円神、第2章のゲートを越え着々とレ
ベルアップを続けている 『ONEMAN
LIVE 2023 “Utopia”』公式レポ

9人組ハイブリッドパフォーマンスユニット・円神(エンジン)が10月13日(金)に新宿BLAZEで開催した『円神 ONEMAN LIVE 2023 “Utopia”』公演のオフィシャルレポートが到着した。

――第2章のゲートを越えた円神は、着々とレベルアップを続けている。
10月13日に新宿BLAZEにて開催された『円神 ONEMAN LIVE 2023 “Utopia”』は、そんなことをパフォーマンスで示したような一夜だった。前回のワンマンライブ『円神 Live Tour 2023 “GATE” 3rd CIRCLE』から約3ヶ月しか経っておらず、場合によってはあまり変化が見られない可能性もあった本公演。しかしながら、ひと夏を5th Single『Dreamland』の発売記念で走り抜けた9人は、一回りも二回りも成長を遂げたのである。
今までのステージでは、全体を通して物語を描いたりするような選曲になっていたが、今回はストーリーを描きながらも各ブロックにテーマを持たせたセットリストを実現。フリーライブで培った、自分たちに興味ない人でさえ振り向かせてしまう“届ける力”を遺憾なく発揮して見せた。
OWVの本田康祐が振付けを担当した「Superb Love」で幕開けを飾り、「ここから始まるパーティーを楽しもう」と謳うオープニングパートへ。オールブラックのクールな新衣装をまとったメンバーが現れると、会場からはブワッと黄色い歓声が沸いた。今までだったらタイトルソングを1曲目に持ってくることの多かった彼らが、カップリングを先頭に配置したのも変化のひとつといっていいだろう。爽やかなサウンド、ポップなラインダンス、溶けあうユニゾン、そのすべてが堂々たるプロローグのよう。楽しそうにアイコンタクトを取る「Anniversary」、タオルがクルクルと天を仰ぐ「TREASURE」と、着実にフロアを温めていく。「Go to Happy Ending!」中のそれぞれが挨拶するパートでは、フライングした中本大賀が中谷日向をとばしてしまうハプニングもあったが、それすらオーディエンスを盛り上げるエッセンス。色とりどりのサイリウムと共にキラキラした笑顔が輝いた。
“歴史に残るワンマンライブ”と刻む「Nonagonism」からは、ユートピアへ向かって円神がエスコートをするターンだ。山田恭がトップスをめくって腹チラでオーディエンスを打ち抜いたかと思えば、宮里ソルは勢いよくハイキックを披露。まだ見ぬ場所へ誘う「Wanna Love Me」では、セクシーな視線がMU3E(円神のファン呼称)の心を惑わせていく。メリハリが色濃くなったダンスは妖艶さが増し、深く吸いこまれたブレスの音さえも色っぽい。瀧澤翼も最年少とは思わぬ妖しい笑みを浮かべ、フロアを魅了した。円神至上最もダンスの難易度が高いと言われている「Spellbound」では、普段は愛らしいA.rikの大人な一面が開花。ギラギラと光を反射するミラーボールは、テクニカルなダンスをより彩ってみせた。
幕間には、円神のファンクラブ3周年を記念してリリースされたゲーム『MU3Eぱわぁ~タ魔ゴ神から9人を奪還せよ~』の世界観を用いたVTRを投下。熊澤歩哉の描いたキャラクターがぴょこぴょこ動くほのぼのした映像は、見ているだけでほっこりした気持ちにさせられる。MU3Eの声によりメンバーが卵から孵ると、いよいよ本人たちの登場だ。
ポップでキャッチーな「Dreamland」により、ユートピアのセクションがスタート。「Dreamland」の衣装に着替えた9人は、前半以上に眩しい笑顔を煌めかせ、飛んで跳ねて会場に魔法をかけていく。「MERRY GO ROUND」では草地稜之の王子様オーラが炸裂し、「スマイル (Album version)」ではメンバーの振りに合わせてクルクルポンポンとサイリウムが揺れる。
