倉本聰作品が初のオペラ化 記念トー
クイベント『倉本 聰~今、ニングル
を語る』オフィシャルレポートが到着

2024年2月に倉本聰氏が40年前に書き上げた『ニングル』が初めてオペラ化されることを記念し、2023年8月22日(火)に富良野演劇工場(北海道富良野市)にてトークイベント『倉本 聰~今、ニングルを語る』が開催され、会場では200名程度、ライブ配信では海外も含む1,600名以上が視聴した。本イベントのオフィシャルレポートが到着した。

第一部は「現代、自然界、精霊伝説からオペラへ」をテーマに、オペラ用の脚本を担当した吉田雄生氏、オペラ歌手としても活動する江原啓之氏の司会進行の元、倉本氏本人、さらにオペラの作曲を手掛ける渡辺俊幸氏、演出を担う岩田達宗氏も加わり一晩限りのスペシャルトークショーを展開。「ニングル」を約40年前に執筆したきっかけや、作品に込めたメッセージについて語っていただいた。
倉本氏は1977年に富良野の地に移り住み、「ニングル」を発表したのが1985年。今ほど地球温暖化や環境の急激な変化を感じることが少なかった当時から、すでに人間の欲望が一線を越え、引き返せないところまで来ていると感じており、「ニングル」にはそんな人類への警鐘が込められているという。
それから約40年たった現在、そして未来の展望について、倉本氏は「確実におしまいの時が来ていると思う。(自身の主宰する)自然塾では地球46億年の歴史を460mの小道にして歩かせるが、今と同じ水と酸素に満ちた地球環境が整った6億年前は60m手前、人間が生まれたのは20~30cm、現代人は2~3mmと人類の歴史は短い。人類の歴史はあと何センチ続くのか。5cm続かないのではないか。滅ぶべくして滅んでいると思う。」と、これまで作品を通して訴え続けてきた危機感が生かされない現実についてのもどかしさを顕わにし、「我々(人類)が自然の一部であることを思い出さなければならない」と訴えた。
第二部では、富良野塾で倉本の薫陶を受けた森上千絵氏が童話「ニングルの森」より「太陽」「いのちの木」を朗読。さらにオペラに出演予定の海道弘昭(才三役/テノール 日本オペラ協会会員)、佐藤美枝子(かつら役/ソプラノ 同会員)が本編の楽曲を公演に先駆けて初披露した。
岩田氏はオペラという様式の意義について「オペラという言葉ができたのは近世だが、そのルーツは古代ギリシャ時代にあり、当時からローカルなものではなく人類全体で共有されることを意図されたもの」と語る。これまでもラジオドラマ、童話、演劇と様々な形で取り上げられ、人類への警鐘を鳴らし続けてきた本作品が、この冬ついにオペラ化される。「ニングルの企画が持ち上がるときは地球に何かが起こっている時だ」と吉田氏が語るように、山火事やゲリラ豪雨など、異常気象や自然災害が連日報道される今、渡辺氏が紡ぐ音楽に乗って、「ニングル」に込められたメッセージが東京から全世界、全人類へと放たれるときなのかもしれない。

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