REPORT / Kan Sano『ただI MA』「お
かえり、Kan Sano」──およそ1年ぶ
りの弾き語りライブで届けられた、“
旅の途中”の近況報告 「おかえり、
Kan Sano」──およそ1年ぶりの弾き
語りライブで届けられた、“旅の途中
”の近況報告
Photo by Sachiko Yamada (origami PRODUCTIONS)
昨年11月にライブ活動の休止を発表したKan Sanoが10月5日(木)、東京・有楽町「music&theater I’M A SHOW TOKYO、YURAKUCHO」にてワンマン・ライブ『Kan Sano Solo Piano Live 2023 “ただI MA”』を開催した。
この1年間、インスタライブやストーリーで不定期に弾き語りのパフォーマンスを上げてはいたものの、Kan Sanoが人前で演奏を披露するのはおよそ1年ぶり。フランク永井による歌謡スタンダード「有楽町で逢いましょう」から拝借したという、洒落た名を持つできたばかりの公演会場(I’M A SHOW=逢いましょう)には、この日を待ち侘びたファンが雨の中大勢駆けつけ満員御礼となっていた。
ステージをぐるっと一周したあと、ギターの置かれた場所に自転車を停めるKan Sano。よく見るとそこは、彼が大好きな“赤”で揃えられたお気に入りの私物が並んでいる。
さて、この日の幕開けはお馴染み「My Girl」だった。作詞作曲はもちろん、演奏やミックス、そしてボーカルまで全てを一人で行い作り上げた通算4作目の意欲作『Ghost Notes』に収録されたこの曲も、続いて披露された、ともさかりえとのコラボ曲「Play Date」も、オリジナル音源は4つ打ちのキックが鳴り響くエレクトロ・アレンジだが、この日はもちろんそれをピアノ1台で表現。鋼のようなベース・フレーズを左手でパワフルに打ち鳴らし、ジャジーでソウルフル、それでいてどこかメランコリックなフレーズを右手で軽やかに弾きこなすKan Sano。歌に合わせ、テンポもダイナミクスも緩急自在に変化させるそのパフォーマンスは、たった一人の演奏とは思えぬほどカラフルだ。そして何より、言葉の一つひとつを慈しむように歌う彼のボーカルが胸を打つ。
「今日はね、積もる話があるんですよ」そう言ってKan Sanoは、ライブ活動休止を発表してからの日々についても丁寧に語ってくれた。吉祥寺でのライブを最後に休養に入り、まずは尾道を一人で旅行したこと。そこから映画『崖の上のポニョ』の舞台となった鞆の浦まで足を伸ばしたこと。自身の地元・金沢の日本海とは違う、穏やかな瀬戸内海に心癒されたこと。帰宅後はコラージュにハマり、素材となる古い雑誌をブックオフで買ったり、知り合いの美容師から譲り受けたりしながらしばらく制作に没頭していたこと(それは、自身の作品のアートワークにも活かされることになる)。年明けから少しずつデモ制作を行なっていたこと。そして春にもう一度、今度は車で尾道へ行ったこと。
「さて、そろそろ『職場』に戻りますかね」と言って再びグランドピアノの前に座り、フィッシュマンズの「いかれたベイビー」や、13人のルーティナー(「繰り返し行動」を持つ知的障害のある人のこと)と共に作り、金沢21世紀美術館で披露した力作「Pマママ」を演奏して本編は終了。アンコールでは「瀬戸際のマーマレード」と、バカリズムが原案・脚本を務めるドラマ『住住』の主題歌にも起用された「Natsume」を披露しこの日のライブに幕を閉じた。
My Girl
Play Date
Flavor
旅の途中
とびら
Trapped
highway, highway
Tokyo State of mind
I MA
きらきら星
(朝子のうた)
Stars In Your Eyes
Sit At The Piano
I’m still in love
この道
いかれたBaby
Pマママ
-Encore-
瀬戸際のマーマレード
Natsume
※「I MA 刺繍 バスクTシャツ」オンラインにて販売中!
『Kan Sano Solo Piano Live 2023 “ただI MA”』
会場:東京・有楽町 I’M A SHOW
出演:
Kan Sano
■ Kan Sano オフィシャル・サイト(https://kansano.com/)
Text by Takanori Kuroda(https://twitter.com/otoan69)
Photo by Sachiko Yamada (origami PRODUCTIONS)
昨年11月にライブ活動の休止を発表したKan Sanoが10月5日(木)、東京・有楽町「music&theater I’M A SHOW TOKYO、YURAKUCHO」にてワンマン・ライブ『Kan Sano Solo Piano Live 2023 “ただI MA”』を開催した。
この1年間、インスタライブやストーリーで不定期に弾き語りのパフォーマンスを上げてはいたものの、Kan Sanoが人前で演奏を披露するのはおよそ1年ぶり。フランク永井による歌謡スタンダード「有楽町で逢いましょう」から拝借したという、洒落た名を持つできたばかりの公演会場(I’M A SHOW=逢いましょう)には、この日を待ち侘びたファンが雨の中大勢駆けつけ満員御礼となっていた。
ステージをぐるっと一周したあと、ギターの置かれた場所に自転車を停めるKan Sano。よく見るとそこは、彼が大好きな“赤”で揃えられたお気に入りの私物が並んでいる。
さて、この日の幕開けはお馴染み「My Girl」だった。作詞作曲はもちろん、演奏やミックス、そしてボーカルまで全てを一人で行い作り上げた通算4作目の意欲作『Ghost Notes』に収録されたこの曲も、続いて披露された、ともさかりえとのコラボ曲「Play Date」も、オリジナル音源は4つ打ちのキックが鳴り響くエレクトロ・アレンジだが、この日はもちろんそれをピアノ1台で表現。鋼のようなベース・フレーズを左手でパワフルに打ち鳴らし、ジャジーでソウルフル、それでいてどこかメランコリックなフレーズを右手で軽やかに弾きこなすKan Sano。歌に合わせ、テンポもダイナミクスも緩急自在に変化させるそのパフォーマンスは、たった一人の演奏とは思えぬほどカラフルだ。そして何より、言葉の一つひとつを慈しむように歌う彼のボーカルが胸を打つ。
「今日はね、積もる話があるんですよ」そう言ってKan Sanoは、ライブ活動休止を発表してからの日々についても丁寧に語ってくれた。吉祥寺でのライブを最後に休養に入り、まずは尾道を一人で旅行したこと。そこから映画『崖の上のポニョ』の舞台となった鞆の浦まで足を伸ばしたこと。自身の地元・金沢の日本海とは違う、穏やかな瀬戸内海に心癒されたこと。帰宅後はコラージュにハマり、素材となる古い雑誌をブックオフで買ったり、知り合いの美容師から譲り受けたりしながらしばらく制作に没頭していたこと(それは、自身の作品のアートワークにも活かされることになる)。年明けから少しずつデモ制作を行なっていたこと。そして春にもう一度、今度は車で尾道へ行ったこと。
「さて、そろそろ『職場』に戻りますかね」と言って再びグランドピアノの前に座り、フィッシュマンズの「いかれたベイビー」や、13人のルーティナー(「繰り返し行動」を持つ知的障害のある人のこと)と共に作り、金沢21世紀美術館で披露した力作「Pマママ」を演奏して本編は終了。アンコールでは「瀬戸際のマーマレード」と、バカリズムが原案・脚本を務めるドラマ『住住』の主題歌にも起用された「Natsume」を披露しこの日のライブに幕を閉じた。
My Girl
Play Date
Flavor
旅の途中
とびら
Trapped
highway, highway
Tokyo State of mind
I MA
きらきら星
(朝子のうた)
Stars In Your Eyes
Sit At The Piano
I’m still in love
この道
いかれたBaby
Pマママ
-Encore-
瀬戸際のマーマレード
Natsume
※「I MA 刺繍 バスクTシャツ」オンラインにて販売中!
『Kan Sano Solo Piano Live 2023 “ただI MA”』
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