生田絵梨花、神木隆之介が初々しく軽
やかに演じる 『キレイー神様と待ち
合わせした女―』東京公演レポート&
舞台写真到着
「苦しいのなら、やり直すのよ!」松尾スズキが奏でる泥だらけの人間讃歌
瓦礫でできた継ぎはぎだらけの世界は、まるで人生のごった煮、人種のるつぼ。神々が気まぐれに作った雑多な遊び場のようでいて、ごく個人的な内なる宇宙にも観てとれる。過去と未来、現実と幻想が共存するそこは、確かに「日本」と呼ばれ、相も変わらず人間たちは戦争に興じてる。悪意や偽善、エゴイズムや純粋性。何かしらに突出した人々はビジュアルからして一目瞭然。混ぜるな危険の個性を放ちつつ、しかし組んず解れつ一塊になると、不思議と同じに見えてくる。人種も性別も善悪だって、大差ない? 彼らは私で私も彼らの一部を担ってる。それが人間。そうと分かれば「生き恥こそが人生の醍醐味さ」と、心のエンジンが加速する。ユーモア満載の歌詞と楽曲、パロディに満ちた群舞と合唱。泥だらけの応援歌に高まるエナジー! なんて呑気に駆け出した瞬間、一発の銃声に時が止まった。
本編に付随して散りばめられた小ネタの数々。珍プレー好プレーの応酬に、笑いと拍手が追い付かない。阿部サダヲら劇団員は再演の難しさを楽しみつつ、役柄を丁寧に深めて刷新する。鈴木杏の誠実さは役柄をチャーミングに際立たせ、近年ミュージカル界で大役を担う小池徹平は、堂々たる存在感で場を埋める。成長したケガレ役には麻生久美子の可憐さとユーモアが好相性。初舞台の神木隆之介は、体当たりの演技で愛すべきキャラクターを実体化、最後は花丸の活躍で魅了する。そして、生田絵梨花だ。ケガレという大役を生きてこその境地だろう。最後に彼女が見せた表情に、心底嬉しさが込み上げた。
SPICE
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