みんなへ届けたいという必死の覚悟を
持って作られた、帝国喫茶セカンドア
ルバム『帝国喫茶II 季節と君のレコ
ード』

帝国喫茶セカンドアルバム『帝国喫茶II 季節と君のレコード』が10月4日(水)にリリース。ファーストアルバム『帝国喫茶』から、たった1年で届けられた。初めての経験ということもあり、手探りで考えて悩む隙も無いくらいの早さで作られたファーストとは違って、セカンドはしっかりと考えて悩みながら、今の自分たちが出せる究極を突き詰めて仕上げられた。この1年という季節における若者たちの経験が純度高く表現された、セカンドアルバムを是非とも体感して欲しい。

杉浦祐輝(Gt.Vo)

――セカンドアルバムのレコーディングは、ファーストアルバムのレコーディングと比べて、どうでしたか?
杉浦祐輝(Gt.Vo):レコーディング自体、スムーズに進むようになりました。レコーディングに入るまでに曲を仕上げていく経過も掴めてきて、それぞれの意識も変わってきたので、だいぶ成長をしたと思います。曲を作る3人(杉浦・疋田・杉崎)で常に究極のセカンドに仕上げようと逐一言い合っていたし、3人共に作り方や向き合い方は違うけど、それぞれ頑張って突き詰められました。
疋田耀(Ba):究極のセカンドをとは毎スタジオ言い合っていましたね。とにかく頑張りたかったので。
杉浦:ファーストはただただ仕上げるだけだったので、だいぶファーストとは違いましたね。何となく今パッと思い浮かんだのは、特に作業後半は突き詰めたのもあって重たい強い曲が出来てきた事です。アルバムの重心が下がった印象もあります。
杉崎拓斗(Dr):ファーストは合宿で一気に録ったのもあって、初期衝動の勢いが表れていると思います。セカンドはそれとは違って、わりと何回かに分けて録音したので、1年を通した季節感が出たかなと。後、それぞれが核に近づけたというか、心の深い部分も出てきたように思います。どっちのレコーディングも良いところはありますけど、毎日その日の内に気分は変わるし、1ヶ月とか経つと向き合い方も変わってくるので、色々な表情がセカンドは出ましたね。
疋田耀(Ba)
疋田:ファーストはまとめて伊豆で録ったので、準備段階から忙しくて大変だったんですけど、今回は都度都度、録った事で工程ひとつひとつに時間をかけれましたし、整理して丁寧なものが出来ました。自分たちが誠心誠意になった上で、セカンドは聴く人がどう思うかを考えられるようになりました。去年のレコーディングでは可能性を広げられたし、我々は何でもしますと示せたので、今回は過去を踏襲しつつも未来に向けて、今の自分たちの可能性をドンと出せました。この楽器で、このアンプでみたいな経験値を積めてきたので、スタッフとのチーム感も円滑に良い感じでしたね。相変わらず大変ですし忙しいですけど、ちゃんと突き詰める為に悩んでいる感じで、エンジニアにも「良い悩みだよ」と言ってもらいました。
杉浦:大変さの総量はファーストもセカンドも変わってないですけど、質は変わってきていますよね、確実に。
アクリ(Gt):ファーストは手探りとも言えないくらいに、わからないことだらけで、何を目指しているのかも正直わからなくて、目の前のことで必死だったし、準備が甘かったという反省はありました。セカンドは何回かに分けて録ったので、準備は大変でしたけど、追い込まれる事は少なくなったんですが……。不器用ですし、吸収するのに苦戦もしましたけど、でも凄く丁寧にはやれました。音を作っている時もファーストの時よりは楽しかったです。この楽器でこの音を出せるみたいな事を楽しめる余裕も出てきました。
杉浦:自分でもギターアレンジを考えられるようになったよね。
アクリ:そういうことができるようになったのは嬉しかったです。あんまり大変とは言いたくないし、大変だから良いわけではないので。
疋田:頑張ってたら評価されるわけじゃないしね。
アクリ:未熟者ですが、帝国喫茶は面白いので3人の背中を追いかけてついていっている感じです。
疋田:今は協力して一緒にギターを考えているけど、全部考えてもらいたいなとは思っているしね。アクリちゃんは明らかに成長速度も早いから。
杉浦:いつかは曲も作ってもらいたいです。
