「白か黒かとはいかないから人間なん
だ」快進撃が止まらない、SUPER BEA
VERがニューシングル「グラデーショ
ン」に込めた想い

節目節目でしっかりとマイルストーンを打ち立てながら、それさえも来るべき飛躍の助走なんじゃないかと思えるほど、SUPER BEAVERの快進撃が止まらない。「自分達で、次から次にわくわくすることを作ろうと思いながらやっていることが完全に功を奏している。しかも、むやみやたらに手を伸ばしているわけではなく、こういうことをやったらこうなるだろう、とちゃんと明確に照準も合わせられている」とすべては渋谷龍太(Vo)によるその一言に尽きると思うのだが、今年2023年に入ってからすでにアコースティック編成ライブツアー、手強いライブアクト達と相まみえながら東名阪のライブハウスを回った自主企画ライブ、そしてファンクラブツアーと立て続けにツアーを行ってきた。そんなSUPER BEAVERの次なる一手が、約4か月半ぶりとなるニューシングル「グラデーション」のリリースだ。
同曲は映画『東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編 -運命-』の主題歌として書き下ろしたものだが、6月には『東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編 -決戦-』の主題歌「儚くない」のリリースも決定。4月14日(金)からは全国19都市を回るホールツアーもスタート。そして、7月22日(土)、23日(日)にはSUPER BEAVER史上最大キャパとなる富士急ハイラインド・コニファーフォレストでワンマンライブを開催が決定している……。
おっと、このインタビューの目的は、現在の快進撃をメンバー自身がどう捉えているのか聞かせてもらうことと、「グラデーション」の聴きどころをメンバーとともに明らかにすることだった。バンドの勢いに煽られ、思わず先を急ぎすぎてしまった。改めて、メンバーに話を訊いていこう。繊細な楽曲制作の姿勢が窺えるはずだ。加えて、新型コロナウイルス感染拡大防止対策によるライブの規制が緩和され、声出しが解禁されてからのライブの展望についても聞かせてもらったところ、今回の新曲「グラデーション」に繋がるSUPER BEAVERらしい答えが返ってきた。
渋谷龍太(Vo)
白か黒とはいかない、矛盾していることが本質ともいえる人の気持ちを歌にすること
ーー昨年12月25日にSUPER BEAVER史上最大規模となる4都市8公演のアリーナツアー「都会のラクダSP~東京ラクダストーリービヨンド~」を終え、新たなマイルストーンを打ち立てたのも束の間、その余韻を味わう間もなく、アコースティック編成ライブツアー「アコースティックのラクダ」、ファンクラブツアー「“友の会”FCツアー2023~ラクダ親睦会~」を行い、4月14日(金)からは、19都市のホールツアー「都会のラクダHALL TOUR 2023~がラクダ紀行、ロマン飛行~」が始まります。まさに快進撃が止まらないわけですが、そんな最中、みなさんはどんな心境なのか、まず聞かせていただけないでしょうか? 大きなツアーが終わったところで、ひと段落付けて、充電期間を取ってからまた次の動きにというのがよくあるパターンだと思うのですが、SUPER BEAVERの場合、その充電期間が全然ないという(笑)。
渋谷龍太(Vo):ですよね(笑)。でも、アリーナツアーが終わって、すぐにアコースティックライブをやって、「現場至上主義」という自分達の企画もやって。
ーーそうでしたね。
渋谷:そんなふうに次から次へと、いろいろ楽しいことをやらせてもらっているのでずっとわくわくはしつづけています。だから、アリーナツアーのファイナルだった名古屋公演もずいぶん昔に感じますね。
上杉研太(Ba):自分達がやりたいことをやった結果、こういう動きになっているから、逆にそれをしないほうが毎日に張り合いを感じなくなっちゃうと思うんですよ。
藤原“34才”広明(Dr):1個1個やっていることがさらに自分達の充電にもなっていると思います。エネルギーの放出もしているんですけど、その意味では、いい循環でやれているんです。
柳沢亮太(Gt):撒いてきた種がこれまで以上にちゃんと芽が出て、実になっていると実感できているので、そういう意味では一生懸命やり続ける時期なんだと思います。その上で、新しいことにも挑戦している。年明けのアコースティックライブも、アコースティックライブをツアーとしてやるのは初めてでしたから。そういうところで新たな修行感はありましたね。

上杉研太(Ba)

ーーアコースティックライブは、いかがでしたか?
渋谷:楽しかったです。
上杉:クセになる(笑)。
渋谷:自分の中では、歌の引き出しが確実に増えた気がしました。日々の繰り返しもとても大事だと思いますけど、新しいことをやったり、他の刺激を外から受けたりってことがいかに大事かってことがちゃんとわかったのですごくよかったです。
柳沢:NHKホールはもちろんホールですけど、COTTON CLUBとかBillboard Live OSAKAとかは、生音だけで成立するんじゃないかってくらいの距離感だったんで、あそこで味わった感覚は、ふだんのバンドセットのライブにおいても何か影響を及ぼすんじゃないかと思えたんですよ。ああいう距離感だから決め打ちでやりすぎるよりは、もうちょっと肩の力を抜いてっていう発想があったんですけど、それをバンドセットに持ち帰ったらもっと新しいライブの瞬間が生まれるかなって、なんとなく予感できたんですよ。
ーーその経験が今回のカップリング曲である「名前を呼ぶよ -Acoustic ver.-」にも生かされている?
柳沢:そこら辺の関係性は複合的な流れだと思います。アコースティックアレンジしたものをパッケージングしていこうかって会話はあったし、それだったら、やっぱりライブとして披露する機会があってもいいしっていう、いろいろなことが連動しての流れではあると思います。
ーーなるほど。では、ここからは「グラデーション」について聞かせてください。「名前を呼ぶよ」に続き、連続で映画『東京リベンジャーズ』の主題歌として書き下ろしたわけですが、改めてオファーされていかがでしたか?
柳沢:純粋にうれしいですね。やっぱり、自分達にとってもすごく大きなトピックと言うか、大きなターニングポイントになりましたからね。「名前を呼ぶよ」をキッカケに自分達のことを知ってくださった方もすごく多かったと思うんです。だから、続編があると聞いてからは、やれるものならやりたいと純粋に思っていたので、うれしいし、ありがたいお話だと思いました。
柳沢亮太(Gt)
ーー前回、TVアニメ『僕のヒーローアカデミア』の主題歌「ひたむき」について訊かせてもらった時も同じような話をさせてもらったのですが、「グラデーション」のテーマも映画の内容とリンクしているところがありつつ、SUPER BEAVERが歌い続けてきたことだと思います。それが『東京リベンジャー2』という作品がトリガーになって、グラデーションというモチーフに結びついたということだと思うのですが、そこも含め、楽曲制作のバックグラウンドを教えていただけないでしょうか?
柳沢:昨年の春から制作を始めて、初夏くらいにはできあがっていたのかな。グラデーションというモチーフについて言うと、2020年以降、争いというのは正義と正義の主張から起きていることが改めて浮き彫りになってきたような気がしていたんです。元々、人はそれぞれ価値観が違いますけど、その違いがより明らかになってきたと言うか、同じことが、それを見る立場によって、善にもなるし、悪にもなる。バンドとして活動する中で、さまざまなルールも含めて常日頃から考えてきたんですけど、この数年間はよりそんなことを思うようになっただったんです。今回の『東京リベンジャーズ2』も誰かが絶対的に悪と言うわけではない。それぞれに、それぞれの思いがあって、自分の中の正しさを主張している。ただ、それが受け取る人によっては絶対悪にもなりえるんです。白か黒か、あるいは0か100かで物事を考えられたら、そんな簡単なことはないんですけど、そうは行かないから人間なんだよなと今一度思って、そういう人の気持ちの中にあるグラデーションをーーたとえば、「好きだよ。好きなんだけど、ここは腹立つじゃん」とか、「あいつのことは好きになれないけど、そこはわかるんだよ」ということが往々にしてあるじゃないですか。そんなふうに常日頃考えていることと、映画のストーリーにリンクするところがあったので、グラデーションというモチーフを使って、ある意味、矛盾とも言えるようなことが本質だったりする人の気持ちを歌にできたらすごく合うんじゃないかと思って、書き始めました。
ーー<そんな気持ちは嘘ではなくて でも気持ちはひとつでもなくて>という歌詞があるように確かに人間の気持ちはパキっと割り切れるものではないと思います。<掴むのは信念か身勝手か><思いやりか自己犠牲か><ごめんねに込めたありがとうのよう ありがとうに込めたごめんねのよう><そんなつもりじゃなかった じゃあどんなつもりだった>……と、この曲には身に覚えがあるからこそグサッと刺さる歌詞がいくつも散りばめられているのですが、そういう歌詞に繋がった実体験を、曲を作りながら、あるいはアレンジしながら思い浮かべるなんてこともあったのでしょうか?
柳沢:実体験と言うか、日々言っていることと言うか、思っていることと言うか、大事に見ていることと言うか……。たとえば、「信念」と「身勝手」というのは、実は根本は一緒のような気がするんです。ただ、それをどう表現するかによって、印象が変わってしまうだけで。思いやりと自己犠牲ももしかしたら、行動そのものは同じように見えるかもしれないけど、その行動の出どころはどっちなのか? そういうところは、SUPER BEAVERとしても活動している中で、すごく大事にしていることなんです。だから、こういうことは日々、メンバー同士、会話していることでもあるし、その一歩を間違えないようにしたいと思っているところでもあるし。たとえばですけど、「ごめんごめん」という言葉の裏には、「やっておいてくれてありがとう」といった気持ちがあるかもしれないじゃないですか。逆に「本当にありがとう」と言った裏には、「ごめんね」という気持ちが隠れているかもしれない。そこで選ぶ言葉は、その時の心の内や状況によって微妙に変わってくると思うんです。ただ、それはどっちも嘘じゃない。そういうことを大前提に作っていた曲なので、実体験と言うよりは、日々生きている中でいっぱい遭遇する感覚なのかなと思います。
藤原”34才”広明(Dr)
ーー確かに。日々、そういう感覚になることっていっぱいありますよね。中でも、<ごめんねに込めたありがとうのよう ありがとうに込めたごめんねのよう>という歌詞は、身につまされると言うか、身に覚えがあると言うか。
柳沢:大袈裟なことじゃなくてもいっぱいありますよね。
藤原:ごめんねとか、ありがとうは、その言葉を選ぶ人のセンスと言うか、らしさが出ると思うんですよ。僕自身はそういうとき、割と「ごめんね」と言うなぁとか、ぶーちゃん(渋谷)はストレートにありがとうというタイプだよなとか。もちろん、ごめんねとありがとうだけに限らず、そういった言葉は会話の中にいくつもあると思うんですけど、何度も話していると、そういう言葉選びに表れるその人の個性がわかってくるじゃないですか。そこがおもしろいと言うか、言葉の使い方からグラデーションとしてある、その人の個性みたいなものを見つけると、楽しいと言うか、大人になって、「グラデーション」で歌っているようなことが前よりもわかってきたところもありますね。 
渋谷:自分がどんな気持ちでいるのかとか、逆に相手がどんな気持ちでいるのかとか、常に想像することが大事なのかな。
ーー「グラデーション」を聴いて、僕はありがとうと爽やかに、明快に言える人になりたいと思いました(笑)。
柳沢:ははは。
藤原:わかります。そういう憧れはあります。
上杉:人の内側にあるリアリティが書かれている歌詞ですよね。日々思うことだったり、藤原が言ったようにちょっとずつ歳を重ねていってわかることだったりするのかもしれないけど、歌詞にも書かれているように大体が単純明快じゃないと言うか、1個の事柄を表すような言葉でも、それだけじゃない意味があったりとか、本当は違うことを思っていたりとか、いろいろあるじゃないですか。その意味では、「グラデーション」というタイトルどおり、いろいろなことが詰まっている曲だと思います。
タイトルと連動した、一音ずつ、一楽器ずつ少しずつ増えていくアレンジに
柳沢亮太(Gt)
ーーさて、楽曲としてはドラマチックなアレンジが聴きごたえあるものになりました。中でも、各楽器の大胆な抜き差しがダイナミックで、そういうところも聴きどころだと思うのですが。
柳沢:大胆な抜き差しはプリプロしながら形にしていったんですけど、最初にデモを作る時に「グラデーション」というタイトルとアレンジを連動させたいと考えたんです。実際にはグラデーションではなく、レイヤーなんですけど、音のレイヤーを作る時に一気に2、3音増やすのではなく、一音ずつ、一楽器ずつ少しずつ増えていくみたいなアレンジになったらおもしろいんじゃないかなと。だから、ギターから曲に入ったあと、次にピアノが鳴って、そこにドラムが少しずつ加わっていって、ベースはサビまで出てこないんだけど、サビはベースを含めたいろいろな楽器が一気に鳴る。そういうわかりやすいダイナミクスと繊細なグラデーションを作りたいというのは最初から考えていました。サビはさらにそこに色を足したと考えて、ストリングスの力も借りて、同じ楽器がいくつも鳴っていると言うよりは、いろいろな楽器と言うか、音色がいくつも入っていたらいいなというのが大前提として、そこから細かいことは、メンバーといろいろ会話しながら決めていったんです。
藤原”34才”広明(Dr)
ーーなるほど。各楽器の大胆な抜き差しは、そういうことだったんですね。上杉さんと藤原さんは、そこにどんなふうにアプローチしていったんですか?
藤原:ドラムはハイアットがあって、スネアがあって、キックがあってというふうに楽器がたくさんあるので、それをちょっとずつ、いかに気づかれないように増やしていけるのか、グラデーションのようにさりげなく重ねていけるのか考えて、柳沢のデモを叩き台にメンバー全員でアイデアを出し合いながらいろいろ試したんです。
ーーAメロでリムショットをさりげなく入れていますね。
藤原:それもいつ入ってきたかバレないようにするには、どれくらいの加減がいいんだろうかって考えましたね。だから、しっかりプリプロした上でレコーディングの当日に、この頭のスプラッシュ(・シンバルを入れるの)やめようみたいな話し合いもして、聴いている人が最後まで、おっと思わずに歌に入り込めるように、できるだけ自然なアレンジを狙いました。
ーー逆にサビのシンバルはかなり派手に鳴っています。
藤原:そこも柳沢とすごくやり取りしました。こっちのシンバルじゃなくて、こっちのシンバルを先に打って、いや、やっぱりこっちにしようみたいに。どのシンバルが鳴ったら、一番気持ちいいんだろう。一番ぐっと来るポイントは、どこなんだろうかと探す上では、僕ら全員はもちろんですけど、聴いた人もそう思える音色になる(シンバルの)位置、(シンバルを打つ)順番まですごくこだわって決めていきました。
上杉研太(Ba)
ーー上杉さんのベースはいかがでしたか?
上杉:エネルギッシュでエモーショナルなんだけど、シリアスで、たまにちょっと混沌としているという曲のイメージを表現するためにベースの音は歪ませつつ、ロウもしっかり出ているんだけど、鋭角でという音色を、時間を掛けて作った上で、レコーディングではそれをいかに曲に注入できるか意識しながら弾きました。1サビ後のピアノに合わせてベースを弾くみたいに頭を使って、アレンジを加えたところもありますけど、基本的にはいかにエネルギーをどんと入れられるか。そういうプレイになった時に生きるような音作り、フレーズ作りを、シンバルの話と同じように、せーので合わせたとき、もうちょっとこうしよう、ああしようっていうのを、さあ録りましょうとなるまでけっこう時間掛けてやりましたね。
ーーピアノのループとストリングスの導入もトピックの1つだと思いましたが、それはさっきおっしゃったようにグラデーションを作る要素だったわけですね?
柳沢:それもあるし、ピアノのループは、ちょっと不穏な空気を漂わせたいということで、入れたところもあるし。ストリングスはタテのリズムを含め、ぎゅっと固まっていた音像をもうちょっと広げたいと考えたとき、今あるエレキの楽器を重ねてもただ厚塗りになっちゃうからという選択でもあったし。だったら、ストリングスを思いっきり入れてみようと、プリプロの後半になったんですよ。
渋谷龍太(Vo)
ーー渋谷さんはボーカリストとして、どんなふうにアプローチしていきましたか?
渋谷:曲が持っているものがそもそもあるんで、それをどんなふうに生かせるかぐらいしか考えてなかったです。なので、楽器隊とは違って、実験的にこういうことをやってみよう、ああいうことをやってみようということはなかったですね。いつもそうなんですけど、レコーディングの時に、よーい、どんで試すということはほぼないんです。ライブの中でやってみたりとか、それ以外の練習の時にやってみたりとかってものがその都度、時間の経過とともに出せるようになったらいいなっていうのは常日頃から考えて、取り組んでいることなので、いざ、よーい、どんってなった時に、こんなことをやってみたとか、あんなことをやってみたとかってないんです。なので、本当に実直にこの曲が持っているものを生かした上で、この曲をSUPER BEAVERが鳴らすんであれば、どんなふうになるだろうかということだけを考えてやりました。
「自分がどういうライブを見たいのか考えて、選んでもらえたら」
SUPER BEAVER
ーーところで、3月2日から始まったファンクラブツアー「“友の会”FCツアー2023~ラクダ親睦会~」から声出しを解禁したそうですね?
渋谷:いや、この間の自分達の「現場至上主義2023」の東京編(2月7日のZepp Haneda公演)で解禁したんですよ。そこからいろいろな条件がクリアできるなら、自分達のライブでは100%の声出しはOKにしました。
ーーじゃあ、これからのツアーを含めたライブではこれまでとはまた違う景色が見られると言うか、ライブの様相も変わっていきそうですね?
渋谷:絶対に変わるでしょうね。声が出せる時の状態が戻ってきたということではないという気もしているので、全然違うものになるんだろうなと思います。声出し解禁を自分達のSNSで発信したとき、声出しのライブを経験したことがないって人がけっこういることがわかったんですよ。自分がライブに行くようになった時には、すでに声出しが禁止されていたという。
ーーそうなのか。
渋谷:声を出すことが当たり前じゃない。モッシュも当たり前じゃないという人達が増えてきているので、その人達とどんなふうにライブを作り上げていくかってところでは、その日その日の空気感や、お客さんの表情を見たりして、かなり敏感に察知していかないといけないなっていう。自分達がこんなことをやりたいからこんなことをしてくれよって言っちゃうと、かなり独り善がりになると思うので、その都度その都度、慎重にやりたいと思っています。明確に打ち出していないと、お客さんも不安ですよね。どんなふうにルールが変わったのか、僕らは仕事だから注意してみるけど、まったく気にしていない人にしてみたら、急に声を出せって言われちゃったって状況にもなりかねないので、僕らはそういうことが起きないようにしっかりとバンドの声として、表に出したんです。そういうことを1個1個ていねいにやらないと、お客さんを不安にさせちゃう気もしているので、「今日はこうですよ」ということを、この1年ぐらいはくどいぐらいにやっていかないといけないのかなと思っています。
柳沢:あくまでも、声を出してもいいよですからね。
上杉:ということは、出さなくてもいいわけだから。
柳沢:それが出さなきゃいけないになっちゃうと変な感じになっちゃうから。この間、解禁した時も、ぶーやんがていねいにステージから言ってましたけど、声を出してもよくなっただけで、出さない奴は来るなという話ではないから、まったくそうではないということがちゃんと伝わったらいいですね。
渋谷:それぞれが思っていることの振り幅がかなり違うので。そもそもぎゅうぎゅうのライブハウスなんて求めてなかった人もいるし、他の人の声が聞こえてきちゃうのはイヤだなって人も中にはいるし、もっと言えば、自分のスペースで自分の聴きたい音だけを聴ける環境が好きだったのに、という人もいることを考えると、逆に声を出さないことが不自然って状況になって、なんであいつ声を出さないの!? みたいな変な叩かれ方をすることも出てきちゃうと思うから、そこはことさらていねいにやらないと。逆に僕らも僕らがお客さんを煽ったり、こんなふうにやってと言ったりするのは、あくまでも楽しみ方として指針の一つだから、「それをやったら楽しいんじゃない?」「あ、違うんだ。じゃあ、やらなくていいよ」というスタンスでいないと。そこで、「バンドが言っているのに、なんでやらないんだよ」と思う人が出てきちゃったら、それぞれによくないと思うから、全部、その人に任せられるような環境作りをしていきたいと思っています。
柳沢:この数年、SUPER BEAVERとしてもライブハウス、ホール、アリーナでやりながら、選べるからねと言ってきましたけど、これからもその都度その都度、自分がどういうライブを見たいのか考えて、選んでもらえたらいいですね。
ーーそんなタイミングにリリースするという意味では、「グラデーション」、ぴったりの曲じゃないですか。
柳沢:ほんと、そう思います。
取材・文=山口智男 撮影=森好弘

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