【Mizki インタビュー】
切ない曲ですけど、
最後にどこか温かいものが残る
心にズドーン!と
突き刺さるような曲が好き
新曲の「River」はR&Bのサウンドが土台にあるミディアムバラードでありつつも、日本的な情緒も漂うテイストなのが新鮮でした。
日本人として日本の音楽を伝えていきたいという想いもすごくあったので、和テイストの入っているバラードにも挑戦してみたかったんです。歌っている時、“畑にいて、夕陽が沈んでいる”というような日本の風景が浮かびました。
終わってしまった恋の悲しみと、少しずつ深まっていく秋の風景が浮かぶ曲ですね。《茜の季節》《夕暮れ》《陽炎》《秋のしじま》とか、きれいな日本語がたくさん使われているのも印象的です。
秋になっていく今の時期にぴったりな曲だと思います。夏が終わって、秋の風が吹いてきて、ふと寂しさを感じるこの雰囲気はすごく和テイストですよね。
《茜の季節》という言葉を聴くと、歌詞には出てこなくても、なんとなく赤とんぼが飛んでいる風景が浮かびます。
そういう風景が見えてきますよね。そういうのも『Bet on me』の曲にはなかった雰囲気です。
作詞作曲をしたのはESME MORIさんで。
そうなんです。レコーディングの時にもいらっしゃってくれ、私が歌うのを聴きながら“こっちのメロディーのほうがいいかな?”や“こっちの言葉のほうがいいかも”とか、一緒に作り上げていくことができました。
《夕暮れは続いてた》が最後に《夕暮れを愛してた》になるのが、主人公の心情の変化を感じさせてくれます。
切ない曲ですけど、どこか温かいものが残るんですよね。最後に上を向くイメージというか。現時点ではまだダンスパフォーマンスはないんですけど、ダンスを入れて表現してもきれいだろうなと想像しています。
ダンスや視覚的な演出を融合させて音楽を表現していきたいという想いは、やはり強いですか?
はい。さまざまなタイプの楽曲をいただいているので、ライヴのことを想像するとすごく楽しいんですよ。衣装とかも含めて、いろんなことも自分で考えられるようになりたいですね。今も衣装を選ぶ時に、“こういうのがいいです”とスタイリストさんと相談しながら決めています。いつか生のバンドで歌いたいとも思ったりしますね。こういうことを想像し始めると無限に広がってしまうんですけど(笑)。
(笑)。Mizkiさんはリスナーとしても好きな音楽の幅は広いんですか?
結構いろいろ聴いています。MAMAMOOさんは以前よりよく聴いていました。ファサさんのファッションや表現力には特に圧倒されていました。BLACKPINKさんも大好きで、ラップに挑戦したいと思うきっかけになりました。Superflyさんも大好きで、小さい頃からいっぱい歌ってきましたね。越智志帆さんは心から歌っていて、聴いていると震えるんです。
Mizkiさんはソウルフルな音楽がお好きなのかもしれないですね。
そうなんだと思います。心にズドーン!と突き刺さるような曲が好きなので。
演歌も好きになるかもしれないですよ。
演歌はおじいちゃんが好きなので、よく聴いています。私は演歌には触れてこなかったんですけど、『うたコン』に出演させていただいた時に、演歌歌手の方々の生歌を聴いてすごい衝撃を受けたんです。それ以来、サブスクで演歌を聴くこともあります。
今はサブスクで幅広い音楽に触れやすくなっていますし、ジャンルの壁みたいなものはどんどんなくなっていくでしょうね。
若い世代の子たちの間でも古い音楽が流行ることがたまにありますからね。サブスクだと今まで聴いたことのなかった国の音楽のことも知れて楽しいです。私も海外に日本の音楽を広めたいということも思っています。
メジャーデビューして数カ月経ちましたけど、改めて何か感じるようになっていることはあります?
自分を表現できる楽しさがあります。“こうしたほうがいいのかな?”と試行錯誤するのも楽しくて。今までも曲を自分で書いたことがあるんですけど、そういうこともさらにやっていきたいと思っています。
楽器は何かされるんですか?
ギターを少し習ったことがありますけど、楽器は全然触れてこなかったです。自分で演奏しながら歌うというのは憧れますね。今、ライヴはなかなかできない状況ですが、ライヴもどんどんやっていきたいです。
デビューしてからライヴをする機会はあったんですか?
まだしたことがないんですよ。『アナと雪の女王2』の時もあまりお客さんの前で歌う機会がなくて、テレビ番組が多かったんです。だから、お客さんの前で歌いたい気持ちもどんどん高まっています。お客さんがいらっしゃるとテンションが上がって、レコーディングとはまた違った感覚になりますからね。
お客さんから伝わってくるエネルギーのものすごさは、ドーム会場のライヴを体験したことがあるMizkiさんならばよくご存知のはずです。
はい(笑)。みなさん、すっごいキラキラした目でステージを見つめるので、気持ちが高ぶるし、それによっていいパフォーマンスもできるんです。届いてくる歓声で地面も揺れるんですよ。バックダンサーとしてそういう体験をしたので、いつか自分のメインのステージでそういう体験をしたいですね。
取材:田中 大