アクリ:そのためには、もっと余裕を持ちたいです。イラストは描いていて自信があるし、ライブパフォーマンスも自信が出たんですけど、まだまだレコーディングは自信が無くて……。なので必死に食らいついていくしかないです。
疋田:あの、僕は自分たちで作ったCDを一度も家に持って帰ってないんです。まだ飾りたくなくて。ただ頑張っただけで飾ってしまうと、それ以上のものを作れない気がして……。早く何を出しても家に持ち帰って飾れるようにしたいです。まだ完成していないと思うので。
アクリ:私も聴くたびに甘いと思っちゃいます。ただジャケットイラストに関しては、色々な人に聴いて欲しいので、色々な人の季節を表現しましたし、日本の四季とレコードが回っていく感じも出せたかなとは思います。
アクリ(Gt)
――ファーストの時のインタビューと比べると、メンバー3人は自分の思いを口に出せるようになったと思うんだけど、フロントマンとして思うところ感じるところはありますか?
杉浦:こういうインタビューの機会が無いと、曲に対してとか、バンドに対してとかを深く聞く機会が無いですからね。普段は基本的に他愛も無い話しかしないですし。まぁ、CDを飾る云々の話でいうと、僕は常に自分たちの出来ているとこと出来ていないとこを理解する為に、家には置いてあります。実際にファーストからライブも重ねていって、だいぶ変わったと思っています。僕、昔から周りに追い詰めて悩んで考える人たちが多いんですけど、生きてさえすればいいかなと。その中でメンバー3人を繋いでいくとか、自分たちとお客さんを繋いでいくとか、そういう事は自分のフロントマンとしての役割だと思っていますね。メンバー3人が追い詰められた時も、何とか壊れないようにと考えて守るのが、自分の役割だと思います。
――改めて杉浦君という人は、どういう人ですか?
疋田:やっぱり歌が上手いですし、3人それぞれの核を見つけ出して引っ張り上げてくれますよね。本来ならば、他人が書いた歌詞を歌うのは難しいはずなのに、それを上手にすくい上げて、ドンと歌を出して曲も立たせてるのは凄いです。自分たちが表現したい季節とかをしっかり代弁してくれてるし、それが自分の主張にも完全になっています。すごいことをしてくれていますよね。
杉崎:安心して任せられるフロントマンでありボーカルですね。
疋田:何でもやってくれると思って、曲をかいています。彼の良さを出してもらいたいからこそ、連携を取りながら伝えていきますし、彼が歌うということは結構考えながら曲を作っています。自分の気持ちを伝えつつ、彼を矢面に出して、どう輝かせるかということですね。
杉崎:結局は杉浦さんが歌うように曲が出来上がっている。
杉崎拓斗(Dr)
杉浦:今回の僕でいうと「君が月」、「みんなへ」というように、3人それぞれがリード曲を書けるにようなったのは大きいですね。ファーストの時は、自分はリード曲では無くて、他のパートを補うつもりでいましたけど、「君が月」で意識は変わりました。
――特に「みんなへ」は聴く人へ遺書のつもりで、その覚悟を持って書いていますよね。
杉浦:常日頃セカンドで生ききりたいと言っていたし、いつ死んでもいいと思って全力でやっているので。毎回ライブ終わった後は、これ以上の事は無いと思っています。自分たちの音楽を聴いてくれる人へ全力で、やる事以上にやりたい事は無いですから。でも、欲張りなんで、もっともっと生きたいですけど、覚悟としては遺書のつもりでやりきりました。ツアーやってレコーディングをやって、バンドとはこういう感じだなと思ったし、ようやく、そこにいけたなと。サニーデイ・サービスとかキャリアの長いベテランの人たちのライブを観ていたら、続けていくこともバンドそのものだと感じるし、そういうバンドを観ていると、知らない曲とか関係なくて、観ているだけで重いんです。そういうところがまだ自分たちに足りないのは仕方ないですけど、セカンドを作り終えて思ったのは、やっぱり4人で帝国喫茶だなと。だから、これから、より広がっていきたいですね。
取材・文=鈴木淳史 撮影=ヨシモリユウナ

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