まさに自伝?「丸の内サディスティック」に投影される若き日の椎名林檎

まさに自伝?「丸の内サディスティック」に投影される若き日の椎名林檎

まさに自伝?「丸の内サディスティッ
ク」に投影される若き日の椎名林檎

初期の代表曲のひとつ

『丸の内サディスティック』は椎名林檎の1stアルバム『無罪モラトリアム』に収録された曲です。
シングルとしてリリースされていないにもかかわらず、ファンの人気投票でも上位に名前が挙がり、トリビュートアルバムでも取り上げられるなど、人気の高い初期の代表曲です。
不思議な言葉が連発される歌詞には、当時の椎名林檎の姿が自伝的に投影されているとも考えられます。
その歌詞を読み解いていきましょう。
「ラット」?「ベンジー」?不思議な言葉の意味とは
丸の内サディスティック 歌詞 「椎名林檎」
https://utaten.com/lyric/ja00008304
椎名林檎は福岡でアマチュアとして活動していました。
バンドで様々なオーディションに出場していたところ、ソロとしてスカウトされたのです。
福岡から上京したはいいもののトントン拍子にデビューとはいかず、他のアーティストにいくつか曲を提供するしかない状況でした。
この歌詞にはその頃の椎名林檎自身が投影されていると思われます。
「リッケン620」というのはリッケンバッカーという楽器メーカーが出していたギターのモデル名で、椎名林檎もステージで使用しています。
東京に来たはいいものの、仕事もお金もない若きミュージシャンの悲哀が見えてくるのではないでしょうか。

丸の内サディスティック 歌詞 「椎名林檎」
https://utaten.com/lyric/ja00008304
「マーシャル」というのはギターをつないで音を増幅させるアンプの名前です。
「ラット」というのはギターの音を変化させるエフェクターの一種。
そして「ベンジー」というのは椎名林檎が敬愛するBLANKEY JET CITYのボーカル、浅井健一の愛称です。
音楽用語が連発するサビの歌詞は、知っている人はニヤリとする仕掛けで、知らない人にとっては「これは何だろう?」という興味を持たせる絶妙な味付け。
若き椎名林檎の妄想?
丸の内サディスティック 歌詞 「椎名林檎」
https://utaten.com/lyric/ja00008304
「警官ごっこ」という言葉はローリングストーンズの『Cops and Rubbers』という曲から取られています。
椎名林檎自身がセルフカバーした英語バージョンではそのまま「cops and rubbers」という歌詞で歌われています。
「国境は超えても盛者必衰」というフレーズは、様々な国の人が集まる東京という街の厳しさを表していると思われます。
国境とは違いますが、福岡から上京してきた椎名林檎の実感が反映されているのかもしれません。

丸の内サディスティック 歌詞 「椎名林檎」
https://utaten.com/lyric/ja00008304
浅井健一(ベンジー)と共に椎名林檎に影響を与えたアーティスト、ニルヴァーナのカート・コバーン。
『ギブス』という曲の歌詞にカートの名前が出てきますが、この「僧」という言葉はカートのことを歌っているとも言われています。
カート・コバーンは仏教徒に改宗した経験があるからです。
続く「寝具で遊戯」というのは非常にセクシャルな表現ですね。
デビュー時の椎名林檎はこうした過激な表現も大きな特徴の一つでした。
「ピザ屋の彼女」というフレーズはBLANKEY JET CITYの『ピンクの若いブタ』という曲から引用されており、「グレッチ」というのは浅井健一が使っているギターの名前。
浅井健一が書いた歌詞の登場人物になりたいと思うほどに椎名林檎は彼を敬愛していたのです。
このように多くの歌詞が、当時の椎名林檎の妄想や偏愛によって描かれているのでしょう。
言葉遊びが堪能できる名曲
丸の内サディスティック 歌詞 「椎名林檎」
https://utaten.com/lyric/ja00008304
「青 噛んで熟って頂戴」も、読み方によっては非常にセクシャルな意味にとれるフレーズです。
「匂いで飛んじゃう」という表現は、実際にマーシャルアンプから匂いはしないのですが「飛ぶ」という言葉から「気持ちよくハイになる」という意味で使われていると思われます。
それが最後に来る「トリップ」という単語につながってきます。
「肺に映って」は一見意味不明ですが、「ハイ」と「鬱」という言葉が隠れているのでしょう。
躁鬱的に、非常に不安定な精神状態を指しているとも読み取れます。
このようにどの歌詞も色々な読み方ができるのが『丸の内サディスティック』の魅力でしょう。
専門的な音楽用語と言葉遊びの要素が入り混じった歌詞には、作詞家としての椎名林檎の才能があふれていると思います。

TEXT まぐろ

UtaTen

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