってベイビー」を明るく歌い、最後は「タイトロープ」で「手上がりますか!」とフロアを巻き込み、クライマックスに向けて良曲を気持ち良く響かせた。見るたびに違った顔が見れそうな彼女に俄然興味が湧いた。
汐れいら
moon drop
moon drop
今年1月にメジャーデビューした三重県伊勢市発、「ラブソングを歌い続けるバンド」ことmoon dropは、『ミナホ』でこのBIGCATに立った。田中は「皆さんの心の中にいる大切な誰かを思い浮かべながら楽しんでいただきたいと思います」とバトンを繋ぐ。サウンドチェックから既にハンズアップとクラップでフロアをひとつにしていた彼らだが、浜口飛雄也(Vo.&Gt.)は「俺らさ、今日が今年最後の大阪なんで、めちゃくちゃやって帰ろうと思います! よろしくね! 全てのボーイズアンドガールズへ!」と「ボーイズアンドガールズ」を元気いっぱいに演奏。清水琢聖(Gt)は前に出てギターを鳴らし、坂知哉(Ba.Cho)も絶好調でくるんと回ってステップを踏み、原一樹(Dr)は嬉しそうにフロアを見つめる。
moon drop
浜口は「後ろで見てる人も良かったらこっちおいでよ!」と声を掛け、ウェルカムな空気を作り上げていった。キャッチーな「センチメンタルガール」に続き、軽快なギターリフで思わず踊りだしたくなる「ラストラブレター」を演奏し終えると浜口は「大阪最高です、ありがとう!」と笑顔。「今年大阪でライブしてきたから、大阪がどんだけやれるか知ってるので、コールアンドレスポンス、やってもいいですか!」と<ラーラーララララ>で練習を兼ねてシンガロング。そんな「アダムとイブ」のサビは、もちろん全員の歌声が会場に響く。
moon drop
moon drop
さらに「お手を拝借! 頭の上でいける?」とクラップを求め、10月にリリースされた新曲「どうにもならんわ」を爽やかに響かせる。「ここからギア上げるよ!」と「誰でもいいのだ」を披露し、「俺らのこと見つけてくれてどうもありがとう! ただ1個確かなことは、俺らバンドが好きで、音楽が好きで、ライブが好きで、ライブハウスが好きで、BIGCATに集まった似た者同士。だからこそやるべきことは1つ! 皆で最高の1日作ろう!」とラストチューン「ex.ガールフレンド」を力強く、自身の想いをぶつけながら全力でプレイした。キャッチーでアッパーな楽曲の連投で、熱いロック魂も見せつつ、フランク&カラフルなステージで彩ったmoon dropだった。
moon drop
reGretGirl
reGretGirl
トリは2015年結成、大阪出身のreGretGirl。平部雅洋 (Vo.Gt)と同郷のハタノ曰く、reGretGirlは「和泉府中のスター」。「今日も素晴らしいステージを見せていただきたいと思います」と紹介されると、平部はピースサインを掲げてニカッと笑う。「最後まで残ってくれてありがとうな! 最後の最後までざわめいて大騒ぎして帰りましょう!」と高らかに「KAWAII」を投下。クラップ&拳アップで会場をしっかり高める。前田将司 (Dr)の繰り出す変則的なリズムは楽曲の魅力を引き立てて興味深い。続く「after」では、平部と十九川宗裕 (Ba)が前に出てパワフルに駆け抜ける。そして11月にリリースされたメジャー2nd EP『告白e.p.』から新曲「バブルス」を披露。早口ボーカルと骨太ロックでバチッとキメる。さすがの安定感だ。
reGretGirl
MCで平部は「やっぱ大阪はホッとしますね。なんだか大げさに和泉府中のスターだと言ってもらったんですけど、嬉しいね。大阪のバンドですから、この順番で出させてもらった意味をすごい感じてる。本気で歌って帰ります」と主催者の想いを汲み取り、意気込みを述べる。新作EPに収録の「月の色」について「この曲ができてから、和泉府中駅のいつも見えてる当たり前の景色も違って見える」と感極まりつつ言葉を紡ぐ。「今のこの気持ちが僕にもよくわかってないけど、見慣れたはずの和泉府中駅からの月の色は、少し、少し寂しく感じました」と想いを込めて歌い上げた。
reGretGirl
「さっきmoon dropが言ってたけど、いつまでも大事やと思ってるものを大事にできるのってカッコ良いし、そういうのって思いやりに繋がる。皆ライブハウス好きって手上げてたやん。その繋がりだけあればひとつになれると思う。ここからもう1個ギアあげていきます!」と昔の恋人への想いを歌った「ルックバック」を経て、「1番ざわめける曲やります!」と投下された「ホワイトアウト」では、のっけからシンガロングが発生。サビではその声がより大きくなり、文字通り会場全体が一体に。
reGretGirl
その様子に感化されたのか、平部もビブラートを長く高く響かせ「最高です、ありがとう!」と感謝を叫ぶ。「調子良くバンドやってるように見えるかもしれへんけど、心にいっぱい傷を抱えてる。募る想いは心に傷をつけるばかり。毎日を乗り越えられるように、自分のためにしっかり歌うわ。お前ら生きてるだけで偉いぞ。信じた音楽間違ってへんぞって、誰よりも大きな声で、優しい声で歌って帰ります」と目一杯の想いを伝え、最後に「tear」を大切そうに披露した。「reGretGirlが横で手繋いどったる! 負けんなよ!」と全力でエールを送る姿は本当に頼もしく、背中を押された人も多いのではないだろうか。
reGretGirl
アンコールでは、『RADIO CRAZY 2023』の出演と、2024年のワンマンツアーについてアナウンス。大阪公演は3月3日(日)のZepp Osaka Baysideで行われる。『RADIO CRAZY 2023』について平部は「12月29日に出るんですけど、僕の人生で初めて行ったフェスが2011年12月29日なんですよね。しかも一応誕生日。やばない?自分の中でも特別やけど、今年最後のライブが大阪なのも嬉しいです。マジでありがとうございました!」と「Shunrai」をメロディアスに響かせ、エモーショナルな空気を残してステージを終えた。
reGretGirl
そしてMCの2人がステージへ。田中は興奮したように「良いライブでしたねー! これぞライブハウスというライブを見せてくれたと思います」と目を輝かせる。ハタノは「今日ここで心に残った曲を、家に帰ってプレイリストで聴いてほしい」と述べ、「ラジオで、ライブハウスでまたお会いしましょう」とイベントを締め括った。
次回の『ざわめきプレイリスト #7』はなんと! 2月6日(火)〜2月11日(日)までの1週間(!)、心斎橋Music Club JANUSにて「ざわめきプレイリストスペシャルウィーク」を開催することが発表された。もちろんフロアはざわめきにざわめいた。次は一体どんな「ざわめかせてくれるアーティスト」に出会えるのか、楽しみにしていよう。
取材・文=久保田瑛理 撮影=ハヤシマコ

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