Leina「うたたね」歌詞の意味を考察
！好きな人のギターになりたい「私」
の夢と現実

1st EP「tulip」にも収録された話題曲を解釈

アコースティックなギターサウンドに合う情感豊かな歌声で人々を魅了するシンガーソングライター・Leina。

インスタやTikTokでの動画投稿、精力的なライブ活動などを通して続々とファンを増やしている今注目の若手アーティストです。

そんなLeinaが、2023年10月18日、ヒット曲『どうでもいい話がしたい』を含む自身初のデジタルEP『tulip』をリリースしました。

今回考察するのは、その『tulip』にも収録されている人気曲『うたたね』。

ロック調でありながらどこかほろ苦い独創的なラブソングです。

▲Leina - 『うたたね』【LyricVideo】

『うたたね』は、好きな相手への想いを「（その人が愛用している）ギターになりたい」と比喩的に表現した1曲。

MVのコメント欄では、その色気ある歌詞や心地よい歌声に共感と絶賛の声があふれています。

そんな話題曲『うたたね』の歌詞には、果たしてどのような意味が込められているのでしょうか。

「来世は貴方のギターになりたい」

まずは1番の歌詞です。

1番では、好きな人がギターを弾く姿を「私」が遠くから見ている場面がイメージできます。

うたたね 歌詞 「Leina」
https://utaten.com/lyric/hw23103001

「焦る」や「右手狂う」からは、ギターを披露している愛しの「貴方」が思いどおりに演奏できず動揺している雰囲気が伝わってきますね。

そんな「貴方」の動揺に加え、焦ってテンポが速まっていることも感じ取っている主人公。

心の中で「大丈夫…大丈夫…」と、演奏が落ち着くよう祈っている様子です。

そしてその最中、ふとよぎったのが「私も右手で焦らされたい」という願望。

大好きな人がギターを懸命に弾く姿に、主人公は不安感とは別のドキドキも感じているようです。

次の歌詞も見てみましょう。

うたたね 歌詞 「Leina」
https://utaten.com/lyric/hw23103001

「アップ」と「ダウン」はギターをピックで上から弾くことと下から弾くこと、そして「ミュート」は音を止めたり弱めたりするギターテクニックのことです。

続く「筋の通る白い指で音を鳴らす 激しく絡む」とも合わせて、主人公が色気ある右手に釘づけであることがわかりますね。

ドキドキが止まらない彼女の心は、その右手にすっかり「遊ばれている」よう。

狂い出すテンポにさえ気づけたはずが、ギターの音は左から右へ抜け落ちていきます。

そしてその瞬間、不意に相手と目が合ってしまった「私」。

「あっあっあっあっ」と、今度は自分が動揺する側になってしまいました。

一気に高まる気持ちが次のサビで爆発します。

うたたね 歌詞 「Leina」
https://utaten.com/lyric/hw23103001

「来世は貴方のギターになりたい」。

遠くからではなく一番近くで、ひそかにではなく激しく揺れたい。

「貴方」と1つになって音を奏でるギターに自分自身を重ねる妄想が膨らんでいる様子です。

続く歌詞は「今世は貴方の彼女になりたい 夢の中だけでいいからさ」。

主人公の現実は、大好きな「貴方」のギターでも彼女でもないようです。

そして「おはよう世界」と目覚めてしまった主人公。

大好きな相手の魅力的な演奏と「ギターになりたい」という特殊なイメージは、「うたたね」がもたらした儚い夢だったのかもしれません。

「貴方」とゼロ距離の夢の世界へ

ここからは2番の歌詞を考察します。

2番では、夢から覚めた主人公のリアルな日常がつづられているようです。

うたたね 歌詞 「Leina」
https://utaten.com/lyric/hw23103001

先ほどの夢が褪（あ）せていく一方、主人公はその刺激的な余韻に調子が狂っている様子。

少しずつ冷静になり「私達何も始まってない」と自嘲するように笑います。

次の歌詞はこちらです。

うたたね 歌詞 「Leina」
https://utaten.com/lyric/hw23103001

ここでの「アップダウン」や「ミュート」は、ギターテクではなく主人公の声についての描写だと解釈できます。

好きな人を目の前にして声のトーンが乱高下したり、話すつもりのないことを口走って慌てて止めたりといったイメージです。

続く歌詞「筋の通らない話 口走る 手を当てている」からも、そんなピュアな彼女の慌て様がありありと想像できますね。

夢の中だけでなく日常生活でもすっかり「遊ばれている」主人公。

次の歌詞では、そんな彼女に追い打ちをかけるような出来事が起こります。

うたたね 歌詞 「Leina」
https://utaten.com/lyric/hw23103001

突然登場した「あの子」なる人物。

ここでは、今「貴方」が仲良くしたり付き合ったりしている恋のライバルのことだと仮定してみましょう。

よほど「あの子」が魅力的なのか、彼女から自分へ目移りすることはないだろうと主人公は気落ちしている様子です。

つい「貴方」と「目を合わせちゃった」のは、わずかでも「あの子」からこちらへ目を向けてほしくて長く見つめてしまったからかもしれません。

続く最後のサビはこちら。

うたたね 歌詞 「Leina」
https://utaten.com/lyric/hw23103001

来世では、彼女よりも「あの子」よりも「貴方」に近いギターになりたい。

そして「今世は貴方の彼女になりたい 一度だけでもいいからさ」。

「あの子」の存在を踏まえると主人公の願いがいっそう切実に響きます。

想いがあふれた後で我に返って気づいたのは、「貴方」と「私」との間には何も始まっていないという現実の虚しさでしょうか。

最後のひと言「おやすみ世界」からは、そんな現実からエスケープしようとする雰囲気が感じられますね。

再び「うたたね」を決め込んだ「私」。

きっとこの睡眠でも「貴方のギター」や「貴方の彼女」になる幸せな夢を見るのでしょう。

恋に悩んだら「うたたね」しよう
今回は、Leina『うたたね』の歌詞の意味を考察しました。

1番と2番が対応する巧みなワーディング、夢と現実とのコントラストが光る独創的な歌詞でしたね。

また「貴方」と1つになるために「うたたね」をする主人公には、誰もが応援したくなる共感ポイントがあったのではないでしょうか。

「来世は貴方のギターになりたい」という独特な欲求がストレートに心に響くのは、主人公の抱く感情が人類普遍のものだからなのでしょうね。

好きな人の魅力にシビれてぼーっとするような恋は、きっと多くの人が経験するもの。

そんな恋の悩みにぶつかったら、ひとまず主人公のように「うたたね」してみるのもよいかもしれません。