そして、ここからはバラード✕ダンスナンバーの二面性で魅せるラブソングのターン。ひとつひとつの言葉に重みを乗せて紡がれていく「Say Your Name」は、リリース時以上に楽曲の説得力が増している。歌いながら胸に手を当てる動きも単なるモーションではなく、本気で“心から”と意識していることが伝わってきた。続く「Highway In Blue」は、スタンドマイクを用いて、いつもとは違う雰囲気でステージング。スタンドを傾けてみたり、両手をマイクにかけてみたり、動ける範囲が限られているからこそ、それぞれの個性が光る。しっとりした歌声に心酔するも束の間、ダンスパートにより一気に空気をチェンジした。
ヒラヒラと舞うピースサインが印象的な「Peace Summer」、大ぶりなコレオグラフで大胆に魅せる「Addicted」と、ライブ終盤とは思えぬ全力のパフォーマンスを展開していく。終わりに差し掛かってもばてることなく息のあったステージを作り上げられているのは、この夏を駆け抜けてきた成果のひとつなのだろう。
ラストスパートの2曲は、いうならば本公演のエピローグ。「Home」を歌い踊るメンバーは、肩を組んだり微笑みあったり。曲中の表情からも、普段からの仲の良さが伝わってくる。また、この位置に“君がいる この場所が 永遠のホーム”と歌うナンバーを持ってくる演出も粋だ。円神が連れていくユートピアは、MU3Eがいるこの場所は、永遠にホームであり居場所なのだと。セットリストの描く物語は、9人が胸に秘めた願いを色鮮やかに語る。“君がいる”とそっと差し出された指先は優しく、その視線は遠くの未来まで力強く見据えていた。しんみりした空気をぶち破るように、中林登生が「俺たちは誰だ!」と叫び「We are ENJIN」を投入。アイコニックな自己紹介ソングがトリを飾る様は、さながら映画のエンドロールのよう。MU3Eのコール&レスポンスも完璧で、チーム円神一体となってライブを作り本編を締めくくったのだった。
アンコールは、ぶち上げチューンの「Overheeeeeeeeeat」により始まりからクライマックス。いつも以上に歌のニュアンスで遊び、大胆に踊り、音楽と自由に遊んでいく。かと思えば、「Perfect Circle」ではエモーショナルに言葉を伝え抜く。られている歌詞は、難しい言い回しもなければ、意外性を狙ったキーワードもない。でも、普段の彼らと結びつく言葉たちだからこそ、本物の想いが宿ったときに抜群の威力を発揮する。9人が経験を積めば積むほど、曲も一緒に進化していく。“百年経っても 忘れない瞬間を ここに刻んで 駆け抜けよう”というフレーズには決意がにじみ、未来へ進んでいく覚悟を感じさせる。優しい表情で「Shining Your Life」を歌い上げ、明日からの毎日を歩んでいくエールを送ると、一夜限りのユートピアは閉演したのだった。
ひと夏の経験を経て、グッと進化した姿を見せた円神。新たなゲートを開き、始まった第2章を歩む彼らは、“連れていく”ために必要なカギをいくつも見つけてきたように思う。パフォーマンスで魅了すること、ついてきてくれる人を大切にすること、音楽を通して伝えること。もともとイメージしていたことを体感として掴み、実現できるようになったのが2023年の夏だったのではないだろうか。夢のような瞬間を積み重ねた先で、彼らがどんな運命を切り開いてくれるのか楽しみでならない。
文=坂井彩花 撮影=留置太輔

>>円神 インタビュー
メンバーのパーソナルな部分が次々と明らかに “夢”にまつわるエピソード、今年の夏の思い出、秋にやりたいこととは?
https://spice.eplus.jp/articles/321394

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