「ドクター=ファンクビート」歌詞の
意味を考察!不幸を治す医師の想いと

鉛姫シリーズの人気キャラ「ドクター=ファンクビート」に迫る

バンドやソロで活動するほか、「大天才P」の名義でボカロPとしても人気のnyanyannyaの代名詞とも言える「鉛姫シリーズ」は、オリジナル童話『色偸るセカイの鉛姫』を元に制作された楽曲や小説・ミュージックノベルなどのマルチメディアで展開される物語。
色の見えない鉛姫が大切なものと引き換えにセカイで失われた色を取り戻すというストーリーで、それぞれ自分の大切なものを持つキャラクターたちが鉛姫を救うために活躍する模様が描かれています。
『ドクター=ファンクビート』の主人公・Dr.ファンクビートは、幸せを大切にしている医師のキャラクターです。
様々な音の要素を詰め込んだファンク調のサウンドにKAITOの張りのある歌声が重なり、Dr.ファンクビートの自由で飄々とした雰囲気が伝わってくるでしょう。
▲nyanyannya - 『ドクター=ファンクビート / Vivid BAD SQUAD × KAITO』【プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミクOfficialYouTube】
2020年に“プロセカ”ことスマホゲーム『プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat.初音ミク』に追加配信されたことで人気が再燃し、同年にVOCALOID伝説入りを達成!
バーチャル・シンガーによる3DCGライブ「マジカルミライ」でもこれまで数回にわたり使用されていて、KAITOの魅力を知ることができる代表曲の1つともなっています。
果たしてDr.ファンクビートとはどんな人物なのか、歌詞の意味を考察していきましょう。
ドクター=ファンクビート 歌詞 「nyanyannya feat. KAITO」
https://utaten.com/lyric/me16060979
冒頭に出てくる「青い鳥」といえば幸せの象徴なので、まだ幸せが見つかっていないなら自分のところに来るように招いていると解釈できそうです。
いつまでも見つけられず諦めきれない人には来世に期待するようにと諭しています。
一方「もう青い鳥が見える貴女はIt's too late (もう手遅れ)」と言っています。
その人は実際には存在しないものが見えているとして、幸せを欲しがるあまりに出た禁断症状だと診断しているようです。
ドクター=ファンクビート 歌詞 「nyanyannya feat. KAITO」
https://utaten.com/lyric/me16060979
Dr.ファンクビートの診察を受けて幸せを手にした患者は、魔法のようだと不思議がります。
しかし彼はそれを否定し、魔法のように不確かなものではなく医学的な方法を使ったと主張します。
「希代の鬼才の素敵なこの大・天・才!」と自画自賛するほどに、自分の施す治療に自信を持っていることが窺えます。
患者を幸せにすることは医師の良心
ドクター=ファンクビート 歌詞 「nyanyannya feat. KAITO」
https://utaten.com/lyric/me16060979
彼の治療は一般的な常識とは外れているため、ある人たちは「良心が痛まないのか」と彼に詰め寄るのでしょう。
しかし、彼にとってはその行為こそが良心から生まれたものなので「痛むわけないだろう?」と平然と返します。
「現実は苦痛だらけ」だから、その中で幸せを見つける手伝いをしていることには善意しかありません。
そして望み通り幸せを手にした患者たちを「お幸せにどうぞ」と送り出します。
ドクター=ファンクビート 歌詞 「nyanyannya feat. KAITO」
https://utaten.com/lyric/me16060979
「ミダス」とはイソップ寓話『王様の耳はロバの耳』の王様のモチーフとなった実在する人物で、神話『ミダス・タッチ(またはゴールデン・タッチ)』では触れたものを黄金に変える能力を持つ王として描かれています。
つまり「世界中の不幸にはミダスの手を」というフレーズは、世界中の不幸は富があれば解決するという考えを示していると言えるでしょう。
それに対し、Dr.ファンクビートはその考えは間違っていると指摘します。
富によって不幸でなくなるのであれば裕福な人たちが分け与えることで解決するはずですが、世界中の不幸は増えるばかりでいたちごっこです。
それでもまだ富さえあればいいと言うのなら、富を分け与える人たちはいつまでも働き続けなければならないので「世界中の偽善者はいつ眠るんでしょうね?」と皮肉っています。
ドクター=ファンクビート 歌詞 「nyanyannya feat. KAITO」
https://utaten.com/lyric/me16060979
Dr.ファンクビートが与えるのは愛に近いもので、愛より「もう少しだけケミカル(化学的)」なもの。
それは研究に研究を重ねて作り出した人を幸せにする薬なのかもしれません。
彼が「幸せかい?」と尋ねると患者たちは一様に「イエスマイドクター」と答えてその手腕を証明するので、彼はさらに調子づいて意気揚々と次の仕事に取り掛かります。
ディストピアの中で多くの人を幸せにしたい
ドクター=ファンクビート 歌詞 「nyanyannya feat. KAITO」
https://utaten.com/lyric/me16060979
回診に出ると、ある患者には「知能の問題だ 治るわけないだろう」と辛辣に言い放ちます。
彼は純粋に幸せになりたい人のためには尽力するものの、それ以外の患者には気を配らない人なのかもしれません。
後半に出てくる「Rowdy」は乱暴や悪党を意味する言葉なので、乱暴者の急患に手を焼く助手が助けを求めている様子を描いていると考えられます。
Dr.ファンクビートはそういう患者も好まないようで、あなたなら他人を叩き落せば幸福感が得られるはずだとだけ告げて、問答無用で診察を終わらせます。
ドクター=ファンクビート 歌詞 「nyanyannya feat. KAITO」
https://utaten.com/lyric/me16060979
中国語で「熱烈歓迎」は漢字の通り相手を歓迎する時の挨拶です。
「奶奶的」は直接的には「おばあちゃんの」という意味ですが、侮蔑表現として用いられることもある言葉のようです。
たとえば「くそったれ」というような表現と捉えると、Dr.ファンクビートが自分を歓迎する人たちを罵って蹴散らしているさまを想像することができます。
そのようにして自分の患者として受け入れられない人たちのことは遠ざけ、本気で不幸を治したい人たちの元へ「御呼びかい?」と駆けつけるのが彼の生き様なのでしょう。
ドクター=ファンクビート 歌詞 「nyanyannya feat. KAITO」
https://utaten.com/lyric/me16060979
そんな彼がある日見た夢は「誰もが幸せになるコドモ騙しの妄想SHOW」。
現実では不幸が蔓延っていることを知っているので、誰もが幸せになる光景は妄想の中でしか生まれないと考えています。
「ディストピア」とは理想郷を意味するユートピアの対義語で、実現し得る最悪の社会を描く反理想郷や暗黒世界のことです。
誰もが不幸なのに見せかけだけ幸せであるかのように振る舞う現実世界を、彼は「巫山戯たディストピア」だと見ているようです。
そんな暗い世の中に生きる人たちに「幸福の在り処(クラウドナイン)」という薬を処方します。
「クラウドナイン」はアメリカの気象用語で「積乱雲」を意味し、雲の中でも特に巨大で天高くまで上昇することから最高に幸せな状態を意味する言葉です。
「これで逝きましょう」とあることからも、強い幸福感を得られる少し危険な香りのする薬であることが想像できますね。
とはいえ幸せになりたい人を1人でも多く助けたいという純粋な願いも垣間見えます。
そして最後に、不幸を治療するためなら手段を選ばないDr.ファンクビートと鉛姫との出会いが描かれ、楽曲は幕を閉じます。
歌詞の世界観を表現するMVも必見!
nyanyannya(大天才P)の『ドクター=ファンクビート』には不幸を治す規格外の医師の幸せへの想いがられていました。
YouTubeで公開されている公式MVは再生回数500万回再生を超え、細部まで書き込まれたイラストに圧倒されること間違いなし。
さらにプロセカオリジナルのMVも楽曲の世界観にマッチしていて見応えがあるので、ぜひそれぞれのMVにも注目してください!

UtaTen

歌詞検索・音楽情報メディアUtaTen

連載コラム

  • ランキングには出てこない、マジ聴き必至の5曲!
  • これだけはおさえたい邦楽名盤列伝!
  • これだけはおさえたい洋楽名盤列伝!
  • MUSIC SUPPORTERS
  • Key Person
  • Listener’s Voice 〜Power To The Music〜
  • Editor's Talk Session

ギャラリー

  • 〝美根〟 / 「映画の指輪のつくり方」
  • SUIREN / 『Sui彩の景色』
  • ももすももす / 『きゅうりか、猫か。』
  • Star T Rat RIKI / 「なんでもムキムキ化計画」
  • SUPER★DRAGON / 「Cooking★RAKU」
  • ゆいにしお / 「ゆいにしおのmid-20s的生活」

新着