「覚醒の扉」の先に広がった世界とは
…。 囁揺的音楽集団AsMRの振る音の
タクトへ導かれ、この世界の創世から
興亡までのいろんな歩みを体現した初
ワンマン公演。
舞台の上に姿を現したのが、Ayaka。「ここは、深い、深い、夢の中~扉が一つ」、語り部となったAyakaが語りだしたのは、この日のストーリーの軸になる思い。これから始まる物語を繙くストーリーの一片一片を、Ayakaはランタンの光を頼りに、闇の中、囁くようにゆっくりと語っていた。
舞台のバトンを受け取ったのが、ギターのGINA。『剥き出しの魂(Nigella)』という題名に相応しい、轟音を唸らせたギターの演奏がフロア中に鳴り響く。音を歪ませた旋律の数々が、胸を痛く掻きむしる。GINAも、激情した感情を、荒ぶる音に変えてぶつけていた。彼女が心を剥きだしたとき,そこには魂を熱く騒がせるノイズのような音が現れていた。
舞台の最後に登場したのが、ヴァイオリニストのemyu:。彼女は、『旋律の妖(Ark of Chaos)』を演奏。荘厳かつ悲壮な色を持つクラシカルな音でパガニーニのカプリースNo.5を弾き出し、そこから即興で楽曲を転換していきカデンツァとして弾き上げた。操るのはエレキヴァイオリンではなく彼女のメイン楽器であるクラシックヴァイオリン。物悲しさの中から見える情熱。彼女もまた、熱い魂を宿した存在だ。やがて背景の音楽が不穏な空気を膨らませるのに合わせ、emyu:は囁揺的音楽集団AsMRの『Ark of Chaos』を物悲しい音色を持って響かせた。ときに混沌へと導く不穏で重厚な音色を奏でながらも、高尚な曲として『Ark of Chaos』を昇華していった。なんて、高貴で貴賓にあふれた。でも、痛い刺を抱いた音色も響かせられる表現者なのだろう。
emyu:の音色へ導かれるように、メンバーたちがふたたび舞台へ。さぁ、ここからは囁揺的音楽集団AsMRとしてのGATE(ライブ)の幕開けだ。
ライブは、一つ一つの扉を開けるごと、さまざまな世界へ観客たちを誘いだす。Ayakaの語る言葉が、次の物語を告げる扉を開く鍵となり、開いた一つ一つの扉の中へ観客たちを招き入れる。
emyu:のヴァイオリンの旋律へ導かれるように、演奏は荘厳かつ雄々しい音を鳴り響かせる。『艶麗戦歌』を通し囁揺的音楽集団AsMRは、心を野生に変え、剥きだした感情を突きつけるように雄々しく歌い奏でていた。大きくうなり続ける演奏。美しさと濁った音が交錯し、次々と転調しながら、カオスな魂を大きく膨らませてゆく。演奏が進むごとに激情してゆくメンバーたち。そして…。
物悲しいピアノの音色の上で、Ayakaが語りだす。やがて演奏は、『Ark of Chaos』へ。地獄の底から鳴り響く戦慄する旋律。その上で、血塗られた歌姫となったMilliが、狂信のオペラを歌いだす。熱を抱いた魂を天へと召すように歌うMilliの声へ寄り添うように、演奏も熱と重厚さを増してゆく。いつしか楽曲は、荘厳なる魔ロックなオペラソングへと進化。勇壮なドラムの音を行進するリズムに変え、メンバーらは、Milliの歌声へ従うように。いや、彼女の歌声をタクトに、熱情したその声へ寄り添うように、美しくもノイズな音色の数々を舞台の上から羽ばたかせていた。とても壮麗でカオスなロックオペラだ。
Ayakaの「サ・ヨ・ナ・ラ~」の声を合図に流れだしたのが、荘厳シンフォニックでラウドな世界を描きだす『トレモロ』だ。ときに凪いだ心模様を見せれば、ときに激情した歌声や演奏を示すなど、雄大な楽曲の中へ、揺れ動く人の心を急変する天気のような様を通して投影していた。黒い轟音のうねりの中へ、このまま飲み込まれたい。そのままどっぷりと身を落としてしまいたい。
Ayakaの重厚なベースの音色に、狂気を抱いたemyu:のヴァイオリンの音色が絡み合う。そこへ他のメンバーたちも黒いカオスな音を重ねあわせ、激情した物語を描き出す。巧みに緩急もつけながら、『震撼SCREAMER』は熱をたっぷりと吸い込み、闇の中を意気揚々と駆けてゆく。雷鳴のようなドラムの音へ荒ぶる音を重ねあわせるAyakaとGINA。emyu:の美しくも狂気帯びた旋律が、Milliの歌声へさらに狂気を塗り重ねていた。
アンコールでは普段、配信で行っているトーク番組「あずまーのス」を生公開。それまでの荘厳な世界観とは異なる、とても気さくでほのぼのとした…いや、うるさいほどにやかましい姿を披露。このギャップも囁揺的音楽集団AsMRの魅力。トークでは,なぜか「好きな食べ物」話から、すき焼きの話で盛り上がれば、Ayakaが話を軌道修正しようとするが…。
最後の最後に、囁揺的音楽集団AsMRは『AWAKE』を演奏。GINAとemyu:の奏でるASMRな音に乗せ、Ayakaがベースを弾きながら囁くように語りだす。不協な音がフロア中で混沌とした世界を描きだす。そこへ美しい音色を重ねるMilli。Ayakaの「AsMR」の囁き声を最後に、メンバーらはゆっくりとGATEを閉じ、次の物語へとバトンを渡していった。
PHOTO:菊島明梨
囁揺的音楽集団AsMR ONEMAN GATE「覚醒の扉」
セットリスト
囁揺的音楽集団AsMR SNS
1月31日(火)「Mashup LIVE -異彩- streaming by GALPO LIVE SHOW」
[会場] 渋谷DESEO http://www.deseo.co.jp/map.html
[チケット] 前売 ¥3000 当日 ¥3500
[配信]ニコニコ動画「GALPO LIVE SHOW」チャンネルにて (月額会員のみ視聴可)
2月11日(土)「LADY GUNS」
2月28日(火)「Mashup LIVE -異彩- streaming by GALPO LIVE SHOW Vol.2」
3月12日(日)「MUE ✕ JBM pre Shiners Vol.1」
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