【DDT上野勇希インタビュー】横浜武
道館で最高峰王座に挑戦!「竹下幸之
介に勝った遠藤哲哉に勝って、ボクが
DDTを背負う!」

3月20日、旗揚げ25周年記念大会として久しぶりの両国国技館大会を成功させたDDTが、早くも次のビッグマッチを開催する。その舞台は、初進出となる神奈川・横浜武道館だ。
5・1横浜「MEGA MAX BUMP2022 in YOKOHAMA」でメインを飾るのは、KO-D無差別級主権試合〈王者〉遠藤哲哉vs〈挑戦者〉上野勇希。両国での激闘を制した遠藤にはこれが同王座3度目の戴冠で、エース竹下のアメリカAEW遠征が決まったいま、新たなる絶対王者誕生の予感がある。が、そこに待ったをかけようとするのが、元DDT UNIVERSAL王者の上野である。
上野は竹下の高校時代の同級生で、竹下の姿に憧れレスラーとしても彼を追うような形になった。その竹下が海外に戦場を求めたいま、立ち上がったのが上野なのだ。デビュー10周年でトップに立った遠藤と未来のエースを予感させる上野の対決。大一番を前に、上野に話を聞いてみた。
――DDT5・1横浜武道館で、上野勇希選手が遠藤哲哉選手のKO-D無差別級王座に挑戦します。前王者・竹下幸之介のアメリカAEW参戦が発表された3・27後楽園大会で挑戦を表明し、遠藤選手が受諾。まずは、なぜこのタイミングで挑戦を表明したのか、教えてください。
上野:いろんな要素が、ボクのことを後押ししてくれました。一番のきっかけ、トリガーというのが同じThe37KAMIINA(サウナカミーナ)の小嶋斗偉の頑張りですね」
――6人タッグマッチ(竹下&上野&小嶋組vs遠藤&岡田佑介&高鹿佑也組)で小嶋選手が高鹿選手に勝ちました。
上野:これが非常に大きいです。小嶋がいままでずっと高鹿に勝てない、自分が強くなれないと悩んでいたのをチームとして知っていましたし、だからこそ勝ってほしいと思っていたなかで、あの日、やっと高鹿に勝てた。サウナカミーナの一番の後輩である小嶋の頑張っている姿というのが、挑戦を表明する最終的なトリガー、きっけになりました。
それだけではなく、あの日にはタケ(竹下)がアメリカに行って新しい挑戦をすると発表されたり、(3・20両国で)MAOさんがユニバーサルのベルトを取った。MAOさんは、自分の存在感というものを出し、MAOさんなりの表現、闘いを見せたうえで勝ちましたよね。勝俣瞬馬さんも、サウナ、プロレス、デスマッチといろんなことを全力でやっている。なので、サウナカミーナみんなのエネルギーというのはホントにすごくて、この流れにボクも置いていかれたくないというのもありました。
また、前日(3・26)に(DDTに参戦している)青木真也さんがONEで秋山成勲さんと試合をしたんですよね。ボクって同級生(竹下)がデビューしたDDTを見に行って、そこからプロレスが好きになったので、誰かのファンになるという気持ちというよりは、ちょっと特殊な入り方だったんですけど、今回の青木vs秋山という闘いに関しては、青木さんのファンとしてけっこう見てたんですよ。そういう思いが試合前からあって、試合で負けた瞬間、メッチャ悔しかったんですよね。そのときに、こんな気持ちでみんなに応援してもらえてるんだと思ったんです。
――気づきがあったと。
上野:ハイ。青木さんを応援していた自分を通じて、ボクを応援してくれる人の気持ちがわかったような気がしたんです。そこで、オレももっと頑張らなあかんなと感じたんですね。みんなのエネルギーをちょっとずつもらって、オレも動かなあかんなって。
――それで、挑戦表明に動いたというわけですね。
上野:ハイ、そうなんです。
――もし両国で竹下選手が遠藤選手を破り王座防衛していたらどうなっていたと思いますか。このタイミングで竹下選手に挑戦表明をしたでしょうか。
上野:どうでしょうねえ? う~ん、そこはわからないです。
――ということは、竹下選手のアメリカ遠征も引き金の一つだったということでしょうか。
上野:そうですね、それもやっぱりひとつの理由ですよね。タケがいないのだから自分がやらないといけない、自分が動かないといけないとの感覚もあります。
――竹下選手は上野選手の同級生ですからね。上野選手は竹下選手を追うようにしてプロレスラーになりましたし。
上野:そうですね。サウナカミーナというチームも組んでいるし、同級生であり先輩であり、ボクの憧れたプロレスラーである。DDTでチャンピオンとして、またチャンピオンじゃないときもずっと実績を積み上げてきている選手。なのでボクも、それには負けたくないし、青木さんの試合も刺激になり、自分でも作り上げていかないといけないなって思いました。だからこそ、ボクが背負いたいとの言葉が出たし、ホントにボクがやるんだとの気持ちが強くなったんですよ。
――両国のメイン、竹下vs遠藤は46分30秒の激闘でした。あの試合はご覧になりましたよね。
上野:もちろん、セコンドで見てました。
――(今後のタイトルマッチに向けて)かなりハードルが上がったと思いますが。
上野:ボクが挑戦表明したときにも遠藤さんは「オマエは竹下vs遠藤を越えられるのか?」と言ってましたけど、ホントにそんなことはどうでもいいんです。それって結局はひとつの結果ですから。ボクがしたいことって竹下vs遠藤の試合を超えることじゃないし、あの試合を超えるためにするんじゃないですから。
つまり、ボクが遠藤哲哉に勝つ。もっと言うと、あのすごい竹下幸之介に勝った遠藤哲哉というすごいチャンピオンに勝って、ボクがDDTを背負う。そのためにもボクが遠藤さんにまずは勝つ。それがまず先に来るし、ボクがしたいのは、その先を作り上げていくことですから。竹下vs遠藤を気にする意味が分からないですね。
――なるほど。上野選手としては、あくまでもベルトを取って、自分の世界を作っていくと。
上野:ハイ。それをしないといけないと思ってるので、それをするためにまずは挑戦していくし、それをするために勝ちたい。
――いまがその時期だと?
上野:時期というか、気づいたのがいまなんですね。自分がやっていかないといけないという責任なのか自覚なのかはわからないですけど、それを始めるのがいまだろうと。もしかしたら、この挑戦が決まってやっとレスラーになれたというところなのかもしれないし。
――いままでにない感情が沸いてきたのですね。
上野:ハイ、そうですね。
――2020年の6月と7月、いまから約2年前になりますが、上野選手はKO-D無差別王座に2度挑戦しています。しかも、どちらも当時の王者は遠藤選手でした。
上野:そうですね。最初は“いつでもどこでも挑戦権”を使って、その次は正式に挑戦しました。
――当時といまの遠藤選手の違いはどこにあると思いますか。
上野:まずは、ダムネーションからバーニングになったという環境の違いがそうだと思いますけど、ボクから見ると、環境の違いとともに精神的に変わってる部分が大きいと思うんですよね。
バーニングは秋山準さん、遠藤さんのユニットという感じがします。ダムネーションって遠藤さんと佐々木大輔さんの大きくて強い2人がいましたけれども、やっぱり佐々木さんの支配下というイメージが強い。ダムネーションがなくなるきっかけを作ったのは会社であり、サウナカミーナなんですけどね。そこから遠藤さんも遠藤さんで自分で作り上げていかないとの思いがあって、いまがあるんだと思うし、技術形態や肉体とかは日々成長してると思うんですけど、それ以上にメンタリティーの部分が変わってるんだろうなと思います。
――遠藤選手は今回が3度目のKO-D無差別級王座戴冠ですから、精神的にも以前と比べ、かなり大きくなっていると思います。ただ、タッグ王者時代に上野選手は遠藤選手から直接フォールを奪っていますよね。
上野:ハイ。タッグ王者のときもそうだし、昨年のD王グランプリでも勝ってますね。
――何度か勝っていることもあり、次も勝つとのイメージはできているのでしょうか。
上野:そうですね。勝つイメージはありますし、ボクが試合に挑むにおいて、怖いとかイヤだなとかはあまりないんですね。むしろ楽しみだし、遠藤さんへの苦手意識はないです。
――上野選手はタッグ王座、ユニバーサル王座を獲得。タッグからシングルと段階を踏み、しっかりと上がってきているように思います。
上野:まあ、それが段階なのかはわからないですけどね。
――昨年のD王グランプリも準優勝でした。
上野:そうですね、ハイ。
――着実に実績を積み上げたからこそ、次はKO-D無差別級王座ということになりますか。
上野:次はこれというのは、ぶっちゃけまったくないです。毎回毎回、タッグだろうとユニバーサルだろうとD王グランプリだろうと、そのときどき全力でやらないと勝ち取れないし、タッグもユニバーサルもD王も、ステップアップではまったくなくて、そのときに自分が少しずつ頑張って頑張って超えられたということなんですね。優劣、順番はまったくないと思ってます。
――なるほど。では、次のタイトルマッチはどういう勝負になりそうでしょうか。必殺技であるBME(ベストムーンサルトエバー)と、宇宙一のバーニングスタープレスの対決のようなイメージもあります。ベストであり、宇宙一だとどちらもナンバーワンを誇っている。そこもまた興味深い。注目されるところかと思います。
上野:なるほど。跳躍力(対決)ですね。ボクはどの点でも負けたくないし、(遠藤が)チャンピオンであるからには常にどの部分もベストであるべきだと思うし、そこは競いたいですね。ただ、遠藤さんがいまこの段階でチャレンジャーのボクをどう見てるのかというのがよくわからないんですよね。
――前回は約2年前ではありますが、実際には、「また(上野が挑戦者)か」、と思っているところもあるようですが。
上野:どうなんでしょうね? コメントによると、『上野が物足りなかったら透明人間とやるぞ』とか、『仲間を守れなかったら』どうとか言ってるんですけど、ボクからしたら、この挑戦というのはボクがしたいことにたどり着くための挑戦であって、勝ちたい一心だから、遠藤さんの言葉はまったく響いてはいないんです。実際、向き合ってはないんだろうなとは思います。
でもボクは、べつに遠藤さんが向き合ってくれなくてもただ勝てばいいだけなんで。だからボクは自分を押し付けるだけ。それを遠藤さんが気にしないなら、そういう試合になるだけなんじゃないかなと思います。
――上野選手が自身を押し付けて遠藤選手が振り向けばと。
上野:べつに振り向かなくてもいいです。ボクが勝ってボクが広げていかないといけないですから、そうなるように持っていきます。
――今回のタイトルマッチは、今後のDDTを占う試合にもなりますね。
上野:そう見てもらう人もいるかもしれないですね。でも、ボクは今後を占うというか、誰かに任せられるとかじゃなくて、ボクがチャンピオンになってやっていくことがおもしろいかもしれないし、おもしろくないかもしれない。それはわからないけれど、わからないからこそいまはベルトを取りたいし、頑張りたいと思ってるんですよね。その可能性がある限りはやってみたい。実際、ボクが取ったらおもしろい世界になるかどうかはわからないです。だからこそボクが取りたいし、それを作り上げていくことをやっていきたいんです。
――上野選手が勝てばDDTに初めての光景をもたらします。
上野:ハイ。
――先日の後楽園(4・10)で、渡米前の竹下選手が「日本のDDTはオマエたちどっちかに任せるから」とメッセージを送りました。どっちかというのは遠藤選手か上野選手を指していることは明らかです。
上野:その辺に関しては、思うところは非常にあります。ただ、ボクがタケにそう言われることに関して、いまの段階で言えることはないです。なぜかというと、ボクはタケに勝ったこともないし、無差別級王座も取ったことがない。しかもチャレンジャーだし。5月1日、勝てたときにでも言ってやろうかなと思うことはありますけどね。
タケがオマエらどっちかに任せるとは言ってましたけど、任せんでもいいよとは思います。ボクはわからない道を自分で掘り出したいので、なにか託される気も、任される気もないです、ハイ。
――ただ、いずれは王者として竹下選手を挑戦者に迎えたいのではないですか
上野:もちろん! タケがどれだけ向こうで頑張って帰ってくるのか帰ってこないのかわからないですけど、ボクは(竹下が入った)DDTを見てプロレスが好きになって、好きなプロレスはDDTなので、ボクの世界のプロレスはDDTが一番なわけです。だからDDTで一番おもしろいことしてたら世界で一番おもしろいことになりうると思ってるから、タケが向こうでパッと日本を見たときに挑戦したいな、おもしろいなって思わせてやろうとは思ってます。なので、ボクが5月1日、KO-D無差別級のベルトを取ろうと思ってますよ。
――さて、竹下選手がアメリカに行くことによってサウナカミーナから一人いなくなることにもなりますよね。サウナカミーナの活動はどうなりますか。
上野:活動はまったく変わらないですね。あんなすごい選手がひとり抜けるわけなのでユニットとしてはバランスというか作戦も変わってくる部分はあると思うんですけど、タケがいなくなるなかでもすでにみんなが試合で頑張っていたりするので、そこに関しての影響というのはそんなにないかなと思いますね。作戦は多少変わるかなとは思いますけど。なので、タケがいなくてもボクらでサウナカミーナを盛り上げていきますよ。
――「竹下選手がいなくなってサウナカミーナは…」とは言われたくないですよね。
上野:ハイ、そうなりたくないですからね。
――ではあらためて、5・1横浜への意気込みをお願いします。
上野:5月1日、DDTにとって初めての会場です。ここで素晴らしいチャンピオン遠藤哲哉に勝って、ボクが初めて(KO-D無差別級王座の)チャンピオンになり、これからどうなるかわからないですけど、楽しくて強いプロレスをボクが背負って引っ張って、もっともっと広げていきたいと思ってますので、みなさま応援よろしくお願いします。熱波WER!!
遠藤がエースへの道を歩み出すのか、それとも上野が一気に時代を進めるのか。5・1横浜武道館を見逃すな!
聞き手:新井宏

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