MAN WITH A MISSION 9カ月にわたる
ワールドツアーの最終地点、さいたま
公演をレポート

MAN WITH A MISSION World Tour 2023 ~WOLVES ON PARADE~

2023.12.17(SUN)さいたまスーパーアリーナ
およそ9カ月にわたるワールドツアーの最終地点に待っていたのは、アリーナを埋め尽くす歓声と拳と興奮だった。2023年12月17日、さいたまスーパーアリーナ。巨大ビジョンに浮かぶ、コロナ禍からの解放をイメージする映像、地球を巡った66本のツアーの記録、上空から舞い降りる飛行機をかたどったオブジェ、爆音とスモークに包まれてセリ上がりで登場するメンバー。威風堂々、世界を駆けるオオカミたちのパレード、いざ開幕。
制御が壊れたんじゃないかと思うほど、とんでもない量のレーザービームが空間を切り裂く。DJ Santa Monica(Djs,Sampling)とSpear Rib(Dr)の強力なビートにKamikaze Boy(Ba,Cho)が乗る。Jean-Ken Johnny(Gt,Vo,Raps)が叫び、Tokyo Tanaka(Vo)が拳を振り上げる。E.D.Vedder(Gt)の陰の貢献も忘れちゃいけない。オープニング「database」から「Seven Deadly Sins」へ、ジョニーに「ミンナデ歌オウゼ!」と煽られる前からみんな歌ってる。上下6面の巨大スクリーンに映る壮大な地球の大自然。何もかも破格のスケールのショータイム。
「ヤレンノカ」、「カカッテキテクダサイ」。激しいのに妙に丁寧、ジョニーらしい煽りのあとにDragon Ashのカバー「Fantasista」をぶちかます。原曲へのリスペクトと、日本産ロックのプライドを込めた気迫あふれる演奏だ。ヘヴィメタルのリフとダンスミュージックのマリアージュ「Merry-Go-Round」から、リブの叩き出す高速ビートに乗ったスラッシュメタル「Take What U Want」へ。ジョニーとヴェダーのツインリードがかっこいい。息の合った全員ジャンプのタイミングもばっちり決まった。みんな楽しみ方をわかってる。
「オオタニショウヘイサンニ、ササゲマス」。旬の話題で盛り上げるジョニーのMCに導かれ、アスリートの熱いハートに寄り添う希望のロックバラード「blue soul」の、壮大なブルーのライトが何もかもを美しい青に染める。そして曲調はまるで違うが、「Emotions」もまた挑戦者の情熱と希望を讃えるアンセムだ。《Hope is all in ourselves》。ステージ上で炎が燃え盛り、ビジョンの中までも激しい赤に染める。派手な演出も照明も映像も、すべては楽曲の持つメッセージのために。MAN WITH A MISSIONの姿勢は揺るがない。
盛大なクラップを味方につけたメタリックなダンスチューン「Thunderstruck」が、巨大アリーナをダンスフロアに変えると、ここまでちょうど1時間。ブレイクタイムでメンバーがステージを下りる中、残ったリブとサンタ・モニカがドラムソロとスクラッチでもうひと盛り上げ。おまけに華麗なムーンウォークも披露してくれた。顔は怖いが中身は温かい、エンタメ心に溢れた心優しきオオカミたち。
なぜか長州力の特別出演という豪華なおまけ付き。スペア・リブ主演のゆるい動画ですっかり和んだあと、ステージに戻って来たジョニーが、ヴェダーとのアコースティックギター2本で「evergreen」を歌う。「ロックバンドノコンサートハ、セカイデイチバンジユウナバショ」と、バラードであっても自由に歌って叫んでくれと呼びかけるジョニーが優しい。二人が去ると、コロナ禍からの解放をイメージする映像が再び映し出され、気持ちがぐっと高まる。さぁ後半戦スタートだ。
美しい太陽が水平線に昇る「yoake」は、ここから始まる新たな時代を讃える歌。そのまま「Hey Now」へなだれこみ、サビの大合唱で会場全体が一体化する。カミカゼ・ボーイがステージを走る。観客全員のコール&レスポンス、そしてジョニーの掛け声と共に全員参加の大ジャンプ。「翔んで埼玉!」と、この場所でしか使えないジョニーの煽りが楽しい。七色のライトとレーザービームが降り注ぐ「DANCE EVERYBODY」の、タナカと観客全員のタオル回しが壮観だ。疾風怒涛の盛り上がり、残すは3曲。
「ジカンハ、ウシロニハモドレナイ。ダカラコソジンセイハ、ハカナクテ、ウツクシイモノ」。今日のジョニーは饒舌だ。「キョウ、イマガイイッテハナシデショ」。タナカが珍しく発した言葉に、大歓声が湧き起こる。振り向くな、前へ進め。バンドのメッセージは明確だ。揃った手振りの一体感が美しい「Remember Me」、余ったレーザービームをすべて使いつくすような勢いの「INTO THE DEEP」、そして炎とレーザーにまみれてキャノン砲をぶっ放す「FLY AGAIN-Hero’ s Anthem-」。強烈な光と音の大爆発にやられ、耳の奥がじんじんする。
アンコール。怒涛の“焼肉コール”に呼び戻され、リブ、サンタ・モニカ、ヴェダーが奏でるインスト曲「Between fiction and friction I」。そこにジョニーとカミカゼが加わり、そしてあの赤いドレスは……miletに気づいたファンの歓声が、波のようにアリーナ全体に伝わる。曲はもちろん「コイコガレ」だ。ビジョンの中を舞う赤い蝶と赤い花、ステージを舞う赤いドレスが目にも鮮やか。「やっと歌えました」と笑顔満面のmiletと共にもう1曲、「絆の奇跡」まで歌ってくれれば、もう言うことはない。掛け声、ジャンプ、拳振り上げ、大合唱。サンタ・モニカもステージ前まで飛び出して煽ってる。感動と興奮のピークをラスト1曲で振り切った、大満足の全18曲、130分間。記念写真に収まるメンバーの顔も、見た目は変わらないがたぶん笑顔だったはずだ。「ヒトアシハヤイデスガ、ヨイオトシヲ!」。総動員15万人の観客に忘れがたい印象を残したワールドツアー、これにて閉幕。
終演後に発表された情報によると、このツアーの模様は2024年3月6日に映像作品『Wolf Complete Works IX~WOLVES ON PARADE~World Tour 2023』としてリリース。そして3月5日から、全国10ヵ所20公演のファンクラブツアー『FUN WITH A MISSION TOUR 2024』開催決定。卯年から辰年に変わっても狼年は変わらず続く。ジカンハモドレナイ。ジンセイハウツクシイ。パレードを止めるな。
取材・文=宮本英夫 撮影=酒井ダイスケ